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コヨタ

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第26話 愛するという渇き

第26話・5 あの人をこれからも

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 密室の壁から、闇のような瘴気が滲み出す。

 そこに浮かび上がる、形容し難い何か。

 真壁の心が崩れ、突如大量に噴出した好意、混乱、欲望、快感……その全てを貪り尽くすように、現れた。

 ──精神干渉型、超小型龍。
 瘴気は形となり、小さなトカゲのような姿に。

 セセラは、すっと目を細める。

「……やっと出てきたな……」

 次の瞬間、その眼差しが鋭く変わった。

「さて……お前が本命だ」

 目の前で蠢く、小さな龍。

 ……本当に小さい。

「……ふぅん、こんだけ食ってようやく形になれたのかあ……つか、ちっちゃ」

 冷静な観察眼。

 それに反応するように、トカゲのような超小型龍は、ギシ……と低く呻くような音を発した。

(おそらく、真壁さんの感情を根こそぎ喰って成長したってわけか)

 セセラは額に指を当てて、ひとつ深く息を吐く。
 そして懐から1本の細い銀色の注射器を取り出した。

「俺、こういうの楽しいかも♪」

 次の一瞬、セセラは一気に距離を詰めた。

 龍が反応するよりも早く──。

 ──ガッ!!

 と、いとも簡単に捕まえる。

「……ほい、もう終わりだぜ。トカゲちゃん」

 超小型龍の首筋に、龍因子を抑制させる薬剤入りの注射針が刺された。

 この龍の体躯で考えれば、その薬剤の量はもはや致死量。

「ピギッ!」

 と龍が鳴き、ぶるりと震えた瞬間。

 小さいその体が急速に白く濁り、音も無く、ただ空気に吸い込まれるように霧散した。

「……チョロいな」

 セセラは背後を振り向く。

「真壁さんは……っと、寝てるな。よしよし」

 しゃがみ込み、慎重に真壁の髪をかき分けて様子を見る。

(顔色も……まあ、アレだけど、意識が戻る前に保護室に移すか)

「…………」

 そして、ぽん、と軽く真壁の肩を叩き、ひとり呟いた。

「……ご苦労さん、解析班職員・真壁アオイ。……次は夢の中で少し、話せるといいな?」

 そしてセセラは通信端末を耳に当て、いつもの軽口で。

「もしもし、医療棟? おつかれ~、悪いんだけどひとり保護お願いしていい? ちょっとだけ、寝込みすぎただけなんだけどさ~」

 一拍置いて、悪戯っぽく笑った。

『あ、薊野さん!? 救急外来もノー残業で頼みますよ!』

「いやごめん、マジで俺の色気が罪だったかもしれん。反省してまーす」


 ◇


 翌朝。
 真壁は、ゆっくりとまぶたを開けた。

「…………?」

(……あれ?)

(……ここ……、病室……? 医療棟……?)

 視界には、白い天井とカーテンで仕切られたベッド。

(なんで……私……?)

 頭はぼんやりしていて、記憶が曖昧。
 まるで夢を見ていたような……そんな気分。

 すると──。

「おはよ~ございます」

 カーテンの隙間からひょこっと顔を出したのは──。

「……え?! 薊野さん……!?」

 声が裏返りそうになる真壁。
 その呼び名は『セセラさん』から『薊野さん』へと変わっていた。

 否、変わっていたのではなく、戻っていた。

 セセラは、変わらぬ緩やかな作り笑顔で。

「どうやらノー残業デーだったってのに、頑張りすぎたご様子で」

「ノー……残業……?」

 真壁はぽかんと目を丸くする。話が噛み合わない。

 そんな真壁の様子にセセラは少しトーンを落として、冷静な声で続けた。

「真壁さん。実はあんた、精神干渉系の龍に目つけられてたんだよ。感情の偏りが激しくなって、だいぶ影響を受けてたみたいだ」

「……えっ……龍、ですか……?」

「ん。……でも、安心しな。そいつはもう消えた。完全にな」

「…………!」

 真壁は自分のこめかみに手をやりながら、困惑したように眉を寄せている。

「……私……記憶が……全く無くて……その、私……何かご迷惑を……っ!?」

 身を乗り出し、深々と頭を下げる真壁。

 セセラはその姿を軽く制しながら──。

「ん? なんも迷惑なんかねーよ。すげー弱い龍だったし。俺ひとりで何とでもなった」

 そして、目を細めて一言。

「……ところで、本当にんだな?」

「…………え……?」

 真壁は何かを思い出そうとするように唇を引き結ぶが──結局、首を振る。

「……はい。本当に……何も……。申し訳、ございません……」

「…………」

 その返答にセセラは軽く肩をすくめて、ふっと軽く笑った。

「そうか。……いや、大丈夫。今日、公休だったよな? 体調問題無さそうなら、荷物まとめて帰っていいよ」

「……は、はい……」

「……じゃ、俺はこれで」

 そう言い残してスタスタと退室していくセセラの背に──。

(……薊野さん……)

