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第3章 アレに魅了されたアレ
第1話
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幻の石、『瑠璃黒曜』に魅せられ毎日ひたすらに石探し。
なかなか簡単には見つからない石だが、田舎の山の中で色んな経験をする日々。
それはそれで楽しく『瑠璃黒曜』が見つからなくても充実していた。
そんなある日、危険な下流で思わぬ発見を……
もしかしたら『瑠璃黒曜』かもしれない石を見つける。
ただ色々と云われのある石。
その石を手にした途端、川に落ち危険だと忠告されていた白い橋の下流まで流され……
何とか危険な状態から抜け出し、手に入れた石も手放す事無く命拾いした矢先……
突然現れた子熊に石を持って行かれ、渓谷に挟まれた川から抜け出そうとしたはず……
その後は何があったのかも分からず、ただただ寒い。冷たい。
その冷たい感覚で、思わず目を覚ました。
少し暗い景色。目の前には川が流れその川原に、もたれかかったまま座っていた。
「うう。寒い、冷たい。助かったのか? 」
思わず辺りを見回す。だが体を動かせない。体を少し動かすだけで、激痛が走った。
左の肩の後ろの方から背中にかけて、それと後頭部辺りに痛みがあった。
「たしか…… 岩にぶつかって、その後は…… 記憶が無い。どうやってこの川原に来たのだろう。ここまで流されて来たのだろうか。じゃ此処は一体何処なんだろ」
痛い体を動かし横を見ると、明るい。
目を覚ました時、薄暗かったので日が暮れたと思っていたがまだ明るかった。
思わず自分の真上を見てみる。
何かある。自分の真上に。
橋⁈
橋の真下にいた。橋が架かっている土台の石垣に、もたれかかっていた。
「何処の橋だ? 白い橋の下流に別の橋があったのか。だとすると何処まで下流に流されたのだろうか」
痛い体を動かしどんな橋なのか見てみる。
白い橋だった。
「また、白い橋か…… えっ! この橋、見覚えのある白い橋だ。何で? 」
少し混乱した頭でキョロキョロと見回して見た。
下流側は、渓谷。
上流側は⁈ ……アレは見覚えのある大きな岩。
よく見ると…… 大きな岩の上に何かある。
それは、恐らく自分のリュック。
と、言う事はこの橋は自分がよく知る白い橋。この白い橋の下流は危険と言われていた目印の橋。
「おかしい。確かに白い橋の下流まで流され、何とか岩に捕まりウェーダーを脱ぎ捨て…… 子熊に。えっ! 夢? 夢なの? あの『ポ~~』と鳴く子熊も…… もしかしてあの『瑠璃』かもしれない石を見つけたのも夢? 」
夢でなければ今、白い橋の真下にいる自分は何なんだろ。ウェーダーも履いていない。全身ずぶ濡れ。手には黒曜石も持っていない。誰かが助けてくれた形跡も無い。
訳が分からなかった。ゆっくり考えようと思ったが、体が痛く頭もボ~っとしていてそれどころでは無かった。
とにかく助かった様だし、ずぶ濡れで寒いので日が暮れる前に帰らなくては。
何とか痛い体を動かし、あの大きな岩まで戻った。
しかし、そこにあった物を見てまた混乱した。それは……
黒曜石。
半分に割れた黒曜石と自分のハンマー。
自分が此処で割った黒曜石の片方。
だとすると……夢ではないのか。
どこまでが現実で、どこが夢なのか。
あやふやな記憶を辿りながらスクーターを止めていた赤い橋まで戻った。
やっとの思いでヨシばあの家まで戻り、風呂に入り部屋に行き、倒れる様に休んだ。ずぶ濡れで疲れきった自分を見たヨシばあだが、特に詮索する事なく静かに見守ってくれた。
次の日の朝。
体が痛くて起きる。
痛いが、何とか肩も動くし出血もない様だ。意識が飛ぶ程の激突なのに打撲で済んだ様だった。
改めて昨日の事を振り返ってみる。
「確かに黒曜石を割って、その後流されたのは事実。問題は…… 割った黒曜石のもう片方が『瑠璃』だったのか? あの子熊は本当に見たのか? 大体、子熊が黒曜石を持って逃げるか? やっぱり夢かな…… 」
事実を確かめたかったが、体が痛かったので今日は川へ行くのは、やめておいた。頭も打った様なので無理をするのは良くないだろうし。
背中を鏡で見てみると肩から背中にかけて紫色に……
「ヨシばあには、見せられないな」
今日は、ゆっくり休むつもりだったが昨日の事が気になりナカさんの所へ行く事にした。
スクーターにまたがっているだけでも体は痛く、苦悶の表情のままナカさんの家に。
左肩を庇いながら、痛みを堪えたままの顔を見てナカさんが、
「どうした? バイクで転んだか? 」
「あ、いえ。昨日、やっちゃいました。川に落ち流され白い橋の下流まで。それで岩に激突したようです。多分」
「多分? 覚えてないのか? よく助かったなぁ。あの渓谷で」
「岩に激突したまでは、覚えているんですが…… その後が何か変だったんです。なので、もしかしたら全部夢なのかもと」
「変? 岩に頭でもぶつけたか? どうやって助かったんだ? それは覚えてないのか? 」
「岩にぶつかって意識が飛んだ様なのだけど、目を覚ますと白い橋のたもとに座っていたんですよ。それに、『瑠璃』の様な黒曜石を見つけたんだけど子熊が現れて持って行ってしまったんですよ~~ 」
「ありゃ、大丈夫かアキラ? だいぶ頭打ったみたいだな。何、訳のわからん事言って、どうして子熊が石持っていくんだ?
