クローン人間が異世界転生して魔王に愛された

宝者来価

文字の大きさ
7 / 60

7話 街の人々

しおりを挟む


「すごいなぁ」

6024が世界に来て3日目、城から出て街へと来た。
流石に最初から一人で外へ行ける訳でも無く魔王の側近のイチが傍についている。
市場の人々は活気に溢れており、様々な店に目移りしてしまう。



「人が多いから、凄いんですか?」
「クローンが識別表示をつけずに歩けるんだって、実際見たの初めてだから」
「この世界では貴方たち元・クローンの事を『勇者』と呼びます、それにクローンだと言われると嫌な顔をする者もいますので……」

確かに人間としてようやく扱ってもらえるのに、クローンだと言われたら嫌なのかもと自分でも思った。

「そう、だね」
「あまり『勇者』の方はこういう屋台をしませんね」
「どうして?」
「最初は屋台をしていても金が集まったら人を雇い、大きな貿易などをてがけるようになっていくので……あ、でも時々変わり者もいますよ」

案内された場所は『鍛冶屋』で、おとぎ話で聞いたような武器や斧というかつては木を切る為にあった道具など珍しい物が大量に売っていた。


「あれ?イチさんが『勇者』を連れてる何て珍しい」
「ええと『僕』は」
「僕ッッッッ!?」

二度見された、この姿のクローンが『僕』というのは珍しいので仕方ない。

「失礼ですよ」
「……僕、何ていう『同族』は初めてなので」
「ご、ごめんなさい?」
「謝る必要はありませんよ、こちらこそ声をあらげて……新人の勇者ですか?」
「一応そうです」
「何ですかその『一応』って」
「一般的な勇者とは違っているという事です、僕と言ってるので分かるでしょう?そちらの……鍛冶屋の調子はどうですか?」
「中々、いいですよ特に最近は短剣がよく売れます」
「近頃は物騒ですからね」
「えっと、何かあったんでしょうか?」
「この世界は夜に灯りがなくなるんですよ、そこを狙う盗賊がいまして」

盗賊についてはマニュアルにあり、暴力などで無理やり価値のある物を奪う悪人である。
更には殺しをする事もあり集団で来られると一人ではまず無理、太刀打ちできない。
科学が発展していないこの世界では『夜の暗さ』が何より恐ろしい。

「短剣を首から下げたりするだけで、かなり遭遇率をさげられますから」
「え、何で?」
「彼らも怪我をするのは嫌なんですよ、だから不用心な者を狙うんです」
「僕も、用心しようかな……でも、『お客さん』が嫌がるかなぁ?」
「何か商売をする予定が?」
「……」
「まだ決めていないのですかね」
「決まったと思ったら、ポシャって」
「あらあら、無責任な人でもいたんです?」
「魔王様ですねー」
「無責任では無さそうですけど、あの人ドジですよね」

古の道具が珍しくて、ついつい見てしまう

「すごいなぁ」
「その斧、切れ味は保証しますよ?城の木こり班に入れてもらうのはどうでしょう?」
「……ありがと」

遠くからの呼びかけが聞こえた

「おーい!イチさん!ちょっと来てくれ!」

どうやら何か街でトラブルがあったそうで、緊急対処する必要が出たのだ。

「少し、この方を見張っていて下さい」
「え?」

行ってしまったが、いつまでもここにいたら商売の邪魔になる。

「お邪魔しました」
「待って下さい、一人でどこへ?」
「裏路地に行こうかと」
「何でそんな所に!?喧嘩の腕でも試しに行くんですか?」
「ううん、そこになら仕事があるかなって」

鍛冶屋視点、どう考えても人目を避けなければならないのはロクな仕事ではない。
しかも魔王の側近がわざわざ付いて来て案内しているほどの人物で『見張って欲しい』という頼みからして何者だろうが行かす訳にはいかなくなった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

