3 / 128
先生と僕
お金
しおりを挟む
家の中に入ると、軽く家の間取りの説明をされてからすぐに僕がこれから使う部屋に案内された。僕の部屋はニ階の一番階段に近い部屋で、日当たりも良い場所だった。
「ここが君の部屋だ。何かわからないことや欲しいものがあったら遠慮なく言ってくれ。荷物はここに置いていくぞ。一通り準備が終わったら下のリビングへ降りてきてくれ、これからの事について話そう」
「わ、わかりました」
僕がそう言い終わるとパタンとドアを閉めて下へ降りて行く。
僕は教材を机の引き出しや本棚に入れ、私物はとりあえずロッカーの中に全て入れた後あの人がいるリビングへ向かった。
何やら資料を見ている。多分、僕が通う高校とかの資料だろう。その人は僕に気づくと目線ををこっちに向けて口を開いた。
「早いな、もっとかかると思ったが」
「荷物はほぼ教材だったので…」
そう言うと、その人は少し眉を顰めて尋ねる口調で問う。
「君の歳だと洋服やアクセサリー、メイク道具類も多いのでは?この時間だと全てを整理しきっていないだろう。そのままでいいのか?」
「あぁいえ、ぼ…私はあまりそういうのには疎くて、気にしないでください」
そう言うと、「…そうか」とだけ言ってまた目の前の資料に目線を戻す。
うぅ…女なのに雑な奴だと思われたかもしれない。だってこの人の方がファッションとかメイク詳しそうだし。でも僕は服とかメイク用品とか買うお金持って無いし、施設でも見つかったらきっと勝手に捨てられてしまうし。そんなダサい言い訳をぐるぐる考えながら僕はその人の前に座る。
「早速話に入りたいところだが、何か不自由な点はあったか?」
「いえ、むしろあんなに広い場所を使わせていただけるなんて思わなかったのでビックリしました」
部屋にはベッドも勉強机もあって、とても快適な部屋だった。急な話だったし、もっと狭い部屋だと思っていたのに。
「そうか、まぁ好きに使ってくれ。それで…君についての事なんだが、いくつか質問するから答えてくれ」
「分かりました」
「名前は烏坂 夕。高校一年生で、施設から俺の元に来た…で合っているか?」
「はい、間違いありません」
「そうか、じゃあ質問は終わりだ。多分高校から課題が出されているだろう、頑張れよ」
「えっ、あっ」
えっ、もう終わってしまった。もっとなんかこう…部活は入るのかとか、行事とか学費のことを話すのかと思っていた僕はあまりにあっさりと終わってしまった質疑応答に拍子抜けした。
「何か気になることがあったか?」
「あっあの…その…部活とか、学費のことは良いんですか…?」
「部活に入るか入らないかは君次第だし、俺が決めることじゃない。学費やらその他の費用は全て俺が出すことになってる。だから要らん心配はするな」
「えっ」
学費は全額この人が出すのか?てっきり僕がバイトを掛け持ちして払うものだと思っていた。だって、そしたら、ほんとに僕は、
「ぼく…僕は、ほ、ほんとに…?」
これは本当に現実だろうか?あまりに現実味のない内容に頭が追いつかず、口が回らない。タジタジになっている僕を見て、その人は目を細めて言った。
「…施設の奴に何を言われたのかは知らんが、とにかくこれは俺と施設とのやり取りで決まったことだ。それとも、俺が金を持っていない様に見えるか?」
「いっいえっ、そっ、そんなことではないんです!ただ…その…本当にいいんですか…?あっ、いやっ、後から僕が返すとはいえ…」
そう言うと、その人は目を少し見開いて少し驚いた声色で言った。
「返す?返さなくていい。さっきも言ったろう、心配するなと。」
返さなくていい…?なんでそんなこと言うのだろう。なんでそんなことが言えるのか、僕には分からなかった。
だって、お金は重要だ。お金があれば、何でもできる。美味しい物を食べれるし、企業を立ち上げることも、何かをでっち上げることも、逆にもみ消すことも。
それに、何だって買える。服も、車も、家も、
ー愛だって買えるのだ。ー
それなのに、この人はお金にまるで執着が、興味が無い。こんな人間、実在するのか。そんなことを考えている僕に、その人は思い出した様に言った。
「俺の自己紹介をしてなかったな。灰月 鷹翔だ。これからよろしく頼む」
「ここが君の部屋だ。何かわからないことや欲しいものがあったら遠慮なく言ってくれ。荷物はここに置いていくぞ。一通り準備が終わったら下のリビングへ降りてきてくれ、これからの事について話そう」
