24 / 132
芽生え
オープンキャンパス
しおりを挟む
夏休み中、そういえば学校からオープンキャンパスに行ってこいと指示があった。
施設では高校を卒業したら、問答無用で就職の道に行けと言われていたから、僕にはあまり関係ない話だなと聞いていた。
しかし、それを先生に言ってみたら、
「ここはもう施設じゃない。自分が行きたい道を選べ」
そう言われても、いつも制限されてきた僕だ。急に自由にされても困る。
だって、何にも教えてくれなかったではないか。なのに急に自由にしていいよなんて言われても何もできないし、何もしなかったらまた何か言われるのだ。
眉を下げて困っている僕を見て、先生は優しい声で言った。
「急に言われても困るよな。だったたら俺がいる大学のオープンキャンパスに来れば良い」
「い、良いんですか?」
「むしろ来てくれた方が大学側は嬉しいだろ」
そう言って、先生がいる大学のオープンキャンパスの日程を調べて予約までしてくれた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
オープンキャンパスの日、僕は先生のいる大学に足を運んだ。
結構人がいる。僕は案内された席に座って、始まる時間まで待った。
時間になると、今回説明してくれる人が来て、この大学について説明し始めた。
みんながメモを取る中、僕もある程度メモを取ったが、事前に先生から聞いていたことが殆どだった。
説明が終わると、大学の授業がどんな感じかを見せてくれた。
案内人について行って各教室を見学していく。色んな人が大学生に教えている中、ある教室に入った時、僕は見知った人を見る。
見学生も、少しざわつく。
目の前には勉強を教える先生の姿があった。
第一ボタンを開けた白のワイシャツに、黒のズボンというシンプルな格好だが、むしろそれが先生の色気を引き立てている。
低い声が教室に静かに響く。大学生たちは真剣に聞いている人もいれば、先生の姿に酔いしれている人もいた。
教室を後にするとき、先生と目が合った。
僕は急いで目を逸らそうとしたとき、先生はフッと笑ってまた授業に戻った。
そんな不意打ちを喰らった僕は、後の授業の見学のことなんて頭に入ってこなかった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
オープンキャンパスが終わり、買い物をして帰ろうと思って大学の中を通り抜けようとしたとき、数人の男性に声をかけられる。ここの大学生だろう。
「あれ、オープンキャンパスの見学の子?」
「は、はい。そうです」
「大丈夫?ここ広いし、迷ってない?」
「だ、大丈夫です。もう後は帰るだけですから」
「え~、もっと見学してけばいいのに。まだ校内全体を見たわけじゃないんでしょ?ほら、あそこにもまだ見学の子いるし」
「い、いえ、あの、これから用事がありますので」
「そんな固いこと言わずにさ」
そう言われ手首を掴まれる。僕はゾクリとしてその手を振り払う。
「すみません、急いでおりますので」
「オープンキャンパスに来といて急いでるなんて無くない?ほら、俺らと一緒に回ろうよ」
また手首を掴まれそうになり、後ろに下がろうとするが、ドンと何かにぶつかる。振り返ってみると、その人の連れのような人が立っていた。
「こいつの言う通りだよ。ちゃんと見といた方が良いぜ?」
どうしよう。怖い。体の温度がどんどん下がっていく。喉もカラカラに乾いて掠れた声しか出せなくなる。ちゃんと、断らないといけないのに。
「ここに入るかもしれないんでしょ?あまり先輩の優しさ、断らない方が良いと思うけどなぁ」
そう言って肩をがしりと組まれる。手で肩をキツく握られており逃げられない。ミシッと肩に痛みが走る。
「いっ…」
「ね、ほら。一緒に回ろうよ」
痛みと恐怖で涙が浮かんでくる。視界が揺れ始め、カタカタと体が震える。
それでもと、掠れる声を絞り出す。
「あの、ほんとに、」
「大丈夫?顔色悪いよ?保健室行く?案内するよ」
「や、やめ、」
その場にとどまろうとするが、足に力が入らない。そのまま連れていかれそうになったとき、
「何をしている」
地を這うような低い声が響いた。
施設では高校を卒業したら、問答無用で就職の道に行けと言われていたから、僕にはあまり関係ない話だなと聞いていた。
しかし、それを先生に言ってみたら、
「ここはもう施設じゃない。自分が行きたい道を選べ」
そう言われても、いつも制限されてきた僕だ。急に自由にされても困る。
だって、何にも教えてくれなかったではないか。なのに急に自由にしていいよなんて言われても何もできないし、何もしなかったらまた何か言われるのだ。
眉を下げて困っている僕を見て、先生は優しい声で言った。
「急に言われても困るよな。だったたら俺がいる大学のオープンキャンパスに来れば良い」
「い、良いんですか?」
「むしろ来てくれた方が大学側は嬉しいだろ」
そう言って、先生がいる大学のオープンキャンパスの日程を調べて予約までしてくれた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
オープンキャンパスの日、僕は先生のいる大学に足を運んだ。
結構人がいる。僕は案内された席に座って、始まる時間まで待った。
時間になると、今回説明してくれる人が来て、この大学について説明し始めた。
みんながメモを取る中、僕もある程度メモを取ったが、事前に先生から聞いていたことが殆どだった。
説明が終わると、大学の授業がどんな感じかを見せてくれた。
