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36話 マスター
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旧世界:日本
6155はある会社に買われて、部品工場で働いていた
決して手は抜かなかったし自分が他の人間より優れていた自信はあった
だが、逆に人間の仕事を完璧にこなしたのが不味く『人間』の反感を買い
邪魔をされたりするようになり結果『故障』としてリサイクル施設に売られた
安物になった自分は、サディストの男の元に買われていった。
そこからは、悲惨としか言えない。
牢屋の中で殴られたり犯されたり、そして様子は全国に動画配信されていた
クローンは国が『どう扱ってもいい』としたために犯罪とはならない
壊れそうになる限界で、舌が動かせなくなりまともに喋る事が出来なく成った
再び自分は売りに出され、話せもしないし二度目という事で本当に安い値段
「これで、買えますか?」
デパートの安売りコーナーで売られていた所、カードを握りしめて来た子供がいた
コンビニで軽食ぐらいは買えるそのカードで買っていった
「番号は……6155?一緒に帰ろうね」
その家はまだ空を車があまり飛んでいない田舎の、ごく普通の家庭
「おかえ、り!?」
「パパ、これでもう大丈夫!」
「何でクローン奴隷なんか……しかもボロボロだな」
「僕、これでもうへっちゃらだよ」
「すまないなカズト」
恐らくは小学生くらいの少年と、彼を撫でる父親
「さて……こんだけボロイって事はなんか問題かかえてるか?」
「……ッ」
「何だ喋れん奴なのか、まぁ喚くよりはいいか」
その家は今時珍しい、写真と呼ばれる物が一枚机の上に
「僕のママ、事故で死んじゃった」
「ッ」
「パパがいない時でも、クローンいれば何とかなるよ!」
「……」
父親はやれやれといった感じで、風呂を貸してくれた
「電子力シャワーの使い方、分かるか?」
「(首を縦にふる)」
「おっ、なんだ知識はありそうだな」
綺麗にして、服を貰った
「お前汚れてて分かんなかったけど6000番台の顔してんな!?」
「……」
「えーと、コードは?」
腕の識別を見せた
「6155って、上物じゃんか!?どんな壊れ方したんだか……」
「栄養いるんだよね?はい」
「いいかカズト、クローンのエサは食事とは違うんだ」
「食べれないの?」
「普通はやらねぇからなぁ、まぁ少しにしとけ」
「ほら餌だよ」
栄養ではなく、ほとんど動けない『食事』を初めて経験した
「……おいしいッで、す」
「何だ話せるじゃん!僕カズト!君のマスター!」
その日から夜はカズトと話をしたり勉強を手伝ったり
家政婦ロボは設定するのが苦手だそうで昼間は掃除をして
時々カズトの父に雑用や買い物などを頼まれたり
自分がクローンに産まれた運命も、悪いばかりではないと思い始めていた。
「自動音声読み上げ機能もありますよ」
「あれ時々間違えるもん!僕は6155がいいの!」
「では、私が朗読しましょう」
そして何度目とも数えていない朝を迎えた時だった
おつかいに出かけたら警察に捕まった
当然マスターがいるので問題は本来ないのだが
前の主がいい加減で、今の主は子供であった。
自分の所有権が譲渡がされた事になっておらず、脱走扱い
クローンの言い分など聞く耳を持たない
反抗的なクローンとして連れて行かれそうになった
その時に、見た事はある程度の少年と再会した。
「あれ、おまわりさんお疲れ様です」
「坊やありがとう、今お仕事ちゅうだから」
「おまえカズトん家のクローンだろ?なんで連行されそうなの?」
「それは……」
「あー違う違う、お巡りさんはお話きいてただけだよ」
証人が現れ流石に引いた、だが
「有難うございます、しかしカズト様とそんなに親しい方だとは聞いてないのに、何故?」
「クローンだからって助けちゃいけない訳じゃねーよ」
「……人間なのに、珍しい方だ」
「それに母ちゃんがクローンに厳しくすると怒った顔すっから、それだけ」
無事におつかいを終えて家に帰った、するとマスターは涙目で抱きついて来た
あとで聞いた話によると先ほどの彼が状況をメッセージで知らせてくれていたのだ。
