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ミラ視点11
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どうしてこうなってしまったのだろう……
誰も来ないはずだった。ここでアリシアを仕留めるはずだった。
それなのに……どうして!! どうしてアリシアは生きているの! どうして私の言うことを聞いていたモブがあいつに仕える話になっているの! どうして私が拘束されているの!
あのナイフを振り下ろした時、あれで全てが終わるはずだったのに……
かわされた。それだけじゃない、組み伏せられた。
……屈辱だった。潰すはずだった奴に押さえつけられているのだから。
そんな時にリオン様がやってきた。来るはずがななったのに……それでもこれはチャンスだと思った。
現状、襲われているのはどう見ても私だ。助けを呼べばリオン様は駆けつけてくれる。鼻は痛いけど、我慢して顔を上げようとしてまた叩きつけられる。
――このっ! 調子に乗るんじゃ……
「大丈夫か!?」
ザマァみなさい。ふふっ、神様はやっぱり私の味方なのよね。これでリオン様のアリシアに対する評価は地に落ちた。そして私はリオン様に抱きしめられ、そのままハッピーエンドに……。
そうなるはずだったのに……、モブどもの裏切り。そして、リオン様はモブどもの話を信じ、騎士たちにアリシアではなく私の拘束を命じた。
――どうしてよ! 何で私が! あの裏切りさえなければ……私が話せないことをいいことに……
話せなかったのはアリシアに押さえつけられていたからだ。しかし、今は騎士たちに代わって話せる状態になっている。
「リオン様! 私の話を聞いてください! 私はそこの女に嵌められたのです! 全部そこの悪役令嬢……アリシアが悪いのです!」
「ほぉ、どういうことだ?」
――食いついた!
「アリシアをさらったのもそこの白髪の女です! 私はその女にアリシアを殺すように言われただけです!」
「なるほど、だが、リーアがかわさなければ君のナイフが当たっていただろう。それで彼女が悪いというのは少しおかしな話じゃないかな?」
「ぐっ、それは……、それはそこの白髪の女が……」
「はぁ……、今度はシュリ嬢かい? さっき君はリーアが悪いと言っていたじゃないか。戯言を聞いている時間はないんだけどね」
くっ……、どうして私が責められているの。悪いのは全部アリシアなのに!
「あんた! 赤髪のお前よ! 私の無実を証明しなさい! あんたは私に恩があるでしょうが!」
「恩? あなたにそんなものありませんよ」
「はっ?」
このモブは何を言っているの……だって、あなたは私に助けられたって
「あの話を本当に信じたんですか? 何もしてないのに? こんな嘘を信じるバカなんていないと思っていたのに……」
「う……そ……?」
「逆に聞きますが、あなたが何か支援をしたんですか?」
モブの支援なんてする訳がない。だけど、そう言っていたんだもの。神様が私に味方するモブ達にも恩恵を与えただけじゃなかったの?
「私たちはリオン様の命令であなたを監視していただけで、あなたの味方ではありません。私の家が没落したというのもあなたを騙すための嘘です。そもそも、あなたは私の家の名前どころか名前すらも覚えていませんよね?」
そ……んな、裏切られる前に切ろうと思っていたのに、初めから裏切られていた? そんな話、ゲームでは何も話されていなかったのに! それにモブの名前なんていちいち覚えている訳ないじゃない! どうなってるのよ!
リオン様が私に興味を無くしたように離れていく。その先にはアリシアがいて、先ほど私に見せていた冷たく見下ろしたような顔ではなく、楽しげに笑っていた。
――その笑顔は私のものになるはずだったのに! その場所は私が居るはずだったのに!
「アリシアー!!」
「動くな!」
私が叫んでももう誰も振り向かない。ただ騎士たちの拘束が強くなっただけだった。
ここは私の世界なのに。私だけの、私のための世界なのに……。どうしてこんな、私がこんな目に遭っているの! 誰か教えなさいよ! ねぇ、神様! 見てるんでしょ! 私を助けなさいよ!
