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幼少期
15 ピザとラッシー
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「美味いっ!」
「あ~、これはビールが進むわね~」
「ぐぬぬっ」
「父上もユリア姉さんもご飯時なんですから、お酒はほどほどにお願いしますよ。……母上は恨みがましい目で見ないでください。授乳期間中にお酒なんて許せるはずがないでしょう! レナやわたしと一緒にラッシーで我慢してください」
「マックス! だって、絶対にこのタバスコをかけたピザにはびーるがあうのよっ!? ……あ、でもラッシーも甘くておいしいわね」
「ユリア姉さんが南大陸との交易で手に入れた果物を持ってきてくださったので、ラッシーに使ってみたのですよ。マンゴーというらしいのですが、甘味が強くてそのままでも美味しかったですよ」
「えっ!? マックス食べたの?」
「料理長と試作をしていた時に味見をした程度ですよ。あとでデザートに出ますから、そこで堪能してください」
「わたし、ここにいていいのでしょうか? お父様は給仕をしていますし」
「あら~、レナちゃんはマックスの婚約者なんだからいいに決まっているじゃない! そもそもテオが給仕をしているのはテオが望んだことでやらせてるわけじゃないからね」
「うむ、最近では減ったが旦那様が王都に行くときには食事時でも護衛ができるように給仕をしているからな。たまに練習させてもらっているのだ」
「あとで、テオもタバスコかけてピザ食べてみてね。試作品だからどこまで保つかわからないから、早めに消費したいんだ」
声をかけると父上のジョッキにビールを注いでいたテオが良い顔を見せてくれる。
いや、本当に父上とユリア叔母さんのペース早すぎじゃないか?
「む、むむ! フレーク状のとタバスコ両方かけたらかなり辛いな」
「それはそうですよ。自分の許容量を考えて使ってくださいね」
確かに俺は辛いのが好きだけど、食べられないほど辛くする、いわゆる激辛党ではないからな。
やっぱり美味しく食べられる範囲で楽しんでほしいものだ。
「うーん、タバスコは冷蔵庫を使って作るのよね?」
「俺はそうしたけど、先に虫除けの実を発酵させてからビネガーに漬ければ常温でも大丈夫だと思うよ」
「発酵……ウスターソースみたいなものか。全部入れて発酵させるウスターソースと違って、先に実だけ発酵させるのね?」
「その辺はやってみないと何とも言えないけど、今回のはみじん切りにした生の虫除けの実をビネガーに漬けて冷蔵庫で1ヶ月放置してみたね」
「うーん、研究が必要かぁ」
「新商品ってそういうものでしょ」
「まあね。……あ、マンゴーのラッシーもレシピ貰っていい? ウチが経営している酒場にもお酒がそれほど得意じゃないけど付き合いで来るって人もいるからさ」
「ああ、なるほどね。じゃあ、適当にノンアルコールのレシピをいくつか書き留めておくよ。ジュースを混ぜるようなもんだから、結構作ったことあるんだ」
これは前世の話もあるが、記憶を取り戻す前からやっていた俺の奇行の1つ。
オレンジジュースやアップルジュースが出ると混ぜてみたりしていたんだが、木の上で昼寝したり、芝生で寝転がんだりしていたから、またかみたいな反応をされていたんだよな。
前世でもドリンクバーでカクテル作ったり、その辺のベンチで寝転がったりしてたから、やっぱり記憶が戻る前から俺は俺だったんだなって。
「ユリア、レシピを持っていくのなら相応の料金をマックスに払っておけよ」
「わかってるわよ、兄さん。私もトーマスもマックスには感謝してるんだから」
「そこまで感謝されるほどじゃないでしょ。辛いの嫌いな人も多いだろうし」
「そうじゃなくてね。うちの商会は商会とは名ばかりでゲルハルディ家に商品を卸すだけでオリジナルの販売物ってのがなかったの……まあ、ゲルハルディ領の布とかは取り扱ってたけど……でも、この虫除けの実を使ったレシピはアンドレ商会の特産になるのよっ!」
「それにしても虫除けの実を使ったなんて言っていたら、簡単にバレてしまうがいいのか?」
「それよねぇ。ねえ、マックス、他の呼び方してるのよね?」
「ああうん、唐辛子とか鷹の爪って呼んでるけど、それでいく?」
「そうねぇ。虫除けの実って呼んでると嫌がる人も多そうだしねぇ」
「しかし、原材料を明確にしないとバレた時にクレームにつながらないか?」
「うーん、虫除けって言葉があんまりいい言葉じゃないからねぇ。食べられるなら名前だけ変えれば問題ないと思うのよ」
「その辺は直接販売するアンドレ商会に任せるよ。俺は月に何回か辛い料理も食べられればそれでいいし」
