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一章
十六話
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警報が耳障りだ。流れないアナウンスは、今回の事態が完全に予想不能であると暗に告げていた。
全身の血がたぎる。パーカーの頭を完膚なきまでに叩きのめそうと本能がせがんでくる。もちろん、そのつもりだ。
しかし、まずやることがある。
「こっちだ、凛奈」
凛奈の手を掴んだまま、別の教室に移動する。全く使用されていない教室だ。物置と化しており、人が入れるようなロッカーがいくつもある。
中でも見えにくい場所にあるロッカーに、凛奈を入れる。
「ここに隠れるんだ」
ロッカーにすっぽり収まった凛奈は、まだ現状を理解していないらしい。戸惑った様子で聞いてくる。
「翼? どういうことなの」
「詳しくは説明できない」
おれは首を振った。
警報は鳴り止まない。初めてアナウンスが流れたが、不明瞭で耳に入らなかった。
「なんで鉄パイプを持ってるの? 分からないよ」
凛奈は泣き出しそうな表情になっていた。今にもパニックを起こしそうだ。
凛奈の頬を優しく両手で持ち上げた。子供におとぎ話を話して聞かせるように、ゆっくりと言葉を紡ぐ。
「おれはこれから戦いに行くんだ。ヤツの狙いは柿市翼だけ。いいか、お前はここに隠れるんだ。知らないヤツにノックされたり、開けるよう言われても相手にしないんだよ。おれなら大丈夫。何があっても、凛奈を迎えに来るから」
凛奈はまだ怯えていたが、強くうなずいてくれた。寒いと言い出したので、着ていた上着を貸す。
「少し、安心した」
凛奈はおれの上着を羽織った。
「必ず戻ってきてね」
「ああ」
最後に握った彼女の手は、温かかった。
凛奈がいてくれる。
その実感だけが、おれの救いだった。
そっとロッカーを閉め、おれは旧校舎を後にした。
全身の血がたぎる。パーカーの頭を完膚なきまでに叩きのめそうと本能がせがんでくる。もちろん、そのつもりだ。
しかし、まずやることがある。
「こっちだ、凛奈」
凛奈の手を掴んだまま、別の教室に移動する。全く使用されていない教室だ。物置と化しており、人が入れるようなロッカーがいくつもある。
中でも見えにくい場所にあるロッカーに、凛奈を入れる。
「ここに隠れるんだ」
ロッカーにすっぽり収まった凛奈は、まだ現状を理解していないらしい。戸惑った様子で聞いてくる。
「翼? どういうことなの」
「詳しくは説明できない」
おれは首を振った。
警報は鳴り止まない。初めてアナウンスが流れたが、不明瞭で耳に入らなかった。
「なんで鉄パイプを持ってるの? 分からないよ」
凛奈は泣き出しそうな表情になっていた。今にもパニックを起こしそうだ。
凛奈の頬を優しく両手で持ち上げた。子供におとぎ話を話して聞かせるように、ゆっくりと言葉を紡ぐ。
「おれはこれから戦いに行くんだ。ヤツの狙いは柿市翼だけ。いいか、お前はここに隠れるんだ。知らないヤツにノックされたり、開けるよう言われても相手にしないんだよ。おれなら大丈夫。何があっても、凛奈を迎えに来るから」
凛奈はまだ怯えていたが、強くうなずいてくれた。寒いと言い出したので、着ていた上着を貸す。
「少し、安心した」
凛奈はおれの上着を羽織った。
「必ず戻ってきてね」
「ああ」
最後に握った彼女の手は、温かかった。
凛奈がいてくれる。
その実感だけが、おれの救いだった。
そっとロッカーを閉め、おれは旧校舎を後にした。
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