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3.学園
聖徳学院高等学校3年1組、西園寺 誠(さいおんじ せい)それが彼の名前だった。
入学式の生徒会長のスピーチで、彼が再び目の前に現れたのだ。
彼が檀上に立つと、一瞬にして、誰もがその美しい容貌に見惚れた。
その容姿は皆を魅了することながら、演説する姿は堂々とした姿勢で、全校生徒、学園の先生方、誰もが認めていた。
すぐに誠の事は噂で知ることができた。日本の財閥、西園寺グループの御曹司だと言うこと。誠には二人の幼馴染がいて、その二人が生徒会副会長だということ。学園の先生方すらも表面上は表さないが西園寺の御曹司の誠には気をつかっているのが一目瞭然だった。
京子は、あの雨の日に出会った彼、西園寺 誠は自分とは違う、雲の上のような存在の人なのだと改めて感じるのであった。
* *
学園に入学して一月が過ぎた。毎日30分かけて電車で通う。毎朝の如く駅のホームに並ぶ。
すると、今日も同じ学校の制服を着た男の子が京子の前に並んでいた。
どうやら気付いたのは京子だけではなかったようだ。
「同中だよね?」
よく見ると、中学時代明るくて人気があった隣のクラスの男の子――
「長谷川君?」
「そう。俺、長谷川 明(はせがわ あきら)」
かわらない。明るくて大きい声。
「君、こんなに髪短かった……?」
「フフ、クラス違うのに覚えててくれたんだ。切ったの髪」
二人は中学時代、一度も同じクラスになった事もなくは、話をした事もなかった。ただ隣のクラスの子……とだけの印象。
「先生から俺ともう一人、聖徳に合格した子がいるとは聞いていたけど……あれ?名前なんだっけ?」
「和泉京子。よろしくね。」
「おう!よろしく。同中出身誰もいなくて寂しかったからよ」
「うん。私も……」
明は京子を見て思った。こんなにかわいかったかと……。
京子は中学時代、おとなしく、比較的目立つ女の子ではなかった。今も決して目立つ容姿ではないが、背中まであったストレートの黒髪をバッサリ、肩につかない程度位までの長さに切り揃えた髪の京子はまるで日本人形のような、かわいらしい風貌で、小柄で細身なのがいっそう引き立たせた。
一方、京子は、自分より背の高い明を見て思う。
(誠様はどれくらいの高さなのだろう?)
いつの間にか誠様という呼び名が親しんでいた。皆がそう呼ぶ。京子も一番あの方に似合う呼び名だと思った。親しみを込めてそう呼ぶのだ。
じっと見つめる京子に明が問う。
「どうしたの?」
「ううん。なんでもない」
(やだ……私。長谷川君に失礼じゃない……)
他の人と一緒にいるのにもかかわらず、京子は誠のことで頭がいっぱいなのであった。
入学式の生徒会長のスピーチで、彼が再び目の前に現れたのだ。
彼が檀上に立つと、一瞬にして、誰もがその美しい容貌に見惚れた。
その容姿は皆を魅了することながら、演説する姿は堂々とした姿勢で、全校生徒、学園の先生方、誰もが認めていた。
すぐに誠の事は噂で知ることができた。日本の財閥、西園寺グループの御曹司だと言うこと。誠には二人の幼馴染がいて、その二人が生徒会副会長だということ。学園の先生方すらも表面上は表さないが西園寺の御曹司の誠には気をつかっているのが一目瞭然だった。
京子は、あの雨の日に出会った彼、西園寺 誠は自分とは違う、雲の上のような存在の人なのだと改めて感じるのであった。
* *
学園に入学して一月が過ぎた。毎日30分かけて電車で通う。毎朝の如く駅のホームに並ぶ。
すると、今日も同じ学校の制服を着た男の子が京子の前に並んでいた。
どうやら気付いたのは京子だけではなかったようだ。
「同中だよね?」
よく見ると、中学時代明るくて人気があった隣のクラスの男の子――
「長谷川君?」
「そう。俺、長谷川 明(はせがわ あきら)」
かわらない。明るくて大きい声。
「君、こんなに髪短かった……?」
「フフ、クラス違うのに覚えててくれたんだ。切ったの髪」
二人は中学時代、一度も同じクラスになった事もなくは、話をした事もなかった。ただ隣のクラスの子……とだけの印象。
「先生から俺ともう一人、聖徳に合格した子がいるとは聞いていたけど……あれ?名前なんだっけ?」
「和泉京子。よろしくね。」
「おう!よろしく。同中出身誰もいなくて寂しかったからよ」
「うん。私も……」
明は京子を見て思った。こんなにかわいかったかと……。
京子は中学時代、おとなしく、比較的目立つ女の子ではなかった。今も決して目立つ容姿ではないが、背中まであったストレートの黒髪をバッサリ、肩につかない程度位までの長さに切り揃えた髪の京子はまるで日本人形のような、かわいらしい風貌で、小柄で細身なのがいっそう引き立たせた。
一方、京子は、自分より背の高い明を見て思う。
(誠様はどれくらいの高さなのだろう?)
いつの間にか誠様という呼び名が親しんでいた。皆がそう呼ぶ。京子も一番あの方に似合う呼び名だと思った。親しみを込めてそう呼ぶのだ。
じっと見つめる京子に明が問う。
「どうしたの?」
「ううん。なんでもない」
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他の人と一緒にいるのにもかかわらず、京子は誠のことで頭がいっぱいなのであった。
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