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Ⅷ エイジの女難
5節 女難の連鎖 ①
最近立て続けに起こるイベントに振り回されっぱなしで、エイジはもうヘトヘトだ。しかも、その多くは自身の人間関係が中心で、魔王国の発展に直接寄与するものではない。特に精力を搾り取られたり、自分も乗り気とはいえ長時間拘束されたりというので消耗が大きかった。
だが、直接的には寄与しなくとも、役立つ情報が手に入った。それが、後押ししてくれる。そうして何とか案を纏め上げ、この会議まで漕ぎ着けたのだ。
「それではこれより、魔王国が今後展開していくであろう政策についての説明会を始めます。お手元の資料をご覧ください」
いつもの部屋で。席に着くのは各部署の代表、幹部八名。それに加えて、魔王と魔王国の王女に帝国の皇女。その中で宰相は入り口近くに立ち、その脇を秘書が固め、その後方に新顔が見える。
「基軸となるものは、主に六つほど。先ずは、この城の改築。次いで、国会上院下院の設立。司法機関も。それに伴い、憲法や法律などの法策定。それから貨幣の鋳造と、貨幣経済及び税金の概念の普及。また、より断熱性などをより高めた冬用の住宅への改築に、鉄道などインフラの見直し。以上です。今回の目的は説明であり、一度持ち帰って各々考慮。後日改めて会議を開き、意見交換したのち決定とさせていただきます」
彼が話し始めると、それに合わせて幹部達はペラペラと資料を捲り始める。
「それでは、今紹介した順に一つずつ話していきます。最初に、この城のリフォームについて」
その項目については、数ページに亘って図を中心にびっしりと補足事項が書き込まれていた。
「ふむ……これは、必要なのか?」
しかし、何故なのかという理由などについては書かれていなかった。それゆえ、ベリアルは疑問を呈する。
「ええ、急務です。そうでなければ、この場で話題に取り上げません」
「具体的な案は後で聞くとして、理由は何だ」
ベリアルの後を継いで、レイヴンも問いかける。
「この城、ごちゃごちゃしていると思いません? 職員や幹部・貴族の宿泊施設として。研究機関として。兵の駐屯所でもあり、図書室など資料置き場でもありますし。倉庫などでもある」
「……確かにのう」
エリゴスがゆっくり頷く。他も似たような反応。みな同様の感覚を抱いたようだ。
「嘗て発展途上であった際は、一箇所に集約しても大丈夫、というかその必要があったのかもしれませんが、今ほど大規模になっては逆に危ない。よって別棟を造るなどして分散させようかと。更に、城が広くなれば新たに多くの施設を作ることも可能です。それは、以後の話題にも関連しています」
「成程な。重要さは理解した。だが、言うほど急務であるだろうか?」
「実は、この点はついでです。主な目標は別にある。六ページをご覧ください」
彼の指示に従い、当該のページを開いて、目を通す。すると、皆一様に怪訝な反応を示す。それもその筈、それ以降は更に熱が篭ったように書き込まれていたのだから。
「これは……兵器の類か」
「その通り。よく考えてみてください。この城は外敵、脅威に対する防衛機構、反撃能力を有していますか」
「「「……」」」
苦々しい沈黙。それが答えだ。
「セキュリティ、侵入防止の鍵は? ……無いですね。ですから、インペリアルダガーなんかの侵入を容易く許してしまったのです」
「防衛能力の強化が目当てか……確かに、この城を守るには、兵士が直接迎え撃つしか方法がないな」
「では、どのような設備があるか、解説頼めるか」
資料をヒラヒラ振りながらベリアルが問う。女の子たち以外はまだ資料を見ていないので、これだけで理解しようとすると時間がかかって会議の進行に支障をきたす。
「組み込む機能は、先の帝国との戦争で見た、帝都の防御機能。それから、レイエルピナに関係がある、フォラスの出身でもある、あの研究機関の技術を基にしたものです。ではプロフェッショナル、任せた」
「ええ、ここからはわたしの番ね」
