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帰国
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「…………妾はいつまでこのイチャイチャを見せつけられなければならぬのじゃ?」
「「…………?」」
「自覚なしか!? もういい! 邪魔をした妾が悪かったのじゃ!」
突然怒り出したニーナ姫。イチャイチャ? ここは公共の場なのだからそんな事をする筈がないだろうに……
「はぁ、もういいのじゃ。妾がここに来ることになったのは、宰相の発言によるものじゃ。『このまま盗賊まがいの事を続けていては民の為になりません』とな。妾もそれを聞いて行動に移ったわけじゃ」
宰相という立場に居て、今回の事を伝えられていないなんて事はあるのだろうか……やはり、アイリスの言った通りに――
「もういいのじゃ」
「……もういい?」
「ああ、ここまで妾の我儘に付き合ってくれた事、誠に感謝する。妾は一度国に帰るとするのじゃ。そして父上をきちんと問い詰めるとするのじゃ。なぁに父上がいくら隠そうとしても無駄じゃという事をわからせてやるのじゃ」
悪い顔つきで笑う彼女を見て、もう大丈夫だと確信する。なにせ、今の彼女はあのマリーと顔つきが同じなのだ。問題なくやり遂げるだろう。
「そうか、吹っ切れたのなら良かった」
「吹っ切れた……そうじゃの。迷惑しかかけておらんが、話しを聞いてくれて本当に感謝する。……それでじゃが……」
先程とは打って変わり、暗い顔をする彼女。何かを言いづらそうに、それでも決意したように前を向いた。
「このゴタゴタが無くなれば、正式に妾の国と取引をして欲しい! そちらに利益があまりない事はわかっておる。じゃが、どうか、どうかお願いします!」
そう言って彼女は頭を下げた。初めて会った時とは考えられない状況に少し困惑するも、それほど必死だったのだろうと思う。
それに、彼女は何か勘違いをしているのだろう。
「もともと取引はしています。今はそちらの要望で今の状況になっているだけです。そちらが正式にして欲しいというのであれば、こちらは今の面倒なやり取りをせずに済みますので、いい事しかありませんね」
「それじゃあ!」
「取引は続けますよ。まぁ、ニーナ様の国がまた争いを始めければ……の話ですが」
「ああ、そんな事は絶対にさせないのじゃ。ありがとう!」
アイリスの言葉に、彼女そう告げて晴れやかに帰って行った。護衛にはジーク率いる騎士団を付けて。攻め込む? そんな事はしないさ。
相手がどう感じるかは知らないが、こちらにそんな意思はない。ただ重要人物をこちらのせいで1人にしてしまったのだ。こちらには彼女を丁寧に送り返す義務がある。
「ふふっ、アイン様もお人が悪いですね」
「そんな事はないさ。お……私は王子として義務を果たそうとしているだけだよ」
「アイン、ご苦労様でした」
ずっと黙っていた母上が声を上げる。
「どこかのポンコ……役立た……コホン、陛下の代わりによくやってくれました。アイリスちゃんもご苦労様です」
「うむ。ご苦ろ――「そもそも、あのくだらない理由に共感したと言って受け入れ、いざ対応するとなると貴女たちに丸投げ。迷惑ならそう言ってくれていいのよ? 私が許可します」――う、うむ。その件はすまなかった」
「い、いえ……」
父上の扱いの雑さにさすがのアイリスも困惑している。俺? 俺はもう見慣れてしまった。最近はいつもこんな感じだ。
「素直に言ってくれていいのよ? 今日の様子を見れば、もう全部2人に任せても良さそうなのがわかったもの。国王を降りてもらって2人で北にでも行ってもらうのもいいわね」
「アリーシャ!?」
「母上!?」
ルーカス、お前生きていたのか。途中から悲鳴も聞こえなくなったから、とうとう逝ったのかと思っていたが、まだまだ元気らしい。ちなみに、アリーシャは母上の名前である。
「今回の件はすべてあなた達の責任なんですよ? それを2人に、息子とそのお嫁さんに尻拭いしてもらうなんて、王としての――」
