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先生と僕
お金
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家の中に入ると、軽く家の間取りの説明をされてからすぐに僕がこれから使う部屋に案内された。僕の部屋はニ階の一番階段に近い部屋で、日当たりも良い場所だった。
「ここが君の部屋だ。何かわからないことや欲しいものがあったら遠慮なく言ってくれ。荷物はここに置いていくぞ。一通り準備が終わったら下のリビングへ降りてきてくれ、これからの事について話そう」
「わ、わかりました」
僕がそう言い終わるとパタンとドアを閉めて下へ降りて行く。
僕は教材を机の引き出しや本棚に入れ、私物はとりあえずロッカーの中に全て入れた後あの人がいるリビングへ向かった。
何やら資料を見ている。多分、僕が通う高校とかの資料だろう。その人は僕に気づくと目線ををこっちに向けて口を開いた。
「早いな、もっとかかると思ったが」
「荷物はほぼ教材だったので…」
そう言うと、その人は少し眉を顰めて尋ねる口調で問う。
「君の歳だと洋服やアクセサリー、メイク道具類も多いのでは?この時間だと全てを整理しきっていないだろう。そのままでいいのか?」
「あぁいえ、ぼ…私はあまりそういうのには疎くて、気にしないでください」
そう言うと、「…そうか」とだけ言ってまた目の前の資料に目線を戻す。
うぅ…女なのに雑な奴だと思われたかもしれない。だってこの人の方がファッションとかメイク詳しそうだし。でも僕は服とかメイク用品とか買うお金持って無いし、施設でも見つかったらきっと勝手に捨てられてしまうし。そんなダサい言い訳をぐるぐる考えながら僕はその人の前に座る。
「早速話に入りたいところだが、何か不自由な点はあったか?」
「いえ、むしろあんなに広い場所を使わせていただけるなんて思わなかったのでビックリしました」
部屋にはベッドも勉強机もあって、とても快適な部屋だった。急な話だったし、もっと狭い部屋だと思っていたのに。
「そうか、まぁ好きに使ってくれ。それで…君についての事なんだが、いくつか質問するから答えてくれ」
「分かりました」
「名前は烏坂 夕。高校一年生で、施設から俺の元に来た…で合っているか?」
「はい、間違いありません」
「そうか、じゃあ質問は終わりだ。多分高校から課題が出されているだろう、頑張れよ」
「えっ、あっ」
えっ、もう終わってしまった。もっとなんかこう…部活は入るのかとか、行事とか学費のことを話すのかと思っていた僕はあまりにあっさりと終わってしまった質疑応答に拍子抜けした。
「何か気になることがあったか?」
「あっあの…その…部活とか、学費のことは良いんですか…?」
「部活に入るか入らないかは君次第だし、俺が決めることじゃない。学費やらその他の費用は全て俺が出すことになってる。だから要らん心配はするな」
「えっ」
学費は全額この人が出すのか?てっきり僕がバイトを掛け持ちして払うものだと思っていた。だって、そしたら、ほんとに僕は、
「ぼく…僕は、ほ、ほんとに…?」
これは本当に現実だろうか?あまりに現実味のない内容に頭が追いつかず、口が回らない。タジタジになっている僕を見て、その人は目を細めて言った。
「…施設の奴に何を言われたのかは知らんが、とにかくこれは俺と施設とのやり取りで決まったことだ。それとも、俺が金を持っていない様に見えるか?」
「いっいえっ、そっ、そんなことではないんです!ただ…その…本当にいいんですか…?あっ、いやっ、後から僕が返すとはいえ…」
そう言うと、その人は目を少し見開いて少し驚いた声色で言った。
「返す?返さなくていい。さっきも言ったろう、心配するなと。」
返さなくていい…?なんでそんなこと言うのだろう。なんでそんなことが言えるのか、僕には分からなかった。
だって、お金は重要だ。お金があれば、何でもできる。美味しい物を食べれるし、企業を立ち上げることも、何かをでっち上げることも、逆にもみ消すことも。
それに、何だって買える。服も、車も、家も、
ー愛だって買えるのだ。ー
それなのに、この人はお金にまるで執着が、興味が無い。こんな人間、実在するのか。そんなことを考えている僕に、その人は思い出した様に言った。
