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7話 街の人々
しおりを挟む「すごいなぁ」
6024が世界に来て3日目、城から出て街へと来た。
流石に最初から一人で外へ行ける訳でも無く魔王の側近のイチが傍についている。
市場の人々は活気に溢れており、様々な店に目移りしてしまう。
「人が多いから、凄いんですか?」
「クローンが識別表示をつけずに歩けるんだって、実際見たの初めてだから」
「この世界では貴方たち元・クローンの事を『勇者』と呼びます、それにクローンだと言われると嫌な顔をする者もいますので……」
確かに人間としてようやく扱ってもらえるのに、クローンだと言われたら嫌なのかもと自分でも思った。
「そう、だね」
「あまり『勇者』の方はこういう屋台をしませんね」
「どうして?」
「最初は屋台をしていても金が集まったら人を雇い、大きな貿易などをてがけるようになっていくので……あ、でも時々変わり者もいますよ」
案内された場所は『鍛冶屋』で、おとぎ話で聞いたような武器や斧というかつては木を切る為にあった道具など珍しい物が大量に売っていた。
「あれ?イチさんが『勇者』を連れてる何て珍しい」
「ええと『僕』は」
「僕ッッッッ!?」
二度見された、この姿のクローンが『僕』というのは珍しいので仕方ない。
「失礼ですよ」
「……僕、何ていう『同族』は初めてなので」
「ご、ごめんなさい?」
「謝る必要はありませんよ、こちらこそ声をあらげて……新人の勇者ですか?」
「一応そうです」
「何ですかその『一応』って」
「一般的な勇者とは違っているという事です、僕と言ってるので分かるでしょう?そちらの……鍛冶屋の調子はどうですか?」
「中々、いいですよ特に最近は短剣がよく売れます」
「近頃は物騒ですからね」
「えっと、何かあったんでしょうか?」
「この世界は夜に灯りがなくなるんですよ、そこを狙う盗賊がいまして」
盗賊についてはマニュアルにあり、暴力などで無理やり価値のある物を奪う悪人である。
更には殺しをする事もあり集団で来られると一人ではまず無理、太刀打ちできない。
科学が発展していないこの世界では『夜の暗さ』が何より恐ろしい。
「短剣を首から下げたりするだけで、かなり遭遇率をさげられますから」
「え、何で?」
「彼らも怪我をするのは嫌なんですよ、だから不用心な者を狙うんです」
「僕も、用心しようかな……でも、『お客さん』が嫌がるかなぁ?」
「何か商売をする予定が?」
「……」
「まだ決めていないのですかね」
「決まったと思ったら、ポシャって」
「あらあら、無責任な人でもいたんです?」
「魔王様ですねー」
「無責任では無さそうですけど、あの人ドジですよね」
古の道具が珍しくて、ついつい見てしまう
「すごいなぁ」
「その斧、切れ味は保証しますよ?城の木こり班に入れてもらうのはどうでしょう?」
「……ありがと」
遠くからの呼びかけが聞こえた
「おーい!イチさん!ちょっと来てくれ!」
どうやら何か街でトラブルがあったそうで、緊急対処する必要が出たのだ。
「少し、この方を見張っていて下さい」
「え?」
行ってしまったが、いつまでもここにいたら商売の邪魔になる。
「お邪魔しました」
「待って下さい、一人でどこへ?」
「裏路地に行こうかと」
「何でそんな所に!?喧嘩の腕でも試しに行くんですか?」
「ううん、そこになら仕事があるかなって」
鍛冶屋視点、どう考えても人目を避けなければならないのはロクな仕事ではない。
しかも魔王の側近がわざわざ付いて来て案内しているほどの人物で『見張って欲しい』という頼みからして何者だろうが行かす訳にはいかなくなった。
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