「買ってきました」
「ごめんね!僕、『登録』してなかった……連れていかれ、ないよね!?」
「マスター私はあなただけの物ですよ、ずっとおそばにいますから」
「約束だよ」
「命令すればいいのですよ、私はクローンなので」
「約束!」
「……はい」
そんな家族の元で、ついに終焉放送の日がやってきた
逃げ出したクローンの様子を配信している最中に、全世界で人が蒸発していく事件
人だけではなく自分たちクローンも消えていってしまうのだ。
「これは……!?」
それに伴い、全国で事故や暴動が多発したと空に浮かぶニュースが報道している。
心配になりカズトが通う学校へと向かったが既に遅かった
どこの組織か国かが化学兵器を使い、学校の人間は身体が溶けてほとんど人の形を保っていなかった
そんな中で屋上へと逃げた数名が火から逃げる為に飛び降りだした
その中に
「マスター!?」
受け止めようと走ったが間に合わず、建物から落ちてきた自分の主人は即死といっていいほどに手足内臓がバラバラに飛散していた
「……マスター、傍にいれ、なかった」
かつてはあれほど望んでいた筈の、自分の主人が死ぬという事なのに悲しくて涙が溢れそうだった。
化学兵器は地面に毒の霧を発生させており、自分も意識がなくなっていった。
―――――――――――――――――――――
気が付けば魔法陣の上に立っていた、姿や服装は同じだが抱いていた筈の主人の死体は消えている
魔王はすぐそばにいて
「お前、名前は?」
「ええと6155です」
自分のようなクローンは勇者と呼ばれている事
人間は姿を変えて魔族である事
他にも沢山の、食事から魔法から色々魔王教わって
共に旅をする仲間となった
魔族は勇者をクローンとして見下すのに、魔王とイシはそうではなく
とても頼りになる存在だった
そしてこの世界では『魔族』が嫌われ者だった
クローンの技術が無いこの世界ではクローンは人間
彼らになんて酷いしうちをした奴らだと人々は口にしていた
在る時、崖が崩れてある魔族が怪我をして登れなくなっていたのを手を伸ばして救った
「何でクローンの癖に魔族の俺を助けた!?元々人間だと知らねぇのかよ!!」
「……知っていて助けたんですよ、人が死ぬ所を見たくなかっただけです」
6155はある会社に買われて、部品工場で働いていた
決して手は抜かなかったし自分が他の人間より優れていた自信はあった
だが、逆に人間の仕事を完璧にこなしたのが不味く『人間』の反感を買い
邪魔をされたりするようになり結果『故障』としてリサイクル施設に売られた
安物になった自分は、サディストの男の元に買われていった。
そこからは、悲惨としか言えない。
牢屋の中で殴られたり犯されたり、そして様子は全国に動画配信されていた
クローンは国が『どう扱ってもいい』としたために犯罪とはならない
壊れそうになる限界で、舌が動かせなくなりまともに喋る事が出来なく成った
再び自分は売りに出され、話せもしないし二度目という事で本当に安い値段
「これで、買えますか?」
デパートの安売りコーナーで売られていた所、カードを握りしめて来た子供がいた
コンビニで軽食ぐらいは買えるそのカードで買っていった
「番号は……6155?一緒に帰ろうね」
その家はまだ空を車があまり飛んでいない田舎の、ごく普通の家庭
「おかえ、り!?」
「パパ、これでもう大丈夫!」
「何でクローン奴隷なんか……しかもボロボロだな」
「僕、これでもうへっちゃらだよ」
「すまないなカズト」
恐らくは小学生くらいの少年と、彼を撫でる父親
「さて……こんだけボロイって事はなんか問題かかえてるか?」
「……ッ」
「何だ喋れん奴なのか、まぁ喚くよりはいいか」
その家は今時珍しい、写真と呼ばれる物が一枚机の上に
「僕のママ、事故で死んじゃった」
「ッ」
「パパがいない時でも、クローンいれば何とかなるよ!」
「……」
父親はやれやれといった感じで、風呂を貸してくれた
「電子力シャワーの使い方、分かるか?」
「(首を縦にふる)」
「おっ、なんだ知識はありそうだな」
綺麗にして、服を貰った
「お前汚れてて分かんなかったけど6000番台の顔してんな!?」
「……」
「えーと、コードは?」