売れ行きは俺の小遣いにも関係するけど、ダンジョン攻略のための資金稼ぎとしては契約金ですでに解決しているしな。
クレームが来るのもアンドレ商会だし、その辺のことはユリア叔母さんとトーマス叔父さんが考えることだろう。
「あ~、これはビールが進むわね~」
「ぐぬぬっ」
「父上もユリア姉さんもご飯時なんですから、お酒はほどほどにお願いしますよ。……母上は恨みがましい目で見ないでください。授乳期間中にお酒なんて許せるはずがないでしょう! レナやわたしと一緒にラッシーで我慢してください」
「マックス! だって、絶対にこのタバスコをかけたピザにはびーるがあうのよっ!? ……あ、でもラッシーも甘くておいしいわね」
「ユリア姉さんが南大陸との交易で手に入れた果物を持ってきてくださったので、ラッシーに使ってみたのですよ。マンゴーというらしいのですが、甘味が強くてそのままでも美味しかったですよ」
「えっ!? マックス食べたの?」
「料理長と試作をしていた時に味見をした程度ですよ。あとでデザートに出ますから、そこで堪能してください」
「わたし、ここにいていいのでしょうか? お父様は給仕をしていますし」
「あら~、レナちゃんはマックスの婚約者なんだからいいに決まっているじゃない! そもそもテオが給仕をしているのはテオが望んだことでやらせてるわけじゃないからね」
「うむ、最近では減ったが旦那様が王都に行くときには食事時でも護衛ができるように給仕をしているからな。たまに練習させてもらっているのだ」
「あとで、テオもタバスコかけてピザ食べてみてね。試作品だからどこまで保つかわからないから、早めに消費したいんだ」
声をかけると父上のジョッキにビールを注いでいたテオが良い顔を見せてくれる。
いや、本当に父上とユリア叔母さんのペース早すぎじゃないか?
「む、むむ! フレーク状のとタバスコ両方かけたらかなり辛いな」
「それはそうですよ。自分の許容量を考えて使ってくださいね」
確かに俺は辛いのが好きだけど、食べられないほど辛くする、いわゆる激辛党ではないからな。
やっぱり美味しく食べられる範囲で楽しんでほしいものだ。
「うーん、タバスコは冷蔵庫を使って作るのよね?」
「俺はそうしたけど、先に虫除けの実を発酵させてからビネガーに漬ければ常温でも大丈夫だと思うよ」
「発酵……ウスターソースみたいなものか。全部入れて発酵させるウスターソースと違って、先に実だけ発酵させるのね?」
「その辺はやってみないと何とも言えないけど、今回のはみじん切りにした生の虫除けの実をビネガーに漬けて冷蔵庫で1ヶ月放置してみたね」
「うーん、研究が必要かぁ」
「新商品ってそういうものでしょ」
「まあね。……あ、マンゴーのラッシーもレシピ貰っていい? ウチが経営している酒場にもお酒がそれほど得意じゃないけど付き合いで来るって人もいるからさ」
「ああ、なるほどね。じゃあ、適当にノンアルコールのレシピをいくつか書き留めておくよ。ジュースを混ぜるようなもんだから、結構作ったことあるんだ」
これは前世の話もあるが、記憶を取り戻す前からやっていた俺の奇行の1つ。
オレンジジュースやアップルジュースが出ると混ぜてみたりしていたんだが、木の上で昼寝したり、芝生で寝転がんだりしていたから、またかみたいな反応をされていたんだよな。
前世でもドリンクバーでカクテル作ったり、その辺のベンチで寝転がったりしてたから、やっぱり記憶が戻る前から俺は俺だったんだなって。
「ユリア、レシピを持っていくのなら相応の料金をマックスに払っておけよ」
「わかってるわよ、兄さん。私もトーマスもマックスには感謝してるんだから」
「そこまで感謝されるほどじゃないでしょ。辛いの嫌いな人も多いだろうし」
「そうじゃなくてね。うちの商会は商会とは名ばかりでゲルハルディ家に商品を卸すだけでオリジナルの販売物ってのがなかったの……まあ、ゲルハルディ領の布とかは取り扱ってたけど……でも、この虫除けの実を使ったレシピはアンドレ商会の特産になるのよっ!」
「それにしても虫除けの実を使ったなんて言っていたら、簡単にバレてしまうがいいのか?」
「それよねぇ。ねえ、マックス、他の呼び方してるのよね?」
「ああうん、唐辛子とか鷹の爪って呼んでるけど、それでいく?」
「そうねぇ。虫除けの実って呼んでると嫌がる人も多そうだしねぇ」
「しかし、原材料を明確にしないとバレた時にクレームにつながらないか?」
「うーん、虫除けって言葉があんまりいい言葉じゃないからねぇ。食べられるなら名前だけ変えれば問題ないと思うのよ」
「その辺は直接販売するアンドレ商会に任せるよ。俺は月に何回か辛い料理も食べられればそれでいいし」
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