ひそんで裏稼業

Matou

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ひそんで裏稼業

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今宵も金にて晴らせぬ恨みを晴らすため
2人の仕事人「銀次」と「勘吉」が的になる悪人を成敗するため
悪人のいる屋敷の庭にある小屋から屋敷室内にいる「仕事の的」である悪人の様子をうかがっている

悪人は何も知らずに1人で酒と料理を楽しんでいる

その悪人に狙いを定めながら話す2人



銀次
「いやぁ 今回の仕事はやり安い」

勘吉
「ああ 的は1人でいるし暖かくなって来たから戸を開けてやがる」

銀次
「さぁとっとと片付けて 帰っかぁ」

と その時 銀次が風呂場にいる女の気配に気が付いた

銀次
「お おう!見てみろよ」

勘吉
「何だ? お!? ぅおいぅおい!」

2人の見ている先には風呂が有る 脱衣所も風呂場も丸見えであった
向こうで今まさに女が服を脱ごうとしている

銀次
「あの女 今から風呂入るところだぜ」

勘吉
「なんでぇ なんでぇ ここから最高なぐらいによく見えるじゃあねえか」

「こんな場所からの眺め なかなかお目にかかれねぇぜ」

銀次
「お 俺達の裏稼業は的を殺りゃあいいんだ」

「殺る前に何を見てたって構わねぇはずでぇ なぁ? 」

勘吉
「あぁ 俺達はあの女を伺ってるんだ ただ覗いている訳じゃあねえ」

銀次
「そうだとも あの女がいつ的の居る部屋に行くかなんてのはわからねぇ」
「俺達ゃあ身を守るのために 見つからねぇために 女が風呂に入るのを見届けなきゃあならねぇ」

勘吉
「お おう!そうだとも」
「ただ覗いているだけじゃあねえ」

勘吉
「悪人の様子はどうだ?」

銀次
「のんきに1人で楽しんでやがる」

勘吉
「それよりも こっちでぇ」

銀次
「もちろんそうだとも 仕事として俺達ゃあ女が風呂に入るのを見届けなきゃあならねぇ」

勘吉
「脱ぎ終わりやがった」

銀次
「さて いぃ物見せて貰った所で的を殺るかい?」

向こうに見える女は風呂場に入ると掛け湯をした
これから体を洗おうとしている

銀次
「待て!もう少し警戒していよう」

勘吉
「ああ 女が体を洗い終わるまではジッとしてようじゃねえか」

銀次
「そう来なくちゃあな」

勘吉
「さっきお前ぇも言ったが 俺達ゃあ金にて雇われ悪人を殺りゃあいいんだ それまでに何をどれだけ見てようが構わねぇ よな?」

銀次
「そう来なくちゃあな」

2人はしばらくゆっくり風呂にいる女を眺めている
ただひたすらに身体を洗う女を眺めている
しかし 2人も裏稼業の人間だ 警戒は怠らない
銀次
「このままじゃあ的は戸を閉めてしまうんじゃねぇか?」

勘吉
「ああ そうなりゃあ仕事がしょうしょうヤりにくくなるな・・・」

銀次
「さて 行くか」「・・・もう少ししたら」

身体を洗い流し湯船に入る女 2人は湯船を眺めながら

勘吉
「いい加減・・・仕事済ませるか?」

銀次
「確かに 油断大敵だからな」

その時 女は湯船からあがった
女の裸体は丸見えであった

銀次
「何てこったい」
勘吉
「こんな時に」
「悪人め もう少し生かしておいてやる」


その後 2人は無事に剣の達人である的を殺り



帰りに色んな風呂場を意識して帰った



銀次は仕事を終え 自分の部屋で1杯やっていた
銀次
「いかんいかん!」
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