超魔人C'NEミュージアン -CHOUJIN CODENAME MUSIAN-

黒鉄ライドウ

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第三話 ロックは笑顔の秘訣

午後のティータイム

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ホースノイズラァとの夜の戦闘から一週間と3日が経った。

アルトとクロマルは下道や山道など、なるべく警察の視線が行き届かない道を選んで走り、ようやく次の街まで来ていた。

「今回は結構見つからずに到着できたねクロマル」

「ニャ!♪」

アルトは街の商店街でイケメン青年となったクロマルと共に喫茶店「岸本ティーバレー」で一服していた。

アルトはアイスロイヤルミルクティーにミルクレープ、クロマルはミルクセーキにツナサンドをいただきながら一息入れていた。

「ねねっ、あの人超カッコよくない!?♡」

「芸能人かな?超美形だよね♡」

「だよね、一緒にいる子も超可愛いし♡」

あいわらず周りの女性客の視線がアルトとクロマルに集中していたのは少々気になるが。

アルトはアイスロイヤルミルクティーをストロー越しに一口飲みながら店の中を見渡す、

80年代風の何処か懐かしいふんいき(アルトはまだ生まれていないから分からないが)を漂わせるそ店。

その壁には多くの写真が貼り付けられており、その多くが男女数名のグループでエレキギターやベース、ドラムが写っている写真が多かった。

「はいこれ、坊やにおまけだよ」

店の奥からマスターらしき髭面の男が現れ、アルトの席に瓶 コーラフロートを置いた。

「あっ、ありがとうございます!」

「いいよいいよ、ちびっ子のお客さんなんて滅多に来ないからね、サービスだよ」

マスターの開けたコーラを飲むと、アルトは聞いた。

「あの、ここにある写真って…」

「あっ、あれ?全部おじさんが若い頃の写真だよ」

「楽器を持っている写真が多かったですけど、もしかして、バンドか何かされてたんですか?」

「えっ?坊ちゃん若いのに分かるのかい?そうなんだよ!昔は仲間と一緒にロックバンドを組んでてね!インディーズだったけどここら辺でブイブイ言わせてたよ!」

マスターがガハハ!っと笑って自慢話を始める。かれこれ、30分くらいは話し続けただろう。

(長いなぁ~、でも流石にもうすぐ終わるだよね?)

内心少々うんざり気味で聞いていた時だった。

そんな時だった。

店の入り口の扉が鈴の音を出しながら開いた。そこには、髪が腰まで伸び、前髪も目元まで隠れた学校の女子制服を着た少女が入ってきた。

「あぁ、お帰り美空みそら

「あっ…うん…ただいま、お父さん…」

背丈、体格からしておそらく中学校2~3年生くらいだろう。アルトはその少女を見てふと思った。

「矢矧のお姉さんにそっくりだな」

ボソっとアルトがそう呟くと、マスターが、

「えっ?坊ちゃん、うちの矢矧ちゃんと知り合いなの?」

何やら矢矧を知っているかのようなそぶりだった。

「えっ?…酒口矢矧っていう女子高生のお姉さんなら知ってますけど……」

「やっぱりかぁ!!こんな偶然ってあるんだね!!」

アルトとクロマルは?とした顔を傾ける。

「あぁごめんごめん、矢矧ちゃんはおじさんの兄さんの娘、いわゆる姪っ子でね、そこにいる美空とは従姉妹の関係なんだよ」

!?これは驚きだった、何処となく雰囲気が似ていたがまさかこんな偶然ってあるのだろうか。

「ただ、兄さんが10年前くらいに亡くなって、奥さんが引き取って以来会ってなくてね……矢矧ちゃん、元気にしてたかい?」

「?……ええ、多分元気だったと思いますけど…」

「そっか……それはよかった…」

マスターは安心したかのようにため息をつく、横にいる美空も目元は隠れているが何処か笑っていた。どうやら嬉しいようだ。

そんな時、マスターがアルトに問いかけた。

「所で坊ちゃん達、矢矧ちゃんとは何処で会ったんだい?」

「えっ?あぁその、彼女が林間学校でキャンプに来ていて、俺たちも二人で旅をしてて、たまたま仲良くなって……」

アルトはゴートノイズラァと戦った時の事を思い出した。

『くっ……来るな、来るな化け物!!』

知らなかったとはいえ佐藤に化け物呼ばわりされた事が、いまだに気持ちの整理がつけられていない様子だ。

無理もない、こちらの世界で初めてできた友達にあんな風に拒絶されてしまったのだから。

「そっかぁ、というか、君達二人で旅してるのかい?君学校は?」

「えっ?えぇ僕ら兄弟で各地を旅してまして、俺は学校には行ってないです、だよねクロマル?」

「ニャ!」

アルトに聞かれるとクロマルは手を挙げて元気よく挨拶する。

周りから見て大人であるクロマルがニャ!としか言わないためマスターを含めた周りの人たちは?とした顔をしているが。

「ふぅ~ん、そうなんだ、まぁごめんね人の事情に首突っ込んじゃって」

「いえ、お構いなく」

アルトが両手をひらひらと振ってアピールする。すると、

「じゃあさ、君たち今日泊まる所あるの?」

とマスターが聞いてきた、そういえばまだ泊まる宿を決めていない、この辺になければ今日も野宿する事になる。

「いえ、まだ決めてないですけど」

「だったらさ、ウチに泊まりなよ」

「!?」っと突然のマスターの提案にアルトは驚いた。

「えっ?いいんですか?俺たちはありがたいですけど、突然お邪魔してご迷惑をじゃ…」

「いいよいいよ、この辺宿屋なんてないし、ここならお金かからないから安心だよ」

「でも、奥さんにもご迷惑がかかるんじゃ」

「あっ、あぁ大丈夫だよ、ウチの家内も…その…」

「えっ?」

アルトはしまったと思った、マスターの反応からしてもしかしたら、

「お母さん……一年前に亡くなったの……乳癌で…」

やっぱり、アルトはまずい事を聞いてしまったと後悔し、マスターと美空に向かって謝った。

「すっ、すみません、そうとは知らずに」

「いいよ、君随分と歳の割には礼儀正しいね、幾つ?」

「……今年で7歳です」

「7歳!?随分大人びてるね、今時の子供はそうなのかい?」

「えっ、いや、どうでしょうね…」

どうなのだろう、もう少し子供らしくした方がいいのか?とアルトは悩み始める。

でも、昔、城にいた頃の王室教師からは誰に対しても目上の人間には敬意を持って接しなければならないと教えられてきたため、今更どう子供らしくすればいいのか分からないである。

「あの、お気を悪くしたらすみません」

「いいって、子供がそんな事気にしなくていいよ、という訳で、どうかな?」

「…そうしよっかクロマル」

「ニャ~」

クロマルも首を縦に振って了承する。

「美空もいいよな?」

「…うん…私は構わないよ…」

娘である美空にも了解を得た所で、

「さてと、そうだ忘れてた、君達名前は?」

「あっ、すみません、俺はアルト、こっちはクロマルです」

「ニャ!」

「へぇ~、変わった名前だね、まぁいいや!君達何が食べたい?おじさん腕によりをかけるよ!」

マスターはらんらん気分で店のキッチンへと足を運ばせる。

が、一方で、

「………ハァ~……」

美空の方は浮かない様子でため息を吐きながら店の奥の母屋へと入っていった。

「?どうしたんだろ?」

「ニャ~?」

アルトとクロマルはそんな彼女を心配そうに見つめていた。
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