ある日突然異世界へ(本編完結.番外編展開中)

ミント

文字の大きさ
1 / 38

日常

しおりを挟む
「お疲れ様です!」
と私、愛川優梨は元気に職場である病院を後にする。
今日は骨折で入院していた患者さんが無事に自宅に帰る事が出来てとっても嬉しかった。
私の病院は終末期の患者さんが多く、元気に自宅に帰れるケースは稀だ。
今回は家族も積極的に家に帰る事の望んでいたのでスムーズだった。

忙しい毎日で、必ずしも良い事ばかりある職場ではないが、今日みたいな日は嬉しくて気分も上がる。

そんな時バイブにしていたスマホが震えた。


『来週はお見合いですよ。帰ってきてくださいね。』


実家の母からのメールだった。
テンションの上がっていた私の心は一気に落ちるのを感じた。

私の母は昔の考え方の人だ。
女は結婚こそが幸せだ!と思っている。

しかし私は今の生活をそれなりに気に入っている。
看護師になってやっと3年目!
これからというところだ。

そんな時にお見合いなど考えられない。

そもそもなぜお見合い?

母からのメールには返信をせずに家に帰る。

お湯を沸かしパスタを茹でる。
小さく溜め息が出る。
「折角いい気分だったのになぁ。」

1人呟いてみる。

そりゃ恋愛に興味が全くないのか?
と問われれば、そんな事も無い……と思う。
でも積極的に恋人が欲しいか?と聞かれても……別に。

休みの日は研修に行くか家でまったりしていたい。

世間では干物女と呼ぶらしい……
友人にはよく言われている。

そんな私だから、お見合いなんぞ面倒なだけなのだ。
だって仕事の方がやりがいもあって楽しいから。


大根を下ろしてから大葉を刻んで、茹で上がったパスタに乗せていく。
ツナとなめ茸を乗せて海苔を散らして、醤油を垂らして~完成!

さてご飯タイム!

さっきまで憂鬱だったけれども、食べる事が大好きな私はさっさと気分を切り替えてパスタを食べ始める。

仕事の日は凝ったものは作れないけれど、なるべく手作りを心掛けている。
なんて言ったって身体が資本ですから!

そしてスマホを手に取る。

『お母さんごめんなさい。私まだ結婚とか考えられない。お見合いは行けません。』

送信




自分の意思を素直に送ったら、少しだけ気持ちがスッキリしたよう。

そしてお風呂の湯船に浸かりながら考える。


仕事は好きだし、やりがいも感じてる。
でも何かが足りない……
何かもっと自分に出来る事があるんじゃないかな?

思えば昔から、自分は何かになりたいと思っていた。自分にしかできない何かを成し遂げられないか?って。
でも大人になるにつれて段々自分の限界を感じるんだよね。

今の自分の限界。いち看護師。
でも仕事が終われば誰も私を必要としないただの人。

ぐるぐると考えながら長湯をしてしまったせいか眩暈がする。

このまま倒れても誰も助けてくれない!

必死に着替えて水分補給をする。


「イケメンの彼氏でもいたら変われるのかな?」
などと呟いて、そんな事を思う自分に思わず苦笑する。

うんもう寝よう!

ベッドにダイブする。
ふと思う。

運命の人って本当に居るのかな?

いやいや、眩暈くらいで気弱になったのかな?
こんな事思うなんて……もう24ですよ……私。

現実に出逢いは無いし、引きこもりだし、仕事では明るく元気な私だけど…私生活は干物だし……
あっループする。

もっとイキイキした社会人になっている予定だったんだけどなぁ~……。


そんな事を思いながら…夢のなかへと誘われた私……

しおりを挟む
感想 9

あなたにおすすめの小説

一級魔法使いになれなかったので特級厨師になりました

しおしお
恋愛
魔法学院次席卒業のシャーリー・ドットは、 「一級魔法使いになれなかった」という理由だけで婚約破棄された。 ――だが本当の理由は、ただの“うっかり”。 試験会場を間違え、隣の建物で行われていた 特級厨師試験に合格してしまったのだ。 気づけばシャーリーは、王宮からスカウトされるほどの “超一流料理人”となり、国王の胃袋をがっちり掴む存在に。 一方、学院首席で一級魔法使いとなった ナターシャ・キンスキーは、大活躍しているはずなのに―― 「なんで料理で一番になってるのよ!?  あの女、魔法より料理の方が強くない!?」 すれ違い、逃げ回り、勘違いし続けるナターシャと、 天然すぎて誤解が絶えないシャーリー。 そんな二人が、魔王軍の襲撃、国家危機、王宮騒動を通じて、 少しずつ距離を縮めていく。 魔法で国を守る最強魔術師。 料理で国を救う特級厨師。 ――これは、“敵でもライバルでもない二人”が、 ようやく互いを認め、本当の友情を築いていく物語。 すれ違いコメディ×料理魔法×ダブルヒロイン友情譚! 笑って、癒されて、最後は心が温かくなる王宮ラノベ、開幕です。

