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43話 望むものとは違うけど

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色々あって雪山にヒロとタロウ、ウサギ定石で登り切り
耐久を開始して2週間が経過
食料や多少の防寒具などが出たがまだ良い物がなく

「ふー……」

人は進展が無い状況に追い込まれると精神的なきつさがある
出る事が出来ない箇所に閉じ込められるのは案外辛い
昔の宇宙局が行った実験で閉鎖空間だと監視カメラにお尻ぺんぺんしていた記録がるとか

そしてようやく出た光の強い箱

「あとはこれが何かによる―――!!」

触れたら缶スプレーに代わり
白いラベルにO2と書かれ50時間使用可能の文字
全部で4つある


「ハズレか?」
「大当たり……だね」
「まじ?」
「高い山ほど呼吸で得られる酸素は薄いから」
「ともかく次の所に移動しねぇか?」
「賛成」

荷物を整理して鞄に全てを詰め込み出発した
今までなら慎重にいくが精神的な厳しさがあり
かなり強引に山を降りて時点に向かった

「身体を動かすのはやっぱりいいね」

寒さに耐える必要はあっても外に解放されるすがすがしさ
おかしなテンションになっているのが分かる
妹を失いたくない一心でただ足を進めた


「こっちの山は小雨だな」
「すぐに登ろうか」

急ぐとろくな事がないと分かってはいても頂上に行きたくて
無言で山を登るも途中で体力が尽きた
幸い池のような場所があり水だけ確保できた

「ふー……ふー……」
「ウサギ定石は『レアアイテム』ってどう使うか分かるか?」
『今つかってもいいぐらいだと俺は思っている』
「え?」
『ご主人が息をきらしているだろう?』
「ああ」
『吸わせてみれば効果が分かる』

見せるのが一番手っ取り早いという判断
確かに何かがわからないのではこの先で不満もあると
実演してみせた

シュコー

酸素を吸ってしばらくすると呼吸が楽になった

「回復早くね!?」
「……登ろう」
「治療薬って事か?」
「肺へ使う薬だと思っていて下さい」
「薬!あれだけ耐えた意味があったってもんだな……」

そこまで聞くと納得したらしい
足取りが軽くなりご機嫌
やっとの思いで手に入れた物が使い方不明では報われないからもっと早く言うべきだった



「大きさのわりに使える量が多いからかなり助かりそう」
「へぇ」

こうしてたどり着いた山頂
何故か広場のようになっていて椅子も
小さな祠があり開けてみると石像が

ゲーマーとしてはセーブゾーンにしか見えない

「なんだこりゃ?」
「何がで―――――――」

ポリタンクである、20Lと書かれている表記
水源が遠いと心配していたが
20Lも運べれば解決する

4次元カバンに水を入れた状態で入れられる事も確認できた

「ウサギ定石に頼める?」
『問題ないが既に日が暮れている、ゆえに明日の朝に起つ』
「分かった」
「テント出してみろ」

巨大テントを設営する
もはや慣れているが広場には壁がありかえって邪魔だった
祠を壊す案もあれどゲームでこういうものを壊した奴は末路がおおかた決まっている

「そっちの壁少し削るだけなら出来ない?」
「こうか?」

すっぱり斜め45度の角度で切れた石の壁

「これなら設営できる」
「さっさと建てて中で休もうぜ……」
「うん」

設営が完了して中に入って晩御飯を食べる
気温はそれほど低くないしなにより地面が煉瓦でぬかるみもなく
冷めた食事でも十分な栄養をとる事が出来た

翌朝には缶の緑茶が出たので水分も取れすっかり回復した

「改めて見るとかなり景色がいいな」
「これで水さえ近ければいうこと無しではあったんだけど」
「いや……」
「どうした?」
「雨が降りそうじゃないか?」
「ほんとだ!!」

遠くに雨雲が見えて向かってきている
とすればと思い二人でスコップを使い大きな穴を掘った
案の定雨がふって泥水の池が出来たが

「飲むのはきついな」
「ろ過装置も今は無いけどタオルぐらいは待てば出ると思う」

さらに箱はカップ麺に代わり
当分の間は食料にも問題はなく
今までが嘘のように晴れやかな気分だった
ウサギ定石が水をとってきてくれたおかげで

「今日は晴れているから洗濯しよう!!」
「洗濯!?」
「汚れがひどいし飲み水に余裕がある今しか出来ないから」
「何を洗うんだ?」
「服と寝袋」

どうにか『家事』をこなして椅子にや広場の壁に洗濯物を干した。


「あまりに乾かないようなら中で焚き火でもしようか」
「元気になってよかったぜ、すげぇなあの薬」
「息を切らしている時にしか使えないけどね」
「充分だ」

ウサギ定石が夜に帰って来た
4次元鞄は貴重品なのでウサギ定石に持たせて紛失はさけたくて
リュック一つでどうにか前拠点からできるかぎりのものを持ってきてもらった
おいて来てしまった着替えやブルーシートに毛布にロープ

『任務完了だ』

「今のうちに次の山についても話しておこうか」
「隣に見えたあれがそう?」
「うん」

レベルはなんとたったの3で
モンスターも『いぬ・イノシシ』となんとかなるレベルの奴しかいない
非常に低いなだらかな山であり3時間ほどで登り切れそうな様子

「ならいっそ一度登って様子みておくか」
「僕とウサギ定石で行く」
「まじ?」
「この拠点にどっちかは残って箱を開けないとだから」
「俺が行くんじゃ駄目なのか?」
「迷子の可能性があるから……僕が行くね」
「たしかにこの距離ならなんかあったらかけつけられそうだからな」


おにぎりとお茶にブルーナイフ(モンスターが出た時用)
トレッキングポールに何かあったときのカロリーバーを持って出発した
天気もよくゆったりと登ってお昼ごろには頂上についていた

「まさかの公園」

反対側の景色はなんと公園
道が整備された広い所で噴水に整理された街路樹
数か月存在すら見て無かった本物のトイレ(流れるかは不明)


「これは移動するのありだな」
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