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ふー。
屋敷内を歩くだけでこんなに疲れるなんて、なんて体力がないのかしら。

あら?
家族の絵かしら?
廊下の壁に今より若いお父様とお母様に可愛い男の子と女の子が描かれている。
えっと…女の子は私?

疑問形なのは普通にほっそりとして可愛らしいのよ。今と違って!
それにお母様も金髪美人だし、男の子もハニーブラウンの髪の毛でお顔は素晴らしく整ってるのよ!
美男美女一家って感じ。


何故こうなった?


しばらく凝視していると、後ろから
「ティナ。どうしたんだ?」
と声がかかった。
振り向くとそこにはあの絵に描かれた男の子がカッコ良く成長したであろう姿で佇んでいた。

「お兄様。私はいつから太りだしたのでしょうかね?」
思わずつぶやいてしまった。

「ティナは太っていないよ?いつ見ても可愛い妹だよ。」

…兄も眼は節穴らしい。

「さぁティナ、もうすぐ食事の時間だよ。」
にっこり笑って兄が言う。
父も兄も何故か食事をすすめてくる。
私またダイエット計画をたてないとだわ。
まずは普段クリスティーナが食べているものを知らなきゃね!
自分の生活の分析からよね。

「お兄様、また後でお会いしましょう。」
そうそうに切り上げて自室に戻った。
 
どさっ。
ソファーに座っただけでこの音。
ホント嫌になる。
「どうやらこの家の男性陣は美的感覚が違うらしい。」
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