エイジが自分の席につくと、レイエルピナが立ち上がる。
「まずは、防御機能として、二種類の防壁の建設を提案します。一つ目が魔王城や城下町を囲むような物理城壁、二つ目が魔術障壁です。ええと、帝都と研究機関の本拠地の双方にこの機能が見られました。物理障壁は、コンクリートや石、或いは鋼鉄製での建設予定です。後、ええと、何だっけ……普段は通行の邪魔だから地中に埋めて、昇降できるようにしよって案は……あ、流石に無理だったしボツか。こほん……確か、その代わりに、城下町よりずっと遠いところに建設する、という案で決定しました。魔術障壁は、攻撃を防ぐ物理的な防壁としての役割のほか、内部にいる味方への強化や、敵性体への妨害効果を持つことが期待されます」
レイエルピナは資料も見ずにスラスラと話す。普段のツンツンした口調を聞き慣れているエイジにしてみれば、彼女の丁寧語は違和感がすごい。
「次に反撃機能です。物理防壁には、投石器や大砲、見張り台が備え付けられていました。わたした__我々魔王国は、さらに壁城にレールを敷設して自走砲台を配備したり、内部からの射撃口、通信機能を備えてより強固にします。もはや、壁の形をした要塞とでもいうべき物です。魔王城には、物理対地迫撃砲、二種対空機関砲、高射砲、魔力式ビーム主砲、超大型ビーム砲などを配備します。内部にも固定機関銃やトラップ、隠し通路など多数設置するほか、カードキーによる識別機能でゲートの封鎖や魔術障壁の妨害を無効化し支援効果を得るなどの案があります。以上です」
エイジは資料と照らし合わせながら聞いていたが、レイエルピナの説明に漏れはない。因みに、銃は兎も角砲については共有しているので、公表して問題ない。
そしてこの発表を聞いた面々は……ゾッとした様子だった。特に、軍部関係者は戦々恐々。
「や、やりすぎじゃないか?」
「これでも、アイツらよりはマシなんです。わたしもこのバカがいなければ為す術もなく返り討ちだったし、お父様ならともかくレイヴンでもそこまでいけるかどうか……ってくらい。まだ研究段階なので発表しませんでしたが、まだまだやろうと思えば強化できるわ」
「……まあ、防衛と施設追加など、案は資料に詳細に記載してあるので、この話題はここまで。次の題目に移ります、十五ページ」
異次元の軍備増強案にショックを受けていたが、何とか平静を取り戻して幹部達は資料を捲る。
「次は、議会の設立です。それから、憲法と法律。この次に話すであろう貨幣も含めて、異世界転移してから一週間経たないうちにお話ししましたが、改めて解説します」
ぼんやりと覚えてはいるが、再度教えてくれるのはありがたい。そういった感じが顔に出ている。
「先ずは憲法。これは国が守るべきルール。国民一人一人には適用されないが、行政機関には適用されます。これを絶対として、逆らわないように以下の組織は活動します__議会の役割は、行政の監視と法律の制定を国民の代表として行うこと。現在は、私を中心に魔王により任命された幹部等によって行政が行われています。つまり独裁ですが、この場合間違った政策を進め、暴走してしまう可能性があります。それにブレーキをかける、または軌道修正をするよう求めるのが議会の仕事。これが一つ目です。二つ目が、国民を縛る法、ルールを定めること。罪を犯せば罰せられるが、その犯罪を明文化し、その罪を犯した場合の刑罰も前もって決めます。窃盗は罰金幾ら、傷害は懲役何年、といったように。これを罪刑法定主義と言いますがね。で、これに従い罪人を裁き、刑罰を執行するのが司法機関。司法はそのほか、行政と議会が憲法に違反していないかも判断します」
ベリアル達は、思い出したように頷く。新顔達も今まで散々エイジを質問責めしただけあって、何の問題もなさそうだ。
「で、議会の方に話を戻しますと。議会の中でも権力を分散させるように、議会を二つ設けます。貴族院と庶民院、参議院と衆議院、上院と下院というように。上院は貴族や有識者を中心に選出、下院は庶民の代表として国民に選ばせます。主として動くのは下院であり、上院は下院へ専門家として意見する、といった構図が望ましいでしょうか、取り敢えず、上院は百人、下院は百五十人ほどを想定しています」