「わ、わかりました」
僕がそう言い終わるとパタンとドアを閉めて下へ降りて行く。
僕は教材を机の引き出しや本棚に入れ、私物はとりあえずロッカーの中に全て入れた後あの人がいるリビングへ向かった。
何やら資料を見ている。多分、僕が通う高校とかの資料だろう。その人は僕に気づくと目線ををこっちに向けて口を開いた。
「早いな、もっとかかると思ったが」
「荷物はほぼ教材だったので…」
そう言うと、その人は少し眉を顰めて尋ねる口調で問う。
「君の歳だと洋服やアクセサリー、メイク道具類も多いのでは?この時間だと全てを整理しきっていないだろう。そのままでいいのか?」
「あぁいえ、ぼ…私はあまりそういうのには疎くて、気にしないでください」
そう言うと、「…そうか」とだけ言ってまた目の前の資料に目線を戻す。
うぅ…女なのに雑な奴だと思われたかもしれない。だってこの人の方がファッションとかメイク詳しそうだし。でも僕は服とかメイク用品とか買うお金持って無いし、施設でも見つかったらきっと勝手に捨てられてしまうし。そんなダサい言い訳をぐるぐる考えながら僕はその人の前に座る。
「早速話に入りたいところだが、何か不自由な点はあったか?」
「いえ、むしろあんなに広い場所を使わせていただけるなんて思わなかったのでビックリしました」
部屋にはベッドも勉強机もあって、とても快適な部屋だった。急な話だったし、もっと狭い部屋だと思っていたのに。
「そうか、まぁ好きに使ってくれ。それで…君についての事なんだが、いくつか質問するから答えてくれ」
「分かりました」
「名前は烏坂 夕。高校一年生で、施設から俺の元に来た…で合っているか?」
「はい、間違いありません」
「そうか、じゃあ質問は終わりだ。多分高校から課題が出されているだろう、頑張れよ」
「えっ、あっ」
えっ、もう終わってしまった。もっとなんかこう…部活は入るのかとか、行事とか学費のことを話すのかと思っていた僕はあまりにあっさりと終わってしまった質疑応答に拍子抜けした。
「何か気になることがあったか?」
「あっあの…その…部活とか、学費のことは良いんですか…?」
「部活に入るか入らないかは君次第だし、俺が決めることじゃない。学費やらその他の費用は全て俺が出すことになってる。だから要らん心配はするな」
「えっ」
学費は全額この人が出すのか?てっきり僕がバイトを掛け持ちして払うものだと思っていた。だって、そしたら、ほんとに僕は、
「ぼく…僕は、ほ、ほんとに…?」
これは本当に現実だろうか?あまりに現実味のない内容に頭が追いつかず、口が回らない。タジタジになっている僕を見て、その人は目を細めて言った。
「…施設の奴に何を言われたのかは知らんが、とにかくこれは俺と施設とのやり取りで決まったことだ。それとも、俺が金を持っていない様に見えるか?」
「いっいえっ、そっ、そんなことではないんです!ただ…その…本当にいいんですか…?あっ、いやっ、後から僕が返すとはいえ…」
そう言うと、その人は目を少し見開いて少し驚いた声色で言った。
「返す?返さなくていい。さっきも言ったろう、心配するなと。」
返さなくていい…?なんでそんなこと言うのだろう。なんでそんなことが言えるのか、僕には分からなかった。
だって、お金は重要だ。お金があれば、何でもできる。美味しい物を食べれるし、企業を立ち上げることも、何かをでっち上げることも、逆にもみ消すことも。
それに、何だって買える。服も、車も、家も、
ー愛だって買えるのだ。ー
それなのに、この人はお金にまるで執着が、興味が無い。こんな人間、実在するのか。そんなことを考えている僕に、その人は思い出した様に言った。
「俺の自己紹介をしてなかったな。灰月 鷹翔だ。これからよろしく頼む」
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ちょっと大人な物語はこちらです
神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な短編物語集です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
黒瀬部長は部下を溺愛したい
桐生桜
恋愛
イケメン上司の黒瀬部長は営業部のエース。
人にも自分にも厳しくちょっぴり怖い……けど!