面白くも無い話だぞ」
「やっぱり変ですよね。夢かな。その子熊『ポ~~』って鳴いたんですよ。子熊ってそんな鳴き声なんですか? 」
「子熊なら犬みたいに吠えるだろ。ポ~~は、無いな。あははは。……で、『瑠璃』は夢なのか? 」
「わかりません。でも確かに黒曜石を割った形跡はあったし、自分の記憶では青緑色っぽい黒曜石で『やった~』と思ったら川に落ちて…… あの子熊、何で石なんか……大体、熊っぽく無かったし」
「ん~。アキラの話を真に受けてみたとしてだ、『瑠璃』を見つけ子熊に取られ。で、また川に流されたのか? それで岩にぶつかって目を覚ましたら白い橋に居たって事か? 」
「そ、そうです。どう考えても変だけど」
「わかったぞ! アキラは『瑠璃』を見つけたんだよ。で、子熊は知らんけど川に流され死にそうな時に神様が助けてくれたんだな。『瑠璃』にはそう言う不思議な力があるからな。もしかしたらその子熊は、神様の使いの熊なんだろ。だから石を持って行ったんだな」
「そんな事って…… あるんですか? 」
「無いだろうな。少なくとも俺は初めて聞いたこの歳になるまで。あははは」
ナカさんに聞けば何か分かるかもと思い来たけれど…… やっぱり
夢だったのかな~~
第1話 終
なかなか簡単には見つからない石だが、田舎の山の中で色んな経験をする日々。
それはそれで楽しく『瑠璃黒曜』が見つからなくても充実していた。
そんなある日、危険な下流で思わぬ発見を……
もしかしたら『瑠璃黒曜』かもしれない石を見つける。
ただ色々と云われのある石。
その石を手にした途端、川に落ち危険だと忠告されていた白い橋の下流まで流され……
何とか危険な状態から抜け出し、手に入れた石も手放す事無く命拾いした矢先……
突然現れた子熊に石を持って行かれ、渓谷に挟まれた川から抜け出そうとしたはず……
その後は何があったのかも分からず、ただただ寒い。冷たい。
その冷たい感覚で、思わず目を覚ました。
少し暗い景色。目の前には川が流れその川原に、もたれかかったまま座っていた。
「うう。寒い、冷たい。助かったのか? 」
思わず辺りを見回す。だが体を動かせない。体を少し動かすだけで、激痛が走った。
左の肩の後ろの方から背中にかけて、それと後頭部辺りに痛みがあった。
「たしか…… 岩にぶつかって、その後は…… 記憶が無い。どうやってこの川原に来たのだろう。ここまで流されて来たのだろうか。じゃ此処は一体何処なんだろ」
痛い体を動かし横を見ると、明るい。
目を覚ました時、薄暗かったので日が暮れたと思っていたがまだ明るかった。
思わず自分の真上を見てみる。
何かある。自分の真上に。
橋⁈
橋の真下にいた。橋が架かっている土台の石垣に、もたれかかっていた。
「何処の橋だ? 白い橋の下流に別の橋があったのか。だとすると何処まで下流に流されたのだろうか」
痛い体を動かしどんな橋なのか見てみる。
白い橋だった。
「また、白い橋か…… えっ! この橋、見覚えのある白い橋だ。何で? 」
少し混乱した頭でキョロキョロと見回して見た。
下流側は、渓谷。
上流側は⁈ ……アレは見覚えのある大きな岩。
よく見ると…… 大きな岩の上に何かある。
それは、恐らく自分のリュック。
と、言う事はこの橋は自分がよく知る白い橋。この白い橋の下流は危険と言われていた目印の橋。
「おかしい。確かに白い橋の下流まで流され、何とか岩に捕まりウェーダーを脱ぎ捨て…… 子熊に。えっ! 夢? 夢なの? あの『ポ~~』と鳴く子熊も…… もしかしてあの『瑠璃』かもしれない石を見つけたのも夢? 」
夢でなければ今、白い橋の真下にいる自分は何なんだろ。ウェーダーも履いていない。全身ずぶ濡れ。手には黒曜石も持っていない。誰かが助けてくれた形跡も無い。
訳が分からなかった。ゆっくり考えようと思ったが、体が痛く頭もボ~っとしていてそれどころでは無かった。
