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第一章・・・卵はたまごなんです!

6話【部屋にて】

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 宿で出されたご飯は何と言うか・・・質素というか・・・うん。いや事前にこの世界の事を教えてもらっていたけどこの世界の食事事情が塩味一択ってどういう事?
 コショウはあるけど高級すぎて王族など身分が高い貴族などしか持ってないらしいし・・・塩オンリーでもこの世界の料理って響きだけではスゴイ食べたくなるんだけどね。孵化したら一口だけでも食べさせてもらおう。


 夕食を食べたあとは藁の敷いたベットに私を誘導して自分は机で武器のメンテナンスをし始めた。
 真剣な表情で丁寧に剣やナイフを手入れしていく。やっぱり自分の命をかけるもんだから当然っゃ当然なんだけどずーとそれ見るのも飽きてきたのでベットから浮き上がりウェドルフさんの目の前をふわふわあっちいったりこっちいったりと動く。意外と宙に浮くのは楽しい。
 
 ウェドルフさんはちょっかいをだす私を叱ることなくむしろ嬉しそうに「おいおい、危ないだろ」と武器から離そうとする。しかも顔は嬉しそうだ。


 「・・・まさか俺が契約獣をもてるなんてな」
 
 ぽつりとそうつぶやいたウェドルフさんは持っていた手入れ道具を机の上に置き私に体を向ける。おもわず私も目が合わせやすい高さに浮く。


 そういえば契約獣ってたしか基本的にテイマーの素質があるか私みたいにモンスターの卵を孵化させて刷り込みするぐらいにしか手に入らないんだっけ?しかもモンスターの卵なんて早々ないしテイマーの素質を持つ人もなかなかいないし契約獣自体めずらしい存在だし、そのあとの維持費。つまり食費などの費用経費も掛かっちゃうからお金をもってないと飢えちゃうし、私はまだこのサイズだから宿の中に入れたけどこれが大型だったりした場合は小屋などもかしてもらわなければいけないから出費もかさんじゃうから並の冒険者なら欲しくても維持費を稼ぐのに火の車じょうたいで毎日バタバタ仕事しないととてもじゃないが自分の生活もできやしないって事もざらにあるらしい。

 「お前はこのままなのか?それとも・・・」
 
 いいえ孵化予定です。そして一応ドラゴン?になる予定なので食費がやばいなら狩っていきますんで。

 「今日、お前のおかげで収入も上がったし。お前とならさらに上を目指せるのか?」

 そういってふっと笑い私の頭をなでるが「けどお前に頼りっぱなしはかっこつかねーな」とバツが悪そうに言うから本当にこの人は性格が良い人なんだなって思う。
 普通は天狗じゃないが慢心したり強い契約獣をもったらその力を自分の力だと勘違いしそうなんだけど。この人は自分自身をさらに高めて自分と一緒に上に上りたいらしい。
 ちらっと受付の時ギルドカードが出されていた時に見たけどウェドルフさんはランクDの冒険者で冒険者には高い順でSSS,SS、S、A、B、C、D、E、Fランクと別れておりDでようやく一人前程度らしい。Cからは基本的に一般的に強い!と言われる冒険者でAランクからはいっきに人数が激減していま確認している中で数十名ほど、Sランクから上は数人でSSSは今はいないらしい(過去に2,3人はいたらしい)

 「・・・ちび達にも紹介してーが・・・それより明日から忙しくなるだろうし。落ち着いてからでいいか」

 ん?ちび達?
 首はないので卵前提を傾ける。

 「ちび達はな、俺のいた孤児院の奴等なんだが。みんなかわいげのねーやんちゃな悪ガキたちさ。お前にも紹介してーが、あいつらを相手にするとすぐばてるから逃げとく準備はしとけよ?」

 まっお前は飛んで逃げれるから大丈夫か!っというウェドルフさん。そうか、ウェドルフさん孤児院育ちなのか・・・。けどずいぶん下の子等に慕われてるんだなぁ。性格も良いし、子供は外見より中身をよく見るから慕われてるのは分かるというか当然なんだろうね。


 「さ、明日は忙しいぞ、お前も明日はやることがあるかもしれないからゆっくり休むんだぞ」


 そういって私を抱えて・・・・添い寝・・だと・・!!!


 ちょっ、まっ・・・これは休める自信ないよ!!てゆーか私一応前世ではまだぴちぴち(死語)の女子高生にはハードルキツいっ・・・う、腕まくら・・だと!!
 ああ、殻越しでもわかる・・むっ、胸板が目と鼻の(目も鼻もないけど)先に!!これはおいしいシチュエーションだけど私!今!卵!!なんですけどぉおおお!!!!シチュエーションもフラグも玉砕!粉砕!木っ端微塵なんですがコレ!!
 


 こんな状況で休まれないから・・・兄様達!姉様達!はやく神託プリーズ!私の孵化方法について早く!!!お年頃の乙女(女はけっこう捨ててる感じだけど!)にはこの状況はツライ!!(目福的な意味もかねて!!!)



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