好きな人にはとことん尽くして甘やかしたい、愛でたい……の溺愛体質。
部下である白石莉央はその溺愛を一心に受け、とことん愛される。
スパダリ鬼上司×新人OLのイチャラブストーリーを一話ショートに。
ブラック企業で倒れた私を、ネトゲ仲間の社長が強制保護して溺愛しています
紅 与一
恋愛
過労で倒れた私を救ったのは、
ネトゲ仲間――そしてIT企業の若き社長。
「もう君は、僕の管理下だよ」
退院と同時に退職手続きは完了。
住む場所も、生活も、すべて彼に囲われた。
外出制限、健康管理、過保護な独占欲。
甘くて危険な“保護生活”の中で、
私は少しずつ彼に心を奪われていく――。
元社畜OL×執着気味の溺愛社長
囲い込み同棲ラブストーリー。
「君はいらない」と捨てられた夜、天敵の冷徹社長に「なら、俺が貰う」と拾われました。――手を出さない約束でしたが、彼の理性が限界のようです
葉山 乃愛
恋愛
【婚約破棄から始まる、不器用なライオン(冷徹社長)の猛烈な求愛!】
「俺の妻になるなら覚悟しろ。……もう、指一本逃がすつもりはない」
★あらすじ★
「美月は完璧すぎて、可愛げがないんだよ」
28歳の誕生日。
一流ホテルのウエディングプランナーである相沢美月(あいざわ みつき)は、婚約者の裏切りにより、結婚目前ですべてを失った。
雨の降る路地裏。
ヒールも折れ、心も折れてうずくまっていた美月の前に現れたのは、かつての高校時代の天敵であり、現在は勤務先の冷徹な社長 一条蓮(いちじょう れん)だった。
「捨て猫以下だな」
そう憎まれ口を叩きながらも、彼は泥だらけの美月を躊躇なく抱き上げ、最高級ペントハウスへと連れ帰る。
そして、彼が突きつけたのは、あまりにも強引な提案だった。
「住む場所がないなら、俺の家に来い。その代わり――俺の『婚約者』役を演じろ」
利害の一致した契約関係。
条件は「お互いに干渉しないこと」、そして「決して手を出さないこと」。
……のはずだったのに。
「髪、濡れたままだと風邪を引く」
「あんな男のために泣くな。顔が台無しだ」
同居生活で見えてきたのは、冷徹な仮面の下に隠された、不器用すぎるほどの優しさと独占欲。
美月が作った手料理を誰よりも美味しそうに食べ、元婚約者が復縁を迫ってくれば「俺の女に触れるな」と徹底的に排除する。
天敵だったはずの彼に守られ、凍っていた美月の心は次第に溶かされていく。
しかし、ある雷雨の夜。
美月が不用意に彼に触れた瞬間、一条の理性のタガが外れてしまい――。
「……手を出さない約束? 撤回だ」
「そんな無防備な顔で見つめて、何もしないでいられるほど、俺は聖人君子じゃない」
10年越しの片思いをこじらせたハイスペック社長 × 仕事熱心で恋愛に臆病なプランナー。
契約から始まった二人の関係が、本物の愛(溺愛)に変わるまで。
元婚約者への痛快な「ざまぁ」も収録した、極上の大人のシンデレラストーリー!
【登場人物】
◆相沢 美月(28)
ホテルの敏腕ウエディングプランナー。真面目でお人好しな性格が災いし、「つまらない女」と婚約破棄される。実は家事万能で、酔うと少しだけ甘えん坊になる(本人は無自覚)。
◆一条 蓮(28)
ホテルグループの社長。美貌と才覚を併せ持つが、他人に興味を示さないため「氷の貴公子」と呼ばれる。実は高校時代から美月を一途に想い続けており、彼女のこととなると冷静さを失う。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる