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登場人物紹介と序章
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【登場人物♡】
野々原エル
銀之助の奥さん。よくしゃべる。
野々原銀之助
エルの旦那さん。無口。
ゆりさん
オンラインゲーム上で知り合った人。
男気さん
オンラインゲーム上で知り合った人。
ゆりさんの旦那さん。
梅子さん
オンラインゲーム上で知り合った人。
ススキさん
オンラインゲーム上で知り合った人。
香さん
オンラインゲーム上で知り合った人。
ススキさんの恋人。
リュウカさん
オンラインゲーム上で知り合った人。
でも何故か野々原家のことを知っていて・・・?
***
プロローグ
今日は珍しく、夕暮れ時のあの家の窓から、いい匂いがする。
隣の空き地でずっと遊んでいたらしい、
よその家の子供たちがそれに気がつくと、大いにはしゃぎ出した。
「うわ!やっべー!あそこの家、今日の夕飯ぜってーカレーだわ!オレ、すげー!天才!」
「何お前、こんなん、匂いで誰でもわかるって!・・・あー、腹減ってきた!またな!」
「うん、またなー!わー!あそこまで競争!!・・・カレーパンまん!」
「はぁ…、元気だなぁ…。」
夕暮れ時の野々原家のキッチンから、徐々に遠ざかっていく彼らの声を聞きながら、思わず彼女が呟いた。
(…まだ、私たちは、いいかな)
銀之助との間の愛の証は、妻として、そして一人の女性として、欲しくない訳じゃない。だけど。
「それにしても、うん、我ながら美味しい!
…腕は鈍ってないね」
(銀ちゃん、久々に喜んでくれるかな。確かカレー大好きだよね)
久々に取れた仕事の休日に、久々に作った手作りのカレー。それをこれから食すであろう夫のことを考えると、エルは思わず満足げに笑った。
暫くして、トントンと2回ノックしたあと、カチャリ、と静かに家のドアを開けて、誰かが入ってくる音が聞こえた。
「…。」
「あ、銀ちゃん、おかえり!仕事どうだった?」
ただいま、と言う代わりなのだろうか、いつも決まって入る前にドアノック2回と、入ったあとも無表情のままだけどペコリと軽く会釈してくるいつも通りの彼に構わず、エルは独りでに話し始めた。
「お仕事、何事もなかった?」
「…」
「…うん、その表情は、無事だった顔してるね!よかった。あ、そうだ、今日、カレー作ったんだ。…食べよ」
「…」
うん、と言う返事の代わりに、少し表情が柔らかくなっていた銀之助が、彼女に軽く頷いた。
『この子は、本当に小さい時から殆ど喋らない子でね。厳しく育てて来たし、それなりに英才教育もさせてきたから、それ以外は本当に自慢の息子なんだが』
ふと、銀之助の父が口ぐせのように、婚約前に言っていた言葉を思い出した。
頭も悪くないし、
顔はそんじょそこらの俳優より格好いい方だと思うのに、もったいないといつも思う。
「銀ちゃん、福神漬け、いる?」
「…」
「あ、いらないんだ」
「…エル、実は話たいことが」
「…!?」
突然のできごとに、エルは思わず福神漬けを落としそうになった。
めったに聞くことのない、銀之助の、透き通るような、静かな声。
ふだんは無口な彼が、彼女の方に目線を合わせ、おもむろに口を開くと言った。
「…あの、これ、一緒に始めてみない?」
続く
野々原エル
銀之助の奥さん。よくしゃべる。
野々原銀之助
エルの旦那さん。無口。
ゆりさん
オンラインゲーム上で知り合った人。
男気さん
オンラインゲーム上で知り合った人。
ゆりさんの旦那さん。
梅子さん
オンラインゲーム上で知り合った人。
ススキさん
オンラインゲーム上で知り合った人。
香さん
オンラインゲーム上で知り合った人。
ススキさんの恋人。
リュウカさん
オンラインゲーム上で知り合った人。
でも何故か野々原家のことを知っていて・・・?
***
プロローグ
今日は珍しく、夕暮れ時のあの家の窓から、いい匂いがする。
隣の空き地でずっと遊んでいたらしい、
よその家の子供たちがそれに気がつくと、大いにはしゃぎ出した。
「うわ!やっべー!あそこの家、今日の夕飯ぜってーカレーだわ!オレ、すげー!天才!」
「何お前、こんなん、匂いで誰でもわかるって!・・・あー、腹減ってきた!またな!」
「うん、またなー!わー!あそこまで競争!!・・・カレーパンまん!」
「はぁ…、元気だなぁ…。」
夕暮れ時の野々原家のキッチンから、徐々に遠ざかっていく彼らの声を聞きながら、思わず彼女が呟いた。
(…まだ、私たちは、いいかな)
銀之助との間の愛の証は、妻として、そして一人の女性として、欲しくない訳じゃない。だけど。
「それにしても、うん、我ながら美味しい!
…腕は鈍ってないね」
(銀ちゃん、久々に喜んでくれるかな。確かカレー大好きだよね)
久々に取れた仕事の休日に、久々に作った手作りのカレー。それをこれから食すであろう夫のことを考えると、エルは思わず満足げに笑った。
暫くして、トントンと2回ノックしたあと、カチャリ、と静かに家のドアを開けて、誰かが入ってくる音が聞こえた。
「…。」
「あ、銀ちゃん、おかえり!仕事どうだった?」
ただいま、と言う代わりなのだろうか、いつも決まって入る前にドアノック2回と、入ったあとも無表情のままだけどペコリと軽く会釈してくるいつも通りの彼に構わず、エルは独りでに話し始めた。
「お仕事、何事もなかった?」
「…」
「…うん、その表情は、無事だった顔してるね!よかった。あ、そうだ、今日、カレー作ったんだ。…食べよ」
「…」
うん、と言う返事の代わりに、少し表情が柔らかくなっていた銀之助が、彼女に軽く頷いた。
『この子は、本当に小さい時から殆ど喋らない子でね。厳しく育てて来たし、それなりに英才教育もさせてきたから、それ以外は本当に自慢の息子なんだが』
ふと、銀之助の父が口ぐせのように、婚約前に言っていた言葉を思い出した。
頭も悪くないし、
顔はそんじょそこらの俳優より格好いい方だと思うのに、もったいないといつも思う。
「銀ちゃん、福神漬け、いる?」
「…」
「あ、いらないんだ」
「…エル、実は話たいことが」
「…!?」
突然のできごとに、エルは思わず福神漬けを落としそうになった。
めったに聞くことのない、銀之助の、透き通るような、静かな声。
ふだんは無口な彼が、彼女の方に目線を合わせ、おもむろに口を開くと言った。
「…あの、これ、一緒に始めてみない?」
続く
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