「ほう、かなり多いな」
「上院は、知識は多ければいいということで。下院は、主な決定は多数決によって決まるので、声は多様な方がいい。取り敢えず導入して、様子を見ながら調整していきます。その他詳細については資料に。個別の質問は会議後に伺います。次は貨幣か……二十六ページ」
懐中時計をチラッと見ると、少し急ぐように話を切り上げ、議題を変える。
「貨幣は帝国、王国、そしてポルトの視察を基に、いいとこ取りと独自要素を加えた魔王国オリジナルのものを新たに発行しようと思います。必要な物資や設備は既に収集を始めています」
「独自要素、というのは?」
「紙幣の導入です。紙のお金」
その提案には、皆驚いた様子を見せる。何せ前例がないものだ、それも致し方ない。
「懸念は分かります。破けたりしないか、濡れてダメになったり、汚れたりしないか、ですよね。勿論、貨幣に比べればそういったものには弱いですよ。でも丁寧に扱えばいい。紙も上質な素材、丈夫な物にするのです。紙なら軽いですし、綺麗に重ねたりして保管できる……が、独自要素というのはそれだけではありません」
その言葉に、再度注目が集まる。だが、エイジはそこから視線を逸らし、テミスをじっと見る。
「……貨幣には、魔導技術を導入します!」
その目線の意図を汲み取り、テミスが起立する。
「贋金防止のため、魔導金属をメッキしたり、紙幣には特定の魔力を籠めるなどです。エイジ曰く、あちらには特殊な加工や細工が施されているようですが、魔王国では独自性の高い魔導技術を用いることで容易に複製することができないようにしようと」
「できるのか、そんなこと」
「はい。実験的に鋳造しましたが、安定して作れています。今はさらに増産できるように機械を造っています」
「このように、技術的な問題についてはクリアしています。問題は、貨幣のデザインと名称ですかね。案はそちらの資料に。意見がありましたら後日の会議で……それでは一度ここで質疑応答、元い小休止の時間としましょう。十五分後に再開します」
だが、直接的には寄与しなくとも、役立つ情報が手に入った。それが、後押ししてくれる。そうして何とか案を纏め上げ、この会議まで漕ぎ着けたのだ。
「それではこれより、魔王国が今後展開していくであろう政策についての説明会を始めます。お手元の資料をご覧ください」
いつもの部屋で。席に着くのは各部署の代表、幹部八名。それに加えて、魔王と魔王国の王女に帝国の皇女。その中で宰相は入り口近くに立ち、その脇を秘書が固め、その後方に新顔が見える。
「基軸となるものは、主に六つほど。先ずは、この城の改築。次いで、国会上院下院の設立。司法機関も。それに伴い、憲法や法律などの法策定。それから貨幣の鋳造と、貨幣経済及び税金の概念の普及。また、より断熱性などをより高めた冬用の住宅への改築に、鉄道などインフラの見直し。以上です。今回の目的は説明であり、一度持ち帰って各々考慮。後日改めて会議を開き、意見交換したのち決定とさせていただきます」
彼が話し始めると、それに合わせて幹部達はペラペラと資料を捲り始める。
「それでは、今紹介した順に一つずつ話していきます。最初に、この城のリフォームについて」
その項目については、数ページに亘って図を中心にびっしりと補足事項が書き込まれていた。
「ふむ……これは、必要なのか?」
しかし、何故なのかという理由などについては書かれていなかった。それゆえ、ベリアルは疑問を呈する。
「ええ、急務です。そうでなければ、この場で話題に取り上げません」
「具体的な案は後で聞くとして、理由は何だ」
ベリアルの後を継いで、レイヴンも問いかける。
「この城、ごちゃごちゃしていると思いません? 職員や幹部・貴族の宿泊施設として。研究機関として。兵の駐屯所でもあり、図書室など資料置き場でもありますし。倉庫などでもある」
「……確かにのう」
エリゴスがゆっくり頷く。他も似たような反応。みな同様の感覚を抱いたようだ。
「嘗て発展途上であった際は、一箇所に集約しても大丈夫、というかその必要があったのかもしれませんが、今ほど大規模になっては逆に危ない。よって別棟を造るなどして分散させようかと。更に、城が広くなれば新たに多くの施設を作ることも可能です。それは、以後の話題にも関連しています」
「成程な。重要さは理解した。だが、言うほど急務であるだろうか?」
「実は、この点はついでです。主な目標は別にある。六ページをご覧ください」
彼の指示に従い、当該のページを開いて、目を通す。すると、皆一様に怪訝な反応を示す。それもその筈、それ以降は更に熱が篭ったように書き込まれていたのだから。
「これは……兵器の類か」
「その通り。よく考えてみてください。この城は外敵、脅威に対する防衛機構、反撃能力を有していますか」
「「「……」」」
苦々しい沈黙。それが答えだ。
「セキュリティ、侵入防止の鍵は? ……無いですね。ですから、インペリアルダガーなんかの侵入を容易く許してしまったのです」
「防衛能力の強化が目当てか……確かに、この城を守るには、兵士が直接迎え撃つしか方法がないな」
「では、どのような設備があるか、解説頼めるか」
資料をヒラヒラ振りながらベリアルが問う。女の子たち以外はまだ資料を見ていないので、これだけで理解しようとすると時間がかかって会議の進行に支障をきたす。
「組み込む機能は、先の帝国との戦争で見た、帝都の防御機能。それから、レイエルピナに関係がある、フォラスの出身でもある、あの研究機関の技術を基にしたものです。ではプロフェッショナル、任せた」
「ええ、ここからはわたしの番ね」
エイジが自分の席につくと、レイエルピナが立ち上がる。
「まずは、防御機能として、二種類の防壁の建設を提案します。一つ目が魔王城や城下町を囲むような物理城壁、二つ目が魔術障壁です。ええと、帝都と研究機関の本拠地の双方にこの機能が見られました。物理障壁は、コンクリートや石、或いは鋼鉄製での建設予定です。後、ええと、何だっけ……普段は通行の邪魔だから地中に埋めて、昇降できるようにしよって案は……あ、流石に無理だったしボツか。こほん……確か、その代わりに、城下町よりずっと遠いところに建設する、という案で決定しました。魔術障壁は、攻撃を防ぐ物理的な防壁としての役割のほか、内部にいる味方への強化や、敵性体への妨害効果を持つことが期待されます」
レイエルピナは資料も見ずにスラスラと話す。普段のツンツンした口調を聞き慣れているエイジにしてみれば、彼女の丁寧語は違和感がすごい。
「次に反撃機能です。物理防壁には、投石器や大砲、見張り台が備え付けられていました。わたした__我々魔王国は、さらに壁城にレールを敷設して自走砲台を配備したり、内部からの射撃口、通信機能を備えてより強固にします。もはや、壁の形をした要塞とでもいうべき物です。魔王城には、物理対地迫撃砲、二種対空機関砲、高射砲、魔力式ビーム主砲、超大型ビーム砲などを配備します。内部にも固定機関銃やトラップ、隠し通路など多数設置するほか、カードキーによる識別機能でゲートの封鎖や魔術障壁の妨害を無効化し支援効果を得るなどの案があります。以上です」
エイジは資料と照らし合わせながら聞いていたが、レイエルピナの説明に漏れはない。因みに、銃は兎も角砲については共有しているので、公表して問題ない。
そしてこの発表を聞いた面々は……ゾッとした様子だった。特に、軍部関係者は戦々恐々。
「や、やりすぎじゃないか?」
「これでも、アイツらよりはマシなんです。わたしもこのバカがいなければ為す術もなく返り討ちだったし、お父様ならともかくレイヴンでもそこまでいけるかどうか……ってくらい。まだ研究段階なので発表しませんでしたが、まだまだやろうと思えば強化できるわ」
「……まあ、防衛と施設追加など、案は資料に詳細に記載してあるので、この話題はここまで。次の題目に移ります、十五ページ」
異次元の軍備増強案にショックを受けていたが、何とか平静を取り戻して幹部達は資料を捲る。
「次は、議会の設立です。それから、憲法と法律。この次に話すであろう貨幣も含めて、異世界転移してから一週間経たないうちにお話ししましたが、改めて解説します」
ぼんやりと覚えてはいるが、再度教えてくれるのはありがたい。そういった感じが顔に出ている。
「先ずは憲法。これは国が守るべきルール。国民一人一人には適用されないが、行政機関には適用されます。これを絶対として、逆らわないように以下の組織は活動します__議会の役割は、行政の監視と法律の制定を国民の代表として行うこと。現在は、私を中心に魔王により任命された幹部等によって行政が行われています。つまり独裁ですが、この場合間違った政策を進め、暴走してしまう可能性があります。それにブレーキをかける、または軌道修正をするよう求めるのが議会の仕事。これが一つ目です。二つ目が、国民を縛る法、ルールを定めること。罪を犯せば罰せられるが、その犯罪を明文化し、その罪を犯した場合の刑罰も前もって決めます。窃盗は罰金幾ら、傷害は懲役何年、といったように。これを罪刑法定主義と言いますがね。で、これに従い罪人を裁き、刑罰を執行するのが司法機関。司法はそのほか、行政と議会が憲法に違反していないかも判断します」
ベリアル達は、思い出したように頷く。新顔達も今まで散々エイジを質問責めしただけあって、何の問題もなさそうだ。
「で、議会の方に話を戻しますと。議会の中でも権力を分散させるように、議会を二つ設けます。貴族院と庶民院、参議院と衆議院、上院と下院というように。上院は貴族や有識者を中心に選出、下院は庶民の代表として国民に選ばせます。主として動くのは下院であり、上院は下院へ専門家として意見する、といった構図が望ましいでしょうか、取り敢えず、上院は百人、下院は百五十人ほどを想定しています」
「ほう、かなり多いな」
「上院は、知識は多ければいいということで。下院は、主な決定は多数決によって決まるので、声は多様な方がいい。取り敢えず導入して、様子を見ながら調整していきます。その他詳細については資料に。個別の質問は会議後に伺います。次は貨幣か……二十六ページ」
懐中時計をチラッと見ると、少し急ぐように話を切り上げ、議題を変える。
「貨幣は帝国、王国、そしてポルトの視察を基に、いいとこ取りと独自要素を加えた魔王国オリジナルのものを新たに発行しようと思います。必要な物資や設備は既に収集を始めています」
「独自要素、というのは?」
「紙幣の導入です。紙のお金」
その提案には、皆驚いた様子を見せる。何せ前例がないものだ、それも致し方ない。
「懸念は分かります。破けたりしないか、濡れてダメになったり、汚れたりしないか、ですよね。勿論、貨幣に比べればそういったものには弱いですよ。でも丁寧に扱えばいい。紙も上質な素材、丈夫な物にするのです。紙なら軽いですし、綺麗に重ねたりして保管できる……が、独自要素というのはそれだけではありません」
その言葉に、再度注目が集まる。だが、エイジはそこから視線を逸らし、テミスをじっと見る。
「……貨幣には、魔導技術を導入します!」
その目線の意図を汲み取り、テミスが起立する。
「贋金防止のため、魔導金属をメッキしたり、紙幣には特定の魔力を籠めるなどです。エイジ曰く、あちらには特殊な加工や細工が施されているようですが、魔王国では独自性の高い魔導技術を用いることで容易に複製することができないようにしようと」
「できるのか、そんなこと」
「はい。実験的に鋳造しましたが、安定して作れています。今はさらに増産できるように機械を造っています」
「このように、技術的な問題についてはクリアしています。問題は、貨幣のデザインと名称ですかね。案はそちらの資料に。意見がありましたら後日の会議で……それでは一度ここで質疑応答、元い小休止の時間としましょう。十五分後に再開します」
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