終末を執行します

キクイチ

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マスカレード

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 7thセブンス刻印者エクスシアのノナとツガイの人間クロトは、異界にある仮面舞踏会マスカレード用の管制室にいた。
 
 仮面舞踏会マスカレードの参加者には個別に部屋が割り当てられ、管制室にいるツガイの人間が、刻印者エクスシアに指示や、テレポートの制御を行っている。

 7thセブンスは、仮面舞踏会マスカレード開始直後は、咎人とがびとと呼ばれる大罪人狩りを行っていた。
 咎人とがびと刻印タウを施すと、不浄の獣ピギーになる。
 不浄の獣ピギーが出現すると、漆黒の獣ルガルに繋がる鎖がうっすらと顕在化し、漆黒の獣ルガルをみつけやすくなるのだ。咎人とがびとはノドにたくさんいるので、漆黒の獣ルガル 狩りが効率的に行えるのである。

 しかも咎人とがびと咎人とがびと同士で、群れる習性があるため、一箇所でまとめて確保しやすいし、とにかく数が多い。

 企業の集まるの高層ビルは、かなりの数の咎人とがびとが密集してるので、効率がいい。
 あとは、手広くやってる一族経営の企業とかも、営業目的で天下りの受け入れに力を入れているので腐敗の温床になりやすく、狙い目だ。高確率で咎人とがびとが密集している。

 7thセブンスは、そういった情報を、下調べしておいたおかげで、効率良く浄化の欠片ウルズを集めることに成功していた。

 クロトが通信を入れる。
<ノナ、そろそろ準備運動は終わったかい?>

 ノナが返す。
<うん、いつでもいける>

13thサーティーンスを狙う>

<了解>

 クロトが、意図的に、ノナを何度もニアミスさせた相手だ。
 地上を移動中なので体の向きがわかりやすい。
 背後を取って、真名マナを切断するには格好の標的だ。

「カウントダウン、3、2、1……」

 ノナの眼前には、おそろいの戦闘スーツドレスを身にまとった女の子がいた。
 ノナは訓練通り、彼女の真名マナに触れ、ナイフで両断した。

 彼女の略称は『 Δίκηディケー』。

 クロトの記憶にはない相手だった。

 彼女は、断末魔をあげる間も無く、闇に包まれ消滅した。 
 恐ろしく、あっけなかった。

 すぐに、ノナの目の前の風景が変わった。


 テレポート先は、クロトのいる管制室だった。

「おかえり、ノナ。お疲れ様」

 クロトはいつもの優しい笑顔で、ノナをねぎらうと、彼女の仮面を外し、ぎゅっと抱きしめた。

 クロトはいう。
「今日は、これで終了、ゆっくり休もうね」

 ノナが返す。
「え? もう? まだ早くない?」

「上出来だよ。連続して即死させると警戒されるからね。それに、初仕事はこれくらいで十分」

「……なんの感情もわかなかった。血を流すわけでもなく、痛がって叫ぶわけでもなく、あっさりと闇に包まれただけだったよ」

真名マナを断ち切られたものは、みんな、そんな感じで消失する」

「殺したはずなのに、まるで罪悪感がないよ……」

「今日はゆっくり気持ちを休めよう」

 クロトは、もう一度ノナを優しく抱きしめてから、甘いキスをした。

 ノナの頰には、一筋の涙が伝っていた。


 ……


 7thセブンスの行動を監視していた、ネフィリムの首領の一人、アルゴスが、おなじくネフィリムの首領の一人、ネケシタスに話しかける

「ねぇ、ネケシタス。すごいね、あの子。真名マナを引き出して、断ち切っちゃったよ」
 
「おそらく、アトロポスだ。
 どちらにしろ、うちらの敵じゃないよ。
 かなり近接でないと、そんな真似できないから」

「近づけさせたら、即死確定ってことでしょ?」

「まぁ、そうなるね」

「やばいじゃん」

「テレポートを封じちゃえば、簡単に生け捕りにできるさ。暗殺者タイプだから、相手に姿を晒す戦いには向いてない」
 
「生け捕って、洗脳したらかなり使えるんじゃない?」

「他の子とチーム組ませれば、刻印者エクスシアを効率的に減らせるだろうね」

「どうする?」

「でもね、あの子が烙印者ネフィリムになると、審判者アンサラーがどう動くかわからない」

「まじで?」

「アトロポスって、堕天してから異例なほど早期に幽閉されたらしい」

「単に、近づけさせなければ良いのでしょ?」

「いまのあの子は素人だけど、昔のアトロポスは戦闘の練度が高すぎて、危険すぎたみたいだね」

「どこの勢力にいたの?」

「カマエルの懐刀ふところがたな

「カマエルの直属か……、そりゃ、やばいわ」

「そういうことだから、下手にあの子を仲間に加えるわけにはいかない」

「あの子、使徒も殺れるの?」

「おそらく無理。使徒は、真名マナが複雑すぎて理解できないらしいよ」

「なら要らないか。でも放置ってわけにはいかないよね?」

「あの子にはできるだけ早期に消滅してもらうのが一番楽だと思う」

「だね、バランスの悪い問題児より、普通の手勢が増える方が、うちとしてもありがたい」

漆黒の獣ルガルを殺してくれればいいだけだから、あえて危険の種を呼び込む必要はないしね」

「了解、仲間を招集して作戦を立てよう」


 ……


 ルディーは珍しく自分の席で、端末に向かって仕事をしていた。
 仮面舞踏会マスカレードが始まって、様々な情報が集まっていたからだ。

 エレノアが言う。

「局長、仮面舞踏会マスカレードが始まってから、不浄の獣ピギー漆黒の獣ルガルの発生率がこの半月で急増しています」

不浄の獣ピギー?」

「自我を失った生きるしかばねです。大罪人の成れの果てです。いろいろなもの垂れ流し状態になっているので、後処理が大変だとか……」

「あー、そういえばそんな話を以前聞いた気がする。施設送りになって、秘密裏に殺処分されるのだっけ?」

「はい。改善することはないそうですので」

「被害状況はどうなの?
 増加してても、刻印者エクスシア漆黒の獣ルガルを倒してくれるのでしょ?」

「はい、被害は最小限に抑えられています」

「情報操作して、うちの手柄にしたいね……でも良い案が思いつかない。
 味方につけられればなぁ……。
 そういえば、烙印者ネフィリムはどうしてる?」

「動いてますね、むしろ積極的に。獣化予備軍のブラックリスト入りしている者がかなりの数、殺されています。被害は確認されていないので、人気ひとけのないところに誘導してから倒しているのかもしれません」

「良心的だね。刻印者エクスシアとの交戦はまだ確認されていない?」

「はい。ただ、2名ほど刻印者エクスシアが姿を現さなくなっているようです」

「うそ? 始まったばかりだよね? そんなヤバイのがいるの?
 刻印者エクスシア同士か、烙印者ネフィリムと交戦した感じ?」

「それが、情報がまるでないのです……」

「でも、そうだとしたら烙印者ネフィリムじゃないよね。いままでそんなのいなかったし」

「過去の仮面舞踏会マスカレードの記録を問い合わせて見たところ、1回の仮面舞踏会マスカレード刻印者エクスシアが死亡するのは、多くても3名程度だったそうです。今回はかなりハイペースなようですね」

「一波乱起きそうだね。
 カメラの映像解析、早急に対応させておいて、何かわかるかもしれない。
 あと、ネフィリムとの交渉を早めに進めてね」

「かしこまりました」
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