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104:罠
王妃の冷ややかな瞳が、目を見開いているソフィアを映し出している。
(疑われている……)
ソフィアはそう確信すると、第二王子夫人を見る。
狼狽えているのは芝居だろうか?
第二王子夫人は、口に手を当て驚いてその場に立ち尽くしている。
「ソフィア!」
ソフィアのもとへ来たジャックに抱き寄せられるも、王妃の冷たい視線からは逃れられない。
「ソフィア様と第二王子夫人を連れて行きなさい。各々の家族も部屋から出ないように見張りを付けて」
王妃はそう言うと、寄って来た騎士たちに国王を運び出す指示をしている。
「王妃殿下、誤解です!」
「話は後で聞くわ」
連れて行かれそうになっている第二王子夫人は、大声をあげる。
「ソフィア様、一体何をしたの!? 私や国王陛下夫妻に何か恨みでもあるの!?」
「えっ……」
急にソフィアを攻撃してきた第二王子夫人に、ソフィアは目を見開く。
「私は何もしていません! お酒だって、第二王子夫人が選んだのではありませんか!」
「全て私のせいにするつもりなのね! なんて人なの! このような食事会に、場違いなそのような派手な指輪まで付けて来て! そのような女だったのね!!!」
その場にいる全員に聞こえるようにそう言い捨てて、第二王子夫人は連れて行かれた。
「ソフィア」
呼ばれてジャックを見上げる。
今までに見たことがない程に険しい顔をしているジャックに、ソフィアは胸が痛くなる。
「ジャック様、ごめんなさい。私は何もしていません。第二王子夫人に嵌められたのです」
「ああ、わかっている」
するとソフィアも両手を捕まえられて、連れて行かれる。
ソフィアは抵抗はしなかった。
(状況的に連れて行かれることも、取り調べを受けることも仕方がないわ……)
そう悟っていたのだ。
部屋を出る時、ジャックが大声で尋ねた。
「ソフィア、その指輪は一体どうしたのだ?」
「食事会の直前に第二王子夫人が部屋へ訪ねて来て、渡されたのです。付けて来ないと許さないと言われて。私の侍女が知っています」
部屋を出る直前、ソフィアはハッとして声を上げる。
「ジャック様! この指輪はリッチィ伯爵家のヴァイオレット様から第二王子夫人へ渡った物です!」
「もう黙って下さい。行きますよ」
護衛はソフィアの言葉を遮ると、歩みを速める。
早歩きをしながら、ソフィアは声をあげた。
「ブライト、心配しないで大丈夫だからね! ジャック様、ブライトをお願いします……」
ソフィアは連れて行かれながら、遠くでブライトとジャックの声が聞こえたような気がしたが、もう聞き取ることは出来なかったのだった……
(疑われている……)
ソフィアはそう確信すると、第二王子夫人を見る。
狼狽えているのは芝居だろうか?
第二王子夫人は、口に手を当て驚いてその場に立ち尽くしている。
「ソフィア!」
ソフィアのもとへ来たジャックに抱き寄せられるも、王妃の冷たい視線からは逃れられない。
「ソフィア様と第二王子夫人を連れて行きなさい。各々の家族も部屋から出ないように見張りを付けて」
王妃はそう言うと、寄って来た騎士たちに国王を運び出す指示をしている。
「王妃殿下、誤解です!」
「話は後で聞くわ」
連れて行かれそうになっている第二王子夫人は、大声をあげる。
「ソフィア様、一体何をしたの!? 私や国王陛下夫妻に何か恨みでもあるの!?」
「えっ……」
急にソフィアを攻撃してきた第二王子夫人に、ソフィアは目を見開く。
「私は何もしていません! お酒だって、第二王子夫人が選んだのではありませんか!」
「全て私のせいにするつもりなのね! なんて人なの! このような食事会に、場違いなそのような派手な指輪まで付けて来て! そのような女だったのね!!!」
その場にいる全員に聞こえるようにそう言い捨てて、第二王子夫人は連れて行かれた。
「ソフィア」
呼ばれてジャックを見上げる。
今までに見たことがない程に険しい顔をしているジャックに、ソフィアは胸が痛くなる。
「ジャック様、ごめんなさい。私は何もしていません。第二王子夫人に嵌められたのです」
「ああ、わかっている」
するとソフィアも両手を捕まえられて、連れて行かれる。
ソフィアは抵抗はしなかった。
(状況的に連れて行かれることも、取り調べを受けることも仕方がないわ……)
そう悟っていたのだ。
部屋を出る時、ジャックが大声で尋ねた。
「ソフィア、その指輪は一体どうしたのだ?」
「食事会の直前に第二王子夫人が部屋へ訪ねて来て、渡されたのです。付けて来ないと許さないと言われて。私の侍女が知っています」
部屋を出る直前、ソフィアはハッとして声を上げる。
「ジャック様! この指輪はリッチィ伯爵家のヴァイオレット様から第二王子夫人へ渡った物です!」
「もう黙って下さい。行きますよ」
護衛はソフィアの言葉を遮ると、歩みを速める。
早歩きをしながら、ソフィアは声をあげた。
「ブライト、心配しないで大丈夫だからね! ジャック様、ブライトをお願いします……」
ソフィアは連れて行かれながら、遠くでブライトとジャックの声が聞こえたような気がしたが、もう聞き取ることは出来なかったのだった……
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