短い話たち

吹き溜まり

雲は横に流れて行くけど
時間はどっちへ流れて行くんだろう？
もしもその方向が分かったら
時間に乗ってそっちへ行ってしまいたい
正直言って会社に行きたくないんだ

だけどもその先を想像したら諦めた

自分は時間に乗らなくても
もう乗っているんだ
こうしている間でも時間はどんどん経って行く
こうしている自分はどんどんめくれて
時間に乗って行ってしまってる

何もしなくても時間が行く先には
その時々の自分の薄切りが
吹き溜まりのように重なっているんだ
そしてそれが全部揃った時
自分を運んで来た時間は止まって
完全な形になった自分がそこにいるんだ
そしてその心臓も止まっているんだ

それが見えたから