悪役令嬢の心変わり

ナナスケ
恋愛
不慮の事故によって20代で命を落としてしまった雨月 夕は乙女ゲーム[聖女の涙]の悪役令嬢に転生してしまっていた。 7歳の誕生日10日前に前世の記憶を取り戻した夕は悪役令嬢、ダリア・クロウリーとして最悪の結末 処刑エンドを回避すべく手始めに婚約者の第2王子との婚約を破棄。 そして、処刑エンドに繋がりそうなルートを回避すべく奮闘する勘違いラブロマンス! カッコイイ系主人公が男社会と自分に仇なす者たちを斬るっ!

おばさんは、ひっそり暮らしたい

波間柏
恋愛
30歳村山直子は、いわゆる勝手に落ちてきた異世界人だった。 たまに物が落ちてくるが人は珍しいものの、牢屋行きにもならず基礎知識を教えてもらい居場所が分かるように、また定期的に国に報告する以外は自由と言われた。 さて、生きるには働かなければならない。 「仕方がない、ご飯屋にするか」 栄養士にはなったものの向いてないと思いながら働いていた私は、また生活のために今日もご飯を作る。 「地味にそこそこ人が入ればいいのに困るなぁ」 意欲が低い直子は、今日もまたテンション低く呟いた。 騎士サイド追加しました。2023/05/23 番外編を不定期ですが始めました。

幽閉王女と指輪の精霊~嫁いだら幽閉された!餓死する前に脱出したい!~

二階堂吉乃
恋愛
 同盟国へ嫁いだヴァイオレット姫。夫である王太子は初夜に現れなかった。たった1人幽閉される姫。やがて貧しい食事すら届かなくなる。長い幽閉の末、死にかけた彼女を救ったのは、家宝の指輪だった。  1年後。同盟国を訪れたヴァイオレットの従兄が彼女を発見する。忘れられた牢獄には姫のミイラがあった。激怒した従兄は同盟を破棄してしまう。  一方、下町に代書業で身を立てる美少女がいた。ヴィーと名を偽ったヴァイオレットは指輪の精霊と助けあいながら暮らしていた。そこへ元夫?である王太子が視察に来る。彼は下町を案内してくれたヴィーに恋をしてしまう…。

半竜皇女〜父は竜人族の皇帝でした!?〜

侑子
恋愛
 小さな村のはずれにあるボロ小屋で、母と二人、貧しく暮らすキアラ。  父がいなくても以前はそこそこ幸せに暮らしていたのだが、横暴な領主から愛人になれと迫られた美しい母がそれを拒否したため、仕事をクビになり、家も追い出されてしまったのだ。  まだ九歳だけれど、人一倍力持ちで頑丈なキアラは、体の弱い母を支えるために森で狩りや採集に励む中、不思議で可愛い魔獣に出会う。  クロと名付けてともに暮らしを良くするために奮闘するが、まるで言葉がわかるかのような行動を見せるクロには、なんだか秘密があるようだ。  その上キアラ自身にも、なにやら出生に秘密があったようで……? ※二章からは、十四歳になった皇女キアラのお話です。

転生してモブだったから安心してたら最恐王太子に溺愛されました。

琥珀
恋愛
ある日突然小説の世界に転生した事に気づいた主人公、スレイ。 ただのモブだと安心しきって人生を満喫しようとしたら…最恐の王太子が離してくれません!! スレイの兄は重度のシスコンで、スレイに執着するルルドは兄の友人でもあり、王太子でもある。 ヒロインを取り合う筈の物語が何故かモブの私がヒロインポジに!? 氷の様に無表情で周囲に怖がられている王太子ルルドと親しくなってきた時、小説の物語の中である事件が起こる事を思い出す。ルルドの為に必死にフラグを折りに行く主人公スレイ。 このお話は目立ちたくないモブがヒロインになるまでの物語ーーーー。

【完結】転生したぐうたら令嬢は王太子妃になんかになりたくない

金峯蓮華
恋愛
子供の頃から休みなく忙しくしていた貴子は公認会計士として独立するために会社を辞めた日に事故に遭い、死の間際に生まれ変わったらぐうたらしたい!と願った。気がついたら中世ヨーロッパのような世界の子供、ヴィヴィアンヌになっていた。何もしないお姫様のようなぐうたらライフを満喫していたが、突然、王太子に求婚された。王太子妃になんかなったらぐうたらできないじゃない!!ヴィヴィアンヌピンチ! 小説家になろうにも書いてます。

【完結】子爵令嬢の秘密

りまり
恋愛
私は記憶があるまま転生しました。 転生先は子爵令嬢です。 魔力もそこそこありますので記憶をもとに頑張りたいです。

処理中です...