異世界チート物語

ダイゴロウ

文字の大きさ
3 / 5
第一章 異世界転移物語

2話 中編 魔法が当たり前の世界

しおりを挟む


「なぁグラン」

転移された場所へ向かう途中、当然シュンが歩きながらグランに話しかける。


「お前んちを出るときにいた『羊』だけどよぉ、あれは俺の知ってる普通の『羊』だったぞ?ここ本当に異世界なのか?」


「そうなんですか?あの羊はバヴィと言って水魔法を使う羊で、あの毛の中に水を含む、こちらでは珍しい生き物なんですが…」


魔法…

さっきも聞いたが、あの時は驚きで聞きそびれてしまった。

今のうちに聞いておくか。


「なぁ、その魔法ってのは、俺の所では無くてさ。

わりぃけど、教えてくんねぇ?」


シュンは頭に手を乗せて、申し訳なさそうにしながらグランに聞く。


「魔法、無いんですか?」

「ないない、全くない。俺らの世界じゃあ魔法なんておとぎ話の世界だぜ?」


「そ、そうなんですか。

なんだか、あなたのいた世界が想像できません」


シュンからすればこの世界がその想像できない世界。

その住人から逆に想像できないと言われて、シュンはなんだか不思議な気持ちになる。


「この世界にとって、魔法は僕らの暮らしを助けたり獣から身を守る武器になったり、ここでは無くてはならない存在なんです。

魔法は五大元素と呼ばれ、火、水、土、風、雷の五つに分けられていて、生まれて始めて必要とした種類がその人の魔法として執着するんです」

「へぇー」


感心無さそうに返事をするシュン。

だが、不意にあることが気になり、シュンはグランに尋ねた。


「てことは、グランも魔法使えんのか?」

「え?ま、まぁ、一応…」

「マジ!?何が使えんの?」

「火を、ちょっとだけ…」


グランは誤魔化すように笑いながら答えるが、シュンはそんな事お構い無しに質問をする。


「火かぁ、魔法の王道って感じでいいな!
ちょっと魔法見してよ」

「それは、ちょっと…」

「ちょっとだけいいじゃねぇか」

「今日は、その、調子悪くて…

そ、それより、そっちの世界はどうなんですか?」


あからさまに誤魔化すグランにシュンは少し不満に思いながらも、話を聞いた以上、自分のいた世界の事を言うのが道理と感じ、魔法のことは諦めて話をすることにした。


「俺がいた世界は…なんつうか、何もないつまんねぇとこさ…

朝起きて、飯食って学校行って、部活して帰る。ただそれを繰り返してるだけ」


つまんなそうに答えたシュンに、グランは異世界ならではの質問をする。

「部活って何ですか?」

「ん?あぁ、習い事みてぇなもんかな」

「へぇー。学校以外にも習い事を出来るなんて、あなたはお金持ちなんですね!」

「…」


別にシュンは奨学金で高校に通ってるから、特別金があるというわけではないのだが、シュンはそれよりも気になっていた事があった。


「グラン、お前歳いくつ?」

「え?16ですが」

「タメじゃねぇか。

んじゃあさ、その敬語やめてくんねぇ?
こっちまで話ずらくなる。

あと、俺のことはシュンって呼んでくれ」

「わ、わかりました。頑張ります」


グランは返事を返すがシュンはそれにムッと眉を寄せる。


「『わかりました』じゃなく『わかった』だよ!」

「わ、わかった」


シュンの勢いに乗せられながら敬語ではない返事をするグラン。

そのようすにようやく納得のいったシュンはニコッと笑みを見せる。


「それじゃあ、ここにいる間よろしくな、グラン」


シュンはそう言いながらグランの肩に手をかける。

その時のシュンは、諦めていたはずの夢が叶いかけていたことへの喜びで胸がいっぱいだった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

おばさんは、ひっそり暮らしたい

蝋梅
恋愛
30歳村山直子は、いわゆる勝手に落ちてきた異世界人だった。 たまに物が落ちてくるが人は珍しいものの、牢屋行きにもならず基礎知識を教えてもらい居場所が分かるように、また定期的に国に報告する以外は自由と言われた。 さて、生きるには働かなければならない。 「仕方がない、ご飯屋にするか」 栄養士にはなったものの向いてないと思いながら働いていた私は、また生活のために今日もご飯を作る。 「地味にそこそこ人が入ればいいのに困るなぁ」 意欲が低い直子は、今日もまたテンション低く呟いた。 騎士サイド追加しました。2023/05/23 番外編を不定期ですが始めました。

【完結】スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

異世界に転移してしまった私、古民家をもらったのでカフェを始めたら大盛況。国王陛下が頻繁に来るのですが、どうしたらいいですか?

来栖とむ
ファンタジー
ブラック企業で疲れ果てた30歳の元OL・美里(みさと)が転移した先は、見渡す限りの深い森。 そこで彼女が授かったのは、魔女の称号……ではなく、一軒の**「日本の古民家」**だった! 亡き祖母が遺したその屋敷には、異世界では失われたはずの「お醤油」「お味噌」「白いお砂糖」という禁断の調味料が眠っていて――。 「えっ、唐揚げにそんなに感動しちゃうの?」 「プリン一口で、国王陛下が泣いちゃった……!?」 おにぎり、オムライス、そして肉汁溢れるハンバーグ。 現代日本の「当たり前」が、この世界では常識を覆す究極の美食に。 お掃除のプロな親子や、お忍びの王様、さらにはツンデレな宮廷料理人まで巻き込んで、 美味しい香りに包まれた、心もお腹も満たされるスローライフが今、始まります!

異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました

雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。 気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。 剣も魔法も使えないユウにできるのは、 子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。 ……のはずが、なぜか料理や家事といった 日常のことだけが、やたらとうまくいく。 無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。 個性豊かな子供たちに囲まれて、 ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。 やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、 孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。 戦わない、争わない。 ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。 ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、 やさしい異世界孤児院ファンタジー。

辺境のスローライフを満喫したいのに、料理が絶品すぎて冷酷騎士団長に囲い込まれました

腐ったバナナ
恋愛
異世界に転移した元会社員のミサキは、現代の調味料と調理技術というチート能力を駆使し、辺境の森で誰にも邪魔されない静かなスローライフを送ることを目指していた。 しかし、彼女の作る絶品の料理の香りは、辺境を守る冷酷な「鉄血」騎士団長ガイウスを引き寄せてしまった。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】うちの孫知りませんか?! 召喚された孫を追いかけ異世界転移。ばぁばとじぃじと探偵さんのスローライフ。

かの
ファンタジー
 孫の雷人(14歳)からテレパシーを受け取った光江(ばぁば64歳)。誘拐されたと思っていた雷人は異世界に召喚されていた。康夫(じぃじ66歳)と柏木(探偵534歳)⁈ をお供に従え、異世界へ転移。料理自慢のばぁばのスキルは胃袋を掴む事だけ。そしてじぃじのスキルは有り余る財力だけ。そんなばぁばとじぃじが、異世界で繰り広げるほのぼのスローライフ。  ばぁばとじぃじは無事異世界で孫の雷人に会えるのか⁈

処理中です...