ある日突然異世界へ（本編完結.番外編展開中）

番外編 新たな道 1

「ユーリ様、あの…新聞社の方が面会希望でいらしておりますが…」
作業場で作業中の私にサリーが遠慮がちに声をかけてきた。
「新聞社の方ですか？」
この世界にそんな物があるなんて知らなかったのでちょっとびっくりする。
でもいきなりなんだろう？
「応接間にお通してくれる？私はこの作業を終えたら伺うわ。」
そう言って、ラベンダーとティーツリーの精油入りのスプレーを箱に詰めていく。
本当になんだろう？とりあえず要件を聞かなきゃわからないわね。



「はじめまして。私、ウィークリー新聞社のケビン＝マクドナルドと申します。スタンリー伯爵夫人でよろしいですか？」
応接間に入るとすぐに、同世代くらいの男性が少し緊張した笑顔を浮かべながら挨拶してきた。なんだかハンバーガーが食べたくなる名前ね。

「はじめまして。ユーリ＝スタンリーです。ユーリで大丈夫です。えっとマクドナルドさん？今日はなんの御用でいらっしゃったのでしょうか？」
とりあえず単刀直入に聞くのが一番はやいわね。
「私のことはケビンとお呼びください。本題ですが、王室御用達の伯爵夫人は今巷でかなり注目されているんです。そこで今回取材などさせていただければありがたいと思って今日は来させていただきました。」
私そんなに有名人なのかしら？
「そうでしたか。ところで、ケビンさんの新聞はどんな方が読まれているのかしら？」
新聞も多分客層があるわよね？
どんな内容になるかとか、しっかり聞いとかないとアルに迷惑をかけられないし…。
「それはですね、貴族から平民までなかなか幅広く読まれておりますよ。週に１回ですし、まぁまだ部数が少なく平民の割合が多いですが…。」
「そうでしたか。私は存じ上げてなかったのですみませんね。」
「とんでもありません！うちはこれからなんです。もっと読んでもらえるものにしたいと思っているところなんです。」

ケビンさんはなかなか頑張っている人みたいね。
新聞ね…元の世界では余り読んでなかったけど…コラムとかは好きでたまにみてたっけ？
「ケビンさん、まずは新聞を見せていただきたいのと、私はスタンリー家の嫁の立場だからまずは相談する時間が欲しいわ。それからでも良いかしら？」
新聞となると影響力も気になるし、どんなポジションの新聞社かも気になるわね。
「もちろんです。今週の新聞をお持ちしました。よろしくお願いします。また来週この時間に伺わせて下さい。」
「わかりました。それまでに検討させていただきますね。」


そう言ってケビンさんは帰っていかれました。
さて、どうしましょう？




「サリー、新聞について知ってることはある？」
まずは聞き込みから！
「新聞は、そうですね、私は読んでおりませんが友人の家にあったのを記憶しております。貴族の噂話から、新しく出来たお店の情報なんかが書いてあるそうですよ？」
「そうなのね…噂話に情報…。そこに私に取材。どんなことを聞きたいのかしらね？」
「そこはユーリ様の素晴らしさが読者の皆様に伝わることが一番じゃないですか？」
サリーが笑顔で言うなんて…。
「いや、私のと言うより、どちらかと言うとアロマの有効な使い方とかを知ってもらえる方が私としてはうれしいかな？」
「それは名案ですね！せっかくの機会ですし、この素晴らしさを是非知っていただきたいですわ！」
いつもは冷静なサリーがいつになくテンション高いわ。
「とにかく、今夜アルに相談してみるわ。」