案内人について行って各教室を見学していく。色んな人が大学生に教えている中、ある教室に入った時、僕は見知った人を見る。
見学生も、少しざわつく。
目の前には勉強を教える先生の姿があった。
第一ボタンを開けた白のワイシャツに、黒のズボンというシンプルな格好だが、むしろそれが先生の色気を引き立てている。
低い声が教室に静かに響く。大学生たちは真剣に聞いている人もいれば、先生の姿に酔いしれている人もいた。
教室を後にするとき、先生と目が合った。
僕は急いで目を逸らそうとしたとき、先生はフッと笑ってまた授業に戻った。
そんな不意打ちを喰らった僕は、後の授業の見学のことなんて頭に入ってこなかった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
オープンキャンパスが終わり、買い物をして帰ろうと思って大学の中を通り抜けようとしたとき、数人の男性に声をかけられる。ここの大学生だろう。
「あれ、オープンキャンパスの見学の子?」
「は、はい。そうです」
「大丈夫?ここ広いし、迷ってない?」
「だ、大丈夫です。もう後は帰るだけですから」
「え~、もっと見学してけばいいのに。まだ校内全体を見たわけじゃないんでしょ?ほら、あそこにもまだ見学の子いるし」
「い、いえ、あの、これから用事がありますので」
「そんな固いこと言わずにさ」
そう言われ手首を掴まれる。僕はゾクリとしてその手を振り払う。
「すみません、急いでおりますので」
「オープンキャンパスに来といて急いでるなんて無くない?ほら、俺らと一緒に回ろうよ」
また手首を掴まれそうになり、後ろに下がろうとするが、ドンと何かにぶつかる。振り返ってみると、その人の連れのような人が立っていた。
「こいつの言う通りだよ。ちゃんと見といた方が良いぜ?」
どうしよう。怖い。体の温度がどんどん下がっていく。喉もカラカラに乾いて掠れた声しか出せなくなる。ちゃんと、断らないといけないのに。
「ここに入るかもしれないんでしょ?あまり先輩の優しさ、断らない方が良いと思うけどなぁ」
そう言って肩をがしりと組まれる。手で肩をキツく握られており逃げられない。ミシッと肩に痛みが走る。
「いっ…」
「ね、ほら。一緒に回ろうよ」
痛みと恐怖で涙が浮かんでくる。視界が揺れ始め、カタカタと体が震える。
それでもと、掠れる声を絞り出す。
「あの、ほんとに、」
「大丈夫?顔色悪いよ?保健室行く?案内するよ」
「や、やめ、」
その場にとどまろうとするが、足に力が入らない。そのまま連れていかれそうになったとき、
「何をしている」
地を這うような低い声が響いた。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
俺様上司に今宵も激しく求められる。
美凪ましろ
恋愛
鉄面皮。無表情。一ミリも笑わない男。
蒔田一臣、あたしのひとつうえの上司。
ことあるごとに厳しくあたしを指導する、目の上のたんこぶみたいな男――だったはずが。
「おまえの顔、えっろい」
神様仏様どうしてあたしはこの男に今宵も激しく愛しこまれているのでしょう。
――2000年代初頭、IT系企業で懸命に働く新卒女子×厳しめの俺様男子との恋物語。
屈辱と愛情
守 秀斗
恋愛
最近、夫の態度がおかしいと思っている妻の名和志穂。25才。仕事で疲れているのかとそっとしておいたのだが、一か月もベッドで抱いてくれない。思い切って、夫に聞いてみると意外な事を言われてしまうのだが……。
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜
来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、
疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。
無愛想で冷静な上司・東條崇雅。
その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、
仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。
けれど――
そこから、彼の態度は変わり始めた。
苦手な仕事から外され、
負担を減らされ、
静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。
「辞めるのは認めない」
そんな言葉すらないのに、
無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。
これは愛?
それともただの執着?
じれじれと、甘く、不器用に。
二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。
無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
敏腕SEの優しすぎる独占愛
春咲さゆ
恋愛
仕事も恋愛も、兎に角どん底の毎日だった。
あの日、あの雨の夜、貴方に出逢うまでは。
「終わらせてくれたら良かったのに」
人生のどん底にいた、26歳OL。
木崎 茉莉 ~kisaki matsuri~
×
「泣いたらいいよ。傍にいるから」
雨の日に現れた、30歳システムエンジニア。
藤堂 柊真 ~Todo Syuma~
雨の夜の出会いがもたらした
最高の溺愛ストーリー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる