SP警護と強気な華【完】

氷萌

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金銭の行方

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明るくなったところで改めて見る室内に
カトレアは絶句。

ありとあらゆるものが散乱していて悲惨な状態になっており
家の中に台風でも通ったかと思う有様。

「これだけ荒らされているんだから
 奴は何かどうか見つけたかもな」

「宝探しみたいに言わないでください」

「なるほど。
 上手いこと言ったな、お嬢さん」

「…言ってません」

こんな状況でまるでコントだ。

「けど。マジで何か見つけていたならマズイな…」

そう言って
柊は足元に落ちていた本を手にする。

「何を探していたんだろ…」

彼の言葉に改めて現実を思い知らされ
気持ちが沈み、表情が強張る。

そんな中
本を見つめたまま眉間に皺を寄せる柊に
カトレアは違和感を感じた。

「柊…さん?」

「なぁ、お嬢さん…
 爺さんの部屋ってのはあるのか?」

「え…?」

「あるなら場所を教えろ」

「あ、はい…」

少し怒っているような目をする柊に
どうしてかなんて聞けるはずもなく
言われるまま案内した。

祖父の部屋は1階。
長い廊下の突き当りに位置している。
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