俺たちは幽霊屋敷に住んでいる

ふじのはら

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いったい俺は今どんな状況にあるんだ、、?

後頭部を畳に打ち付けて、手でさすろうとしたその手を掴まれた。
もう片方の腕だって畳に押さえつけられている。
ワケが分からず見上げる視線の先に涼しげな目元と黒い瞳。
長めの黒髪を耳にかけ、俺を無言で見下ろしている、、男。

時宗トキムネ、、?」

ー男、、?そう、俺は今男に押し倒されている。

時宗は男のくせにキレイな顔を少しだけ傾けると俺の顔にゆっくりと近づく。
「おい」と言おうとした俺の口を時宗の唇が塞ぐ。

ーは、、?何?

「おい、やめろ!離せバカ」

トラウマを思い出しかけて強引に顔をそむけた怒りを含んだ俺の声に、時宗は我に返ったのかパッと俺を解放した。

「あれ?ハハ冗談。俺酔ってる」

そう言ってテーブルに戻ると、2本目の缶に残った酒を一気に飲み干す。その姿を、上体を起こした俺は呆れて見ていた。

「それくらいで酔ってんなよ。おまえ酒弱いの?」

「かも。」

俺を見ないで小さく笑うとそのまま額をテーブルにつけて突っ伏した

「失敗した、、ごめん」

珍しく素直に謝るその言い方に俺は怒るよりも苦笑した。パニックになって殴らなくてよかった。今のところ俺には時宗が必要だから、、。
 
ーにしても、酒に酔って男を押し倒すとか、、。酔ったら誰にでもキスするタイプの人間なのか?

会社の飲み会とかは大丈夫なんだろうかと余計な心配をしながら、胡座をかいて座る彼が体を小さくしてテーブルに突っ伏す姿を見続けていた。


この時、本当に時宗が酔っていたのかは今でもわからない。
そもそも俺は時宗のことを殆ど何も知らなかった。

だけど、この時のキスがただの同居人の俺と時宗の関係を変えるきっかけになったのは確かだ。


何故俺がこの家で暮らしているのか、何故よく知らない男と同居する羽目になったのか、まずは事の始まりから話そうと思う。

それは社会人2年目に起きた最悪の出来事を機に俺がこの田舎に逃げるように引っ越して来たことから始まった少し不思議な本当の話だ。
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