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25話 マスコット
しおりを挟む夕方になり気温はさらに低くなり今までで一番寒い状況に
暖を取る為に焚き火をして薄味のスープを作り皆で飲む
動けない彦星の為に焼いた石をテントに入れて
「この寒さだとうっかり寝たら危険そうね」
「確かに朝に成れば凍死しててもおかしく無いです」
「でも焼いた石のおかげでだいぶ温かいわね」
テントは現状全部で3つあり
最後に建てた吊るし式テントに彦星と自分は眠る事に
ヒロと久利巣は今まで通りのテント
焼いた石でそれぞれテントを温めるが寒すぎて足りない
「石って意外と脆いんだな」
「種類を考えないといけませんね」
「これむっちゃ寒くて明日の朝までもたんのとちゃう?」
焚き火に当たっているうちはいいのだが寝るとなれば地面の冷気
本来は寝袋の下に銀マットなどをひいて対策するが
持っていないのだから仕方が無く
タオルを敷いたりして少しでも何とかしてはいるが限界があった
「薪の消費も思ったより早いな」
「そうださっきのガス缶なら部屋を暖められるかも」
「貴重なんだろ?」
「この寒さですから死人が出るよりマシです」
「ほならうちらが焚き火でタロウさんたちが使ったらええわ」
「俺もそれに賛成だ」
と言う訳でガスコンロを持ってテントに入り点火
既に周りは暗く火はテントの中を照らした
とはいえ本来は布に引火したりする恐れが強く絶対に避けるべきこと
「燃えないかしら?」
「何も置いてなければかえって危ないのでフライパンとそこへ石をのせます」
極寒からそれなりの適温に変わったが
眠るのであれば火を見ていられない
いくらなんでも消さねばと頭を抱える
「痛ッ」
「大丈夫!?」
「上半身なら動かしてもよさげだしアタシが火を定期的に点けるのはどう?」
「起きていられます?」
「どうせ昼間に動けないわ」
「もし無理そうだと思ったらすぐ起こして下さいね」
「分かったわ」
さっそく眠らせて貰い朝に成った。
昨晩より冷えていたが自分は生きている
あまりの寒さから彦星の身に何かあったのではと見てみれば
「おはよ」
「何かありましたか?」
「途中でガスが切れちゃって」
「成程」
なんとか外に這い出てまだ残っていたガス缶を取ってきた。
節約すべきなのだが手がかじかんでまともに動かせない
そのためテントの中を多少でも温める為に点火した。
5分もすればある程度は自由に動けた為にテントから出た
「今は焚き火の準備をしてる」
「おはよーやで」
ヒロも久利巣も大した事は無い様子
「二人とも無事で良かった」
「心配症やなぁ」
「このライターって奴便利だな」
着火して焚き火が温かく燃え上がる
そこで薄味のスープを作って彦星の所へ持ってきた
二人で飲みつつ
「トイレに行きたいから肩かして頂戴」
「分かりました」
無事に介助を済ませて彦星をテントに戻して寝かせ
自分は昨晩で大分使った薪を探しに行こうとしていた
箱が出現したので触れた
『毛布』である
「彦星さんこれかぶって下さい」
「あら毛布じゃない!!」
「箱から出て来たんですよ」
「このおおきさならかぶるより下に敷くのにちょうどいいんじゃないかしら」
「起こして痛みませんか?」
「なんとか抱えてその間に?」
「ヒロさんを呼んで来ますね」
彦星をヒロがシュラフごと姫抱きしている間に床へ毛布を敷いた
こんなにもすぐ効果が現れるのかと思うほど
テントの中に温かさが充満した
「ゆっくり降ろすからな」
「……ぅ」
「これで昼の間ぐらいは何とかなるだろ」
「急いで薪を集めに行きましょう」
「確かにな」
近場にはもう薪があまり落ちていない為
少し遠くまで取りに行く必要があった
10分以内の範囲から15分かかる場所へ広げるのは意外と負担が大きかった
だが今晩も寒さをしのがなければならないのなら薪ほど必要なものも無い
「おかえりやでー」
「ナイフを装備したので運びにくい木も切れて良かったです」
敵と遭遇した時に自力でどうにかする為のナイフだったが
枯木というのは大きすぎたり形状が複雑なものが落ちていたりして
こまかく切って運べばかなりの量を持ち運ぶことが出来たのだ
後ろに黒い影が
「モンスター!?」
『あー違う違うオイラは『ボッタ君』だぜ!!』
虫歯菌の擬人化のようなキャラクター
サンタさんが持つような白い服を背負っている
会話できるという事は
「NPC?」
『オイラぼったくり価格の課金アイテムを売りに来た』
「今はお金を持って無いのですが」
『ゲーム内通過とちゃうで?課金や課金!!』
その言葉は分かる
ゲームで使うキャラや武器などを現実のお金でどうにかする
経験値が溜まりやすくなる課金などもあって種類は様々
「つまり何か販売をしていると」
『今回の販売はこの毛布だからな』
今朝テントに敷いた毛布と同じ物
一般的な物にくらべて少しだけ小さい
NPCである以上は質問して平気か
「現実世界にいる自分がおかねを払う?」
『そーや、『タロウ』さんはクレカから自動で引き落としな!』
「1枚いくらです?」
『ああ個数だけど今回は1個しかもって来てないぞ、値段は5千円な』
通常の毛布並みの値段だが今はいい
「次に何時現れますか?」
『オイラ一定の冒険ポイントが溜まったら出るぜ』
「冒険ポイント?」
『これ以上の情報はなぁ?』
金のマークを手で作る嫌なマスコット
だが5000円でも今の状況を考えれば安い
それぐらいならば1日がんばればなんとかなる
「『毛布を買う』から教えて欲しい」
『冒険ポイントってのは時間の経過と山に登った数に道具の使用でも貯まる事があるぜ』
「もしかしてブルーナイフを使ったから?」
『それは言えねぇけど特別サービスでもうちょっと教えちゃうぜ』
「おねがいします」
『オイラをまた出したきゃ言った事が無い山に登っておくと出やすくなるぜ?』
毛布を残してボッタ君は消えた。
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