身代わり召喚された俺は四人の支配者に溺愛される〜囲い込まれて逃げられません〜

たら昆布
BL
間違って異世界召喚された青年が4人の男に愛される話

虚ろな檻と翡翠の魔石

篠雨
BL
「本来の寿命まで、悪役の身体に入ってやり過ごしてよ」 不慮の事故で死んだ僕は、いい加減な神様の身勝手な都合により、異世界の悪役・レリルの器へ転生させられてしまう。 待っていたのは、一生を塔で過ごし、魔力を搾取され続ける孤独な日々。だが、僕を管理する強面の辺境伯・ヨハンが運んでくる薪や食事、そして不器用な優しさが、凍てついた僕の心を次第に溶かしていく。 しかし、穏やかな時間は長くは続かない。魔力を捧げるたびに脳内に流れ込む本物のレリルの記憶と領地を襲う未曾有の魔物の群れ。 「僕が、この場所と彼を守る方法はこれしかない」 記憶に翻弄され頭は混乱する中、魔石化するという残酷な決断を下そうとするが――。

強制悪役劣等生、レベル99の超人達の激重愛に逃げられない

砂糖犬
BL
悪名高い乙女ゲームの悪役令息に生まれ変わった主人公。 自分の未来は自分で変えると強制力に抗う事に。 ただ平穏に暮らしたい、それだけだった。 とあるきっかけフラグのせいで、友情ルートは崩れ去っていく。 恋愛ルートを認めない弱々キャラにわからせ愛を仕掛ける攻略キャラクター達。 ヒロインは?悪役令嬢は?それどころではない。 落第が掛かっている大事な時に、主人公は及第点を取れるのか!? 最強の力を内に憑依する時、その力は目覚める。 12人の攻略キャラクター×強制力に苦しむ悪役劣等生

転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました

桜あずみ
恋愛
異世界に転移して二年。 言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。 しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。 ──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。 その一行が、彼の目に留まった。 「この文字を書いたのは、あなたですか?」 美しく、完璧で、どこか現実離れした男。 日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。 最初はただの好奇心だと思っていた。 けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。 彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。 【ご報告】 2月28日より、第五章の連載を再開いたします。毎週金・土・日の20時に更新予定です。 また、誤字脱字の修正および一部表現の見直しを行いました。ただし、記載内容の趣旨に大きな変更はございません。 引き続きよろしくお願いいたします。

追放されたおまけの聖女♂は冷徹王太子の腕の中から離してもらえない〜今さら戻れと言われても、もうこの人の魔力しか受け付けません!〜

たら昆布
BL
聖女のおまけで召喚されたと思われて追放された不憫受けが拾われて愛される話

劣等アルファは最強王子から逃げられない

BL
リュシアン・ティレルはアルファだが、オメガのフェロモンに気持ち悪くなる欠陥品のアルファ。そのことを周囲に隠しながら生活しているため、異母弟のオメガであるライモントに手ひどい態度をとってしまい、世間からの評判は悪い。 ある日、気分の悪さに逃げ込んだ先で、ひとりの王子につかまる・・・という話です。

冤罪で堕とされた最強騎士、狂信的な男たちに包囲される

マンスーン
BL
​王国最強の聖騎士団長から一転、冤罪で生存率0%の懲罰部隊へと叩き落とされたレオン。 泥にまみれてもなお気高く、圧倒的な強さを振るう彼に、狂った執着を抱く男たちが集結する。

竜帝陛下の愛が重すぎて身代わりの落ちこぼれ薬師は今日も腰が砕けそうです 〜呪いを解いたら一生離さないと宣言されました〜

レイ
BL
「死ぬ覚悟はできています。でも、その前に……お口、あーんしてください」 魔力を持たない「無能」として実家で虐げられていた薬師のエリアン。 彼に下されたのは、触れるものすべてを焼き尽くす「死の竜帝」ヴァレリウスへの、身代わりの婚姻だった。

処理中です...