どうやら、今回の件で母上の我慢の限界が来たみたいだ。
「「…………?」」
「自覚なしか!? もういい! 邪魔をした妾が悪かったのじゃ!」
突然怒り出したニーナ姫。イチャイチャ? ここは公共の場なのだからそんな事をする筈がないだろうに……
「はぁ、もういいのじゃ。妾がここに来ることになったのは、宰相の発言によるものじゃ。『このまま盗賊まがいの事を続けていては民の為になりません』とな。妾もそれを聞いて行動に移ったわけじゃ」
宰相という立場に居て、今回の事を伝えられていないなんて事はあるのだろうか……やはり、アイリスの言った通りに――
「もういいのじゃ」
「……もういい?」
「ああ、ここまで妾の我儘に付き合ってくれた事、誠に感謝する。妾は一度国に帰るとするのじゃ。そして父上をきちんと問い詰めるとするのじゃ。なぁに父上がいくら隠そうとしても無駄じゃという事をわからせてやるのじゃ」
悪い顔つきで笑う彼女を見て、もう大丈夫だと確信する。なにせ、今の彼女はあのマリーと顔つきが同じなのだ。問題なくやり遂げるだろう。
「そうか、吹っ切れたのなら良かった」
「吹っ切れた……そうじゃの。迷惑しかかけておらんが、話しを聞いてくれて本当に感謝する。……それでじゃが……」
先程とは打って変わり、暗い顔をする彼女。何かを言いづらそうに、それでも決意したように前を向いた。
「このゴタゴタが無くなれば、正式に妾の国と取引をして欲しい! そちらに利益があまりない事はわかっておる。じゃが、どうか、どうかお願いします!」
そう言って彼女は頭を下げた。初めて会った時とは考えられない状況に少し困惑するも、それほど必死だったのだろうと思う。
それに、彼女は何か勘違いをしているのだろう。
「もともと取引はしています。今はそちらの要望で今の状況になっているだけです。そちらが正式にして欲しいというのであれば、こちらは今の面倒なやり取りをせずに済みますので、いい事しかありませんね」
「それじゃあ!」
「取引は続けますよ。まぁ、ニーナ様の国がまた争いを始めければ……の話ですが」
「ああ、そんな事は絶対にさせないのじゃ。ありがとう!」
アイリスの言葉に、彼女そう告げて晴れやかに帰って行った。護衛にはジーク率いる騎士団を付けて。攻め込む? そんな事はしないさ。
相手がどう感じるかは知らないが、こちらにそんな意思はない。ただ重要人物をこちらのせいで1人にしてしまったのだ。こちらには彼女を丁寧に送り返す義務がある。
「ふふっ、アイン様もお人が悪いですね」
「そんな事はないさ。お……私は王子として義務を果たそうとしているだけだよ」
「アイン、ご苦労様でした」
ずっと黙っていた母上が声を上げる。
「どこかのポンコ……役立た……コホン、陛下の代わりによくやってくれました。アイリスちゃんもご苦労様です」
「うむ。ご苦ろ――「そもそも、あのくだらない理由に共感したと言って受け入れ、いざ対応するとなると貴女たちに丸投げ。迷惑ならそう言ってくれていいのよ? 私が許可します」――う、うむ。その件はすまなかった」
「い、いえ……」
父上の扱いの雑さにさすがのアイリスも困惑している。俺? 俺はもう見慣れてしまった。最近はいつもこんな感じだ。
「素直に言ってくれていいのよ? 今日の様子を見れば、もう全部2人に任せても良さそうなのがわかったもの。国王を降りてもらって2人で北にでも行ってもらうのもいいわね」
「アリーシャ!?」
「母上!?」
ルーカス、お前生きていたのか。途中から悲鳴も聞こえなくなったから、とうとう逝ったのかと思っていたが、まだまだ元気らしい。ちなみに、アリーシャは母上の名前である。
「今回の件はすべてあなた達の責任なんですよ? それを2人に、息子とそのお嫁さんに尻拭いしてもらうなんて、王としての――」
どうやら、今回の件で母上の我慢の限界が来たみたいだ。
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