とにかく助かった様だし、ずぶ濡れで寒いので日が暮れる前に帰らなくては。
何とか痛い体を動かし、あの大きな岩まで戻った。
しかし、そこにあった物を見てまた混乱した。それは……
黒曜石。
半分に割れた黒曜石と自分のハンマー。
自分が此処で割った黒曜石の片方。
だとすると……夢ではないのか。
どこまでが現実で、どこが夢なのか。
あやふやな記憶を辿りながらスクーターを止めていた赤い橋まで戻った。
やっとの思いでヨシばあの家まで戻り、風呂に入り部屋に行き、倒れる様に休んだ。ずぶ濡れで疲れきった自分を見たヨシばあだが、特に詮索する事なく静かに見守ってくれた。
次の日の朝。
体が痛くて起きる。
痛いが、何とか肩も動くし出血もない様だ。意識が飛ぶ程の激突なのに打撲で済んだ様だった。
改めて昨日の事を振り返ってみる。
「確かに黒曜石を割って、その後流されたのは事実。問題は…… 割った黒曜石のもう片方が『瑠璃』だったのか? あの子熊は本当に見たのか? 大体、子熊が黒曜石を持って逃げるか? やっぱり夢かな…… 」
事実を確かめたかったが、体が痛かったので今日は川へ行くのは、やめておいた。頭も打った様なので無理をするのは良くないだろうし。
背中を鏡で見てみると肩から背中にかけて紫色に……
「ヨシばあには、見せられないな」
今日は、ゆっくり休むつもりだったが昨日の事が気になりナカさんの所へ行く事にした。
スクーターにまたがっているだけでも体は痛く、苦悶の表情のままナカさんの家に。
左肩を庇いながら、痛みを堪えたままの顔を見てナカさんが、
「どうした? バイクで転んだか? 」
「あ、いえ。昨日、やっちゃいました。川に落ち流され白い橋の下流まで。それで岩に激突したようです。多分」
「多分? 覚えてないのか? よく助かったなぁ。あの渓谷で」
「岩に激突したまでは、覚えているんですが…… その後が何か変だったんです。なので、もしかしたら全部夢なのかもと」
「変? 岩に頭でもぶつけたか? どうやって助かったんだ? それは覚えてないのか? 」
「岩にぶつかって意識が飛んだ様なのだけど、目を覚ますと白い橋のたもとに座っていたんですよ。それに、『瑠璃』の様な黒曜石を見つけたんだけど子熊が現れて持って行ってしまったんですよ~~ 」
「ありゃ、大丈夫かアキラ? だいぶ頭打ったみたいだな。何、訳のわからん事言って、どうして子熊が石持っていくんだ?
面白くも無い話だぞ」
「やっぱり変ですよね。夢かな。その子熊『ポ~~』って鳴いたんですよ。子熊ってそんな鳴き声なんですか? 」
「子熊なら犬みたいに吠えるだろ。ポ~~は、無いな。あははは。……で、『瑠璃』は夢なのか? 」
「わかりません。でも確かに黒曜石を割った形跡はあったし、自分の記憶では青緑色っぽい黒曜石で『やった~』と思ったら川に落ちて…… あの子熊、何で石なんか……大体、熊っぽく無かったし」
「ん~。アキラの話を真に受けてみたとしてだ、『瑠璃』を見つけ子熊に取られ。で、また川に流されたのか? それで岩にぶつかって目を覚ましたら白い橋に居たって事か? 」
「そ、そうです。どう考えても変だけど」
「わかったぞ! アキラは『瑠璃』を見つけたんだよ。で、子熊は知らんけど川に流され死にそうな時に神様が助けてくれたんだな。『瑠璃』にはそう言う不思議な力があるからな。もしかしたらその子熊は、神様の使いの熊なんだろ。だから石を持って行ったんだな」
「そんな事って…… あるんですか? 」
「無いだろうな。少なくとも俺は初めて聞いたこの歳になるまで。あははは」
ナカさんに聞けば何か分かるかもと思い来たけれど…… やっぱり
夢だったのかな~~
第1話 終
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