(……やっぱり、カッコいいな……推せる……)

 真壁は思わず、胸に手を当てて頬を赤らめていた。

 ……セセラがであることは、相変わらずのようだ。

 ──しばらくして、医療棟を後にした真壁は職員寮エリアの自室へと向かう。

 しかし──。

 ガチャリ、と扉を開けた瞬間。
 部屋の中に広がっていたのは──。

「…………ッ!!??」

 セセラを盗撮した写真、A4プリントで大量。

 セセラの行動パターンを書き連ねたノート。

 殴り書きのような字や、丸く愛らしい字で「薊野セセラ」や「セセラさん」などの名前が延々と書かれた裏紙。
 
 セセラの使用済み紙コップ(ラベリング済)。

 そして、「薊野セセラさんと結婚したい」等と書かれた付箋が所狭しと──。

「な、なにこれ~~~~~~~~ッ!?!?!?」

 震える手でそのを前に立ち尽くす真壁。
 やがて、ベッドに座り込み、膝を抱えて更に震える。

(…………いやいやいやいやいやいやッ!?!?)

 とても公休日とは思えない慌ただしさで幕を開けた真壁さんの朝だった。


 ◇


 そして、所長室。

 窓際のソファに座るシエリ。端末のログをスクロールしながら、ふと呟いた。

「……セセラ、キミすごいな」

 セセラはシエリの隣。
 横から聞こえた声に、セセラはソファの背に片肘をかけて、軽くシエリの方へと振り向く。

「……んあ? 何が?」

「『さっさと終わらせたい』って言ってた件。まさかその夜のうちに片付けるとは思っていなかったよ。しかもひとりで」

 シエリの声は、珍しく感嘆が混じっていた。

「一体、どうやって龍をそんなに簡単に引きずり出したのだ」

「……ん……」

 セセラは頭の後ろで手を組むと、のんびりとあくびを噛み殺しながら答える。

「うーん、まあ……。必殺技使ったら余裕だった」

「……必殺技?」

 首を傾げるシエリ。

「そ。必殺技。先生にも……やってやろうか?」

 セセラは笑顔よりも得意な意地悪そうな顔でそう言いながら、舌をペロッと出して見せた。

「…………」

 シエリは少しぽかんと黙り込んで……そして、なんとな~く、察してしまった。

「……はあ~~~……」

 ぽそりとため息をついて、両手で顔を覆う。

「キミってやつは……」

「ぎゃははははは!!」

 セセラはソファから転がり落ちそうになりながら炸裂したように笑い転げた。

 なんともご機嫌である。

「結果的に会心の一撃になったからいいだろ! ちゃんと事前に謝ったし、本人覚えてねーって言ってたし! な? 調査と処理のためだもんよ、な?!」

「……そういう開き直りを“性格が悪い”って言うんだよ。……調査のため、ねぇ……」

 若干呆れている声のシエリ。しばらく目線を伏せたあとにようやく顔を上げ、ジト……と睨みを利かせる。

 が、セセラは全く気にする様子も無く、そのまま顔をずいっと近づけて──。

「……つうか、先生。もしかして……ヤキモチ?」

 低い声で、耳元にそっと囁く。
 シエリはぴくりと眉を上げたが、否定も肯定もしないまま、黙って睨みを強めただけ。

「うお~、めちゃくちゃキュートな反応。やべーな俺、モテすぎて困っちまう」

「やはりキミ、性格悪いぞ」

 調子に乗ったセセラはその目線に一切怯むこと無く、シエリの目線に合わせて姿勢を落とすと──。

「とっくに自覚してるっつの」

 ほっぺにチュ。

「……コラ」

 シエリはそれでも動じず、ほんの少しだけ目を細めて小さく叱る。

「はいはいごめんねお姫様」

 と、片目をぱちり──ウィンクしながら立ち上がるセセラ。

「俺はずっと先生のモノですう~」

 おちゃらけた声を残してスタスタと仕事へ戻っていくその背中に、シエリはほんの少しだけ微笑を零していた。


 ◇


 無機質な制御フロアの一角。
 人の出入りが少ないこの時間帯は、空調の低い唸り音と機材の電子音だけが空間を満たしていた。

 セセラは端末の前に座り、脚を組みながら緩く背もたれに体を預けている。
 先程までの軽口は消え、表情にはどこか影が差していた。

「……ふぅ」

 煙草の代わりに舌で奥歯を軽く鳴らし、虚空を見上げながら心の中でぽつりと零す。

(しっかし感情っつーのは……時にこえぇよな。生き物として大事な機能なのに、時としてそれが凶器になりかねない)

 モニターには今も、真壁の診断ログがゆっくりと流れている。

(俺だってもしかしたら……あの時、られてたかもしんねえしな)

 左手で頬を軽く撫でながら、口元に薄く皮肉な笑みを浮かべた。

(感情に呑まれて、自分の意思ごと喰われちまう。……それをエネルギー源として喰らおうとする龍もいれば、逆にそれをと感じて不要とする奴もいる。……ほんと、つくづくややこしい)