腕の識別を見せた
「6155って、上物じゃんか!?どんな壊れ方したんだか……」
「栄養いるんだよね?はい」
「いいかカズト、クローンのエサは食事とは違うんだ」
「食べれないの?」
「普通はやらねぇからなぁ、まぁ少しにしとけ」
「ほら餌だよ」
栄養ではなく、ほとんど動けない『食事』を初めて経験した
「……おいしいッで、す」
「何だ話せるじゃん!僕カズト!君のマスター!」
その日から夜はカズトと話をしたり勉強を手伝ったり
家政婦ロボは設定するのが苦手だそうで昼間は掃除をして
時々カズトの父に雑用や買い物などを頼まれたり
自分がクローンに産まれた運命も、悪いばかりではないと思い始めていた。
「自動音声読み上げ機能もありますよ」
「あれ時々間違えるもん!僕は6155がいいの!」
「では、私が朗読しましょう」
そして何度目とも数えていない朝を迎えた時だった
おつかいに出かけたら警察に捕まった
当然マスターがいるので問題は本来ないのだが
前の主がいい加減で、今の主は子供であった。
自分の所有権が譲渡がされた事になっておらず、脱走扱い
クローンの言い分など聞く耳を持たない
反抗的なクローンとして連れて行かれそうになった
その時に、見た事はある程度の少年と再会した。
「あれ、おまわりさんお疲れ様です」
「坊やありがとう、今お仕事ちゅうだから」
「おまえカズトん家のクローンだろ?なんで連行されそうなの?」
「それは……」
「あー違う違う、お巡りさんはお話きいてただけだよ」
証人が現れ流石に引いた、だが
「有難うございます、しかしカズト様とそんなに親しい方だとは聞いてないのに、何故?」
「クローンだからって助けちゃいけない訳じゃねーよ」
「……人間なのに、珍しい方だ」
「それに母ちゃんがクローンに厳しくすると怒った顔すっから、それだけ」
無事におつかいを終えて家に帰った、するとマスターは涙目で抱きついて来た
あとで聞いた話によると先ほどの彼が状況をメッセージで知らせてくれていたのだ。
「買ってきました」
「ごめんね!僕、『登録』してなかった……連れていかれ、ないよね!?」
「マスター私はあなただけの物ですよ、ずっとおそばにいますから」
「約束だよ」
「命令すればいいのですよ、私はクローンなので」
「約束!」
「……はい」
そんな家族の元で、ついに終焉放送の日がやってきた
逃げ出したクローンの様子を配信している最中に、全世界で人が蒸発していく事件
人だけではなく自分たちクローンも消えていってしまうのだ。
「これは……!?」
それに伴い、全国で事故や暴動が多発したと空に浮かぶニュースが報道している。
心配になりカズトが通う学校へと向かったが既に遅かった
どこの組織か国かが化学兵器を使い、学校の人間は身体が溶けてほとんど人の形を保っていなかった
そんな中で屋上へと逃げた数名が火から逃げる為に飛び降りだした
その中に
「マスター!?」
受け止めようと走ったが間に合わず、建物から落ちてきた自分の主人は即死といっていいほどに手足内臓がバラバラに飛散していた
「……マスター、傍にいれ、なかった」
かつてはあれほど望んでいた筈の、自分の主人が死ぬという事なのに悲しくて涙が溢れそうだった。
化学兵器は地面に毒の霧を発生させており、自分も意識がなくなっていった。
―――――――――――――――――――――
気が付けば魔法陣の上に立っていた、姿や服装は同じだが抱いていた筈の主人の死体は消えている
魔王はすぐそばにいて
「お前、名前は?」
「ええと6155です」
自分のようなクローンは勇者と呼ばれている事
人間は姿を変えて魔族である事
他にも沢山の、食事から魔法から色々魔王教わって
共に旅をする仲間となった
魔族は勇者をクローンとして見下すのに、魔王とイシはそうではなく
とても頼りになる存在だった
そしてこの世界では『魔族』が嫌われ者だった
クローンの技術が無いこの世界ではクローンは人間
彼らになんて酷いしうちをした奴らだと人々は口にしていた
在る時、崖が崩れてある魔族が怪我をして登れなくなっていたのを手を伸ばして救った
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