どれだけ強く願おうとも、誰も応えてくれない。何も変わらない。
私はそのまま暗い牢屋に捕らえられた。
誰も来ないはずだった。ここでアリシアを仕留めるはずだった。
それなのに……どうして!! どうしてアリシアは生きているの! どうして私の言うことを聞いていたモブがあいつに仕える話になっているの! どうして私が拘束されているの!
あのナイフを振り下ろした時、あれで全てが終わるはずだったのに……
かわされた。それだけじゃない、組み伏せられた。
……屈辱だった。潰すはずだった奴に押さえつけられているのだから。
そんな時にリオン様がやってきた。来るはずがななったのに……それでもこれはチャンスだと思った。
現状、襲われているのはどう見ても私だ。助けを呼べばリオン様は駆けつけてくれる。鼻は痛いけど、我慢して顔を上げようとしてまた叩きつけられる。
――このっ! 調子に乗るんじゃ……
「大丈夫か!?」
ザマァみなさい。ふふっ、神様はやっぱり私の味方なのよね。これでリオン様のアリシアに対する評価は地に落ちた。そして私はリオン様に抱きしめられ、そのままハッピーエンドに……。
そうなるはずだったのに……、モブどもの裏切り。そして、リオン様はモブどもの話を信じ、騎士たちにアリシアではなく私の拘束を命じた。
――どうしてよ! 何で私が! あの裏切りさえなければ……私が話せないことをいいことに……
話せなかったのはアリシアに押さえつけられていたからだ。しかし、今は騎士たちに代わって話せる状態になっている。
「リオン様! 私の話を聞いてください! 私はそこの女に嵌められたのです! 全部そこの悪役令嬢……アリシアが悪いのです!」
「ほぉ、どういうことだ?」
――食いついた!
「アリシアをさらったのもそこの白髪の女です! 私はその女にアリシアを殺すように言われただけです!」
「なるほど、だが、リーアがかわさなければ君のナイフが当たっていただろう。それで彼女が悪いというのは少しおかしな話じゃないかな?」
「ぐっ、それは……、それはそこの白髪の女が……」
「はぁ……、今度はシュリ嬢かい? さっき君はリーアが悪いと言っていたじゃないか。戯言を聞いている時間はないんだけどね」
くっ……、どうして私が責められているの。悪いのは全部アリシアなのに!
「あんた! 赤髪のお前よ! 私の無実を証明しなさい! あんたは私に恩があるでしょうが!」
「恩? あなたにそんなものありませんよ」
「はっ?」
このモブは何を言っているの……だって、あなたは私に助けられたって
「あの話を本当に信じたんですか? 何もしてないのに? こんな嘘を信じるバカなんていないと思っていたのに……」
「う……そ……?」
「逆に聞きますが、あなたが何か支援をしたんですか?」
モブの支援なんてする訳がない。だけど、そう言っていたんだもの。神様が私に味方するモブ達にも恩恵を与えただけじゃなかったの?
「私たちはリオン様の命令であなたを監視していただけで、あなたの味方ではありません。私の家が没落したというのもあなたを騙すための嘘です。そもそも、あなたは私の家の名前どころか名前すらも覚えていませんよね?」
そ……んな、裏切られる前に切ろうと思っていたのに、初めから裏切られていた? そんな話、ゲームでは何も話されていなかったのに! それにモブの名前なんていちいち覚えている訳ないじゃない! どうなってるのよ!
リオン様が私に興味を無くしたように離れていく。その先にはアリシアがいて、先ほど私に見せていた冷たく見下ろしたような顔ではなく、楽しげに笑っていた。
――その笑顔は私のものになるはずだったのに! その場所は私が居るはずだったのに!
「アリシアー!!」
「動くな!」
私が叫んでももう誰も振り向かない。ただ騎士たちの拘束が強くなっただけだった。
ここは私の世界なのに。私だけの、私のための世界なのに……。どうしてこんな、私がこんな目に遭っているの! 誰か教えなさいよ! ねぇ、神様! 見てるんでしょ! 私を助けなさいよ!
どれだけ強く願おうとも、誰も応えてくれない。何も変わらない。
私はそのまま暗い牢屋に捕らえられた。
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