 足元でぐちゃりと溜まっていたコードを無意識に足先で押しやりながら、セセラは額に手を当て天井を見つめる。

(……どっちが正しいとも思わねえ。ただ俺は、感情ってもんがあったから、今ここにいる)

(……だから……失くしたくは、ねえな)

 モニターに映る、レイラの名前。リルの名前。そして真壁の記録。

(誰かを想うってのは、案外、命がけだ)

 ふと、脳裏に浮かんだのは、あの時気を失った真壁の顔。

「…………」

 苦しげだった。悲しげだった。

 そして、どこか……愛しげだった。

「……はあ~~~……」

 軽く背中を伸ばしてため息をひとつ。

「これ以上、ああいうのが続いたらマジで胃が死ぬ」

 ひとりボヤきながらも、どこか吹っ切れたような顔。

 手に持つ端末には既に、新たなモニタリング項目が組み込まれていた。
 “職員の感情反応値”。再発防止のための独自の観測ルーチン。

 セセラはそれを見つめて、ひとり小さく呟く。

「さて……今日は静かに終わってくれよ、頼むぜ……」

 指先がタップ音を刻み、静かな空間に響き渡っていった。


 ◇


 ──場所は変わり、Z.EUS研究施設。その地下に存在する研究棟。

 静謐を湛えたガラスの。冷たい液晶の光が、室内の壁を仄かに照らしている。

 散らばる資料やモニターの数々、その中央に足を組んでソファに身を沈めている人物──ジキル。

「…………」

 その紅い目は、端末に表示された“ある記録”に静かに注がれている。
 モニターには、龍調査機関職員・真壁アオイのデータと、付随する異常波形。

 その発生と消滅のログが、克明に記録されていた。

 ジキルは眉ひとつ動かさず、口元にだけ僅かな笑みを浮かべる。

(……へぇ。感情喰いってやつかあ。自然発生体のくせに、妙に味のいい食事してるじゃないか)

 そして「ふっ……」と。
 ため息とも、吐息ともつかない音が漏れた。

(こんな龍が自然に生まれるなんて……まだまだ世界は余白だらけだ)

 そう胸の内で言いながら、ジキルは不意に右手の爪を見つめた。

 その爪は、まるでネイルやマニキュアをしているかのように黒く染まっている。

 ──リルのものと、酷似している爪。
  
「……ッ」

 抑えていた感情の衝動が、じんわりと浮かび上がった。

「感情か……」

 独りごちるその声には、苦味と興味が入り混じる。

(……オレがに振り回されたのはいつからだっけな。怒り、悲しみ、憎しみ……そして、愛)

(あれも全部、化け物を作るには、ちょうどいい材料だった)

「…………」

 しばし黙りこみ、どこかを見つめたあと──。

「けど、オレのは……まだ不完全なんだよ」

 小さく、しかし確信に満ちた声で言い切る。

(……レイ、リウ……君たちはよくやったよ。でもね、オリジナルも、その周囲の人たちも、もっと凄かったみたい)

(……次は、どうしようかな)

 笑みの形を保ったまま、ジキルの瞳にだけ、冷たい光が宿っていた。

 ──そして、静かに立ち上がる。

(オレも、もっと進化しなきゃな。感情を喰い、操り、捨てた奴らが強いって言うなら……オレはそれすらも抱えて……世界に勝つ)

 心の中のその言葉は、誰にも届かない。

 ただ、赤い髪が宵闇に溶けるように揺れた。


 ◇


 ──龍調査機関・訓練棟エリア。

 午後の陽が射し込む訓練場の空気は、どこかひんやりと澄んでいる。
 そこでレイラは、汗ばむ額を拭いながら、右腕の稼働確認を兼ねて基本の構えを何度も繰り返していた。

(……うん、もう痛みは無い。違和感も、だいぶ消えてきた)

 多少の負荷をかけても、腕はしっかりと応えてくれている。
 医療班職員たち、そしてセセラの指導の下で進められたリハビリの効果もあり、動作も鋭さを取り戻しつつあった。

「…………」

 セセラは近くでその様子を見ていたが、特に声はかけなかった。
 それが、レイラが本当にひとりで立ち上がれるようになった証だと知っていたから。

(……もう少し、強くなれる気がする)

 レイラは真剣な眼差しで、再び訓練用のブレードを構えた。

 動きには、迷いは無い。

「……ねえ! 薊野さん」

「うぉびっくりした……何だよ」

 不意に名を呼ばれ、少し目を見開いたセセラ。
 その様子が可笑しかったのか、レイラは無邪気に笑う。

「ふふっ……! ねえ、見てて! もうこんなに戻ってきたんだから」

「…………」

 レイラの無垢な笑顔が、なんとも愛しくて。

「っせーな、少しくらいサボらせろよ」

 言いながら、ふっ……と、微笑んだ。

(……ちゃんと、見てるよ……ずっとな)

「…………」

 そして、ぽつりと。

「……あ~……俺、またモテちまう」




 第26話 完









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