「俺の自己紹介をしてなかったな。灰月 鷹翔だ。これからよろしく頼む」
「ここが君の部屋だ。何かわからないことや欲しいものがあったら遠慮なく言ってくれ。荷物はここに置いていくぞ。一通り準備が終わったら下のリビングへ降りてきてくれ、これからの事について話そう」
「わ、わかりました」
僕がそう言い終わるとパタンとドアを閉めて下へ降りて行く。
僕は教材を机の引き出しや本棚に入れ、私物はとりあえずロッカーの中に全て入れた後あの人がいるリビングへ向かった。
何やら資料を見ている。多分、僕が通う高校とかの資料だろう。その人は僕に気づくと目線ををこっちに向けて口を開いた。
「早いな、もっとかかると思ったが」
「荷物はほぼ教材だったので…」
そう言うと、その人は少し眉を顰めて尋ねる口調で問う。
「君の歳だと洋服やアクセサリー、メイク道具類も多いのでは?この時間だと全てを整理しきっていないだろう。そのままでいいのか?」
「あぁいえ、ぼ…私はあまりそういうのには疎くて、気にしないでください」
そう言うと、「…そうか」とだけ言ってまた目の前の資料に目線を戻す。
うぅ…女なのに雑な奴だと思われたかもしれない。だってこの人の方がファッションとかメイク詳しそうだし。でも僕は服とかメイク用品とか買うお金持って無いし、施設でも見つかったらきっと勝手に捨てられてしまうし。そんなダサい言い訳をぐるぐる考えながら僕はその人の前に座る。
「早速話に入りたいところだが、何か不自由な点はあったか?」
「いえ、むしろあんなに広い場所を使わせていただけるなんて思わなかったのでビックリしました」
部屋にはベッドも勉強机もあって、とても快適な部屋だった。急な話だったし、もっと狭い部屋だと思っていたのに。
「そうか、まぁ好きに使ってくれ。それで…君についての事なんだが、いくつか質問するから答えてくれ」
「分かりました」
「名前は烏坂 夕。高校一年生で、施設から俺の元に来た…で合っているか?」
「はい、間違いありません」
「そうか、じゃあ質問は終わりだ。多分高校から課題が出されているだろう、頑張れよ」
「えっ、あっ」
えっ、もう終わってしまった。もっとなんかこう…部活は入るのかとか、行事とか学費のことを話すのかと思っていた僕はあまりにあっさりと終わってしまった質疑応答に拍子抜けした。
「何か気になることがあったか?」
「あっあの…その…部活とか、学費のことは良いんですか…?」
「部活に入るか入らないかは君次第だし、俺が決めることじゃない。学費やらその他の費用は全て俺が出すことになってる。だから要らん心配はするな」
「えっ」
学費は全額この人が出すのか?てっきり僕がバイトを掛け持ちして払うものだと思っていた。だって、そしたら、ほんとに僕は、
「ぼく…僕は、ほ、ほんとに…?」
これは本当に現実だろうか?あまりに現実味のない内容に頭が追いつかず、口が回らない。タジタジになっている僕を見て、その人は目を細めて言った。
「…施設の奴に何を言われたのかは知らんが、とにかくこれは俺と施設とのやり取りで決まったことだ。それとも、俺が金を持っていない様に見えるか?」
「いっいえっ、そっ、そんなことではないんです!ただ…その…本当にいいんですか…?あっ、いやっ、後から僕が返すとはいえ…」
そう言うと、その人は目を少し見開いて少し驚いた声色で言った。
「返す?返さなくていい。さっきも言ったろう、心配するなと。」
返さなくていい…?なんでそんなこと言うのだろう。なんでそんなことが言えるのか、僕には分からなかった。
だって、お金は重要だ。お金があれば、何でもできる。美味しい物を食べれるし、企業を立ち上げることも、何かをでっち上げることも、逆にもみ消すことも。
それに、何だって買える。服も、車も、家も、
ー愛だって買えるのだ。ー
それなのに、この人はお金にまるで執着が、興味が無い。こんな人間、実在するのか。そんなことを考えている僕に、その人は思い出した様に言った。
「俺の自己紹介をしてなかったな。灰月 鷹翔だ。これからよろしく頼む」
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