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日幸不
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咲「おはよーー!」
咲は教室の扉を開けると同時にそう言った。
梨加「おはよう、咲!」
真奈美「咲ー、今日の数学の課題やった?もう、全然わからなくて!ノート見せて!」
梨加「えー、真奈美ばかりずるいー!梨加にもみせてぇー!」
咲「もう、しょうがないなぁ。はいどうぞ。」
幸奈「咲ちゃーん。今月のプチ☆ニコみた?!モデルの杏ちゃん可愛いよー!」
咲「マジ!?ちょ、見せて!」
「おい、咲。」
突然後ろから腕を捕まれる。振り返ると、そこには、私の彼氏、ひーくんこと陽太(ひなた)がいた。
咲「あれ、ひーくん。どうしたの?」
陽太「おまえな、モデルの杏よりも俺に挨拶してくれよな。寂しいじゃねぇか。」
咲「あー、ごめんね!ひーくんおはよー。」
陽太「・・・はよ。」
梨加「2人ともラブラブだねぇ。羨ましい。」
真奈美「コラコラ梨加。2人の世界を邪魔しなーいの。」
咲「えー、そんなこと言わないでよぉー。」
あはは!と、みんなで声を出して笑った。
本当に、幸せ!毎日がとても楽しい!!
咲「ただいまー!」
母「お帰り、咲」
弟「ねーちゃーん。お菓子買ってきたけどいるかー?」
咲「食べるー!ちょ、手を洗ってくるから待ってて!」
手を洗った後、急いで自分の部屋に荷物を置いて、着替えてリビングへ降りる。弟は既にポテチを頬張っていた。
咲「えー、ちょっと陸斗ー。まっててよー。」
弟「ふぇーちゃんがおひょいのがわふい。」
咲「口に含んで喋らないの。」
ソファーに腰かけて、私もポテチをつまむ。
パリパリ・・・うん、やっぱりうす塩味が美味しいね!
母「咲ー、陸斗ー。夕飯もあるんだから、あまり食べすぎないでよー?」
咲「大丈夫!育ち盛りだから!」
陸斗「俺もー!」
母「全く・・・」
父「ただいまー。」
咲「あ、お父さんお帰り!」
陸斗「パパお帰りー。」
父「ただいま、咲、陸斗。あ、そうだ。これ2人にお土産。」
陸斗「わぁ!仮面レイダーの図鑑だ!ありがとう!」
咲「え!この本、私が欲しかったやつだ!ありがとう!」
父「大切にするんだぞ。」
咲&陸斗「「はぁーーい!」」
母「咲、夕飯作るの手伝ってくれる?陸斗は、テーブルの上片付けて、お箸並べてくれる?」
咲&陸斗「「はーい!」」
咲「今日カレー?」
母「正解。よくわかったわねー。」
陸斗「ねえパパ!今日小学校の体育でね、跳び箱四段飛べるようになったんだよ!」
父「おっ!すごいなぁ。陸斗!」
いつもと同じ、変わらない、楽しい日常。それが嬉しくて、私は、鼻歌を歌いながら、人参を切り始めた。
夕飯を食べ終わり、後片付けをして私は自分の部屋へ向かった。学校の課題、明日の授業の予習を済ませて、お風呂に入って歯を磨いた。うがいをした後、鏡をみて、ニコッ、と微笑む。「笑う門には福来る」初めて覚えたことわざ。私はそれを信じて守り続けている。笑顔でいれば、幸せは来る。私はもう一度微笑んだ後、自分の部屋へ向かって、ベッドに横になる。目覚ましをセットして電気を消す。
「(明日もいい日になりますように!)」
そう願って、私は眠りについた。
母「咲ー!起きなさい!遅刻するわよ!」
咲「んー・・・?ゲッ!8時!?ヤバイ、寝坊した!」
私は飛び起きて顔を洗い、急いで朝御飯を食べて制服に着替える。
咲「行ってきまーす!!」
私は全力ダッシュで学校へ向かった。
予鈴がなる5分前に教室についた。
「あっぶなー。遅刻するところだったー。ギリギリセーフ。」
そう呟きながら、教室の扉を開けた。
咲「おはよーー!」
予鈴が鳴る5分前にも関わらず、クラスはざわついていた。が、私が入った瞬間、シーン・・・と静まり返ってしまった。
咲「・・・?おはよー。」
もう一度言ってみるが、返ってこない。いつも挨拶してくれた、真奈美や梨加、幸奈も私を無視している。
咲「真奈美、梨加、幸奈おはよー。どうしたの?」
近づいて話しかけても、目も合わせてくれない。一体どうしてしまったのだろう?
「ねえ、キモくない?」
その声を、私は聞き逃さなかった。声のした方を振り返る。
「なんなの、マジで。怖いわー。」
また別の方から声がした。ヒソヒソ声がクラス中に響き渡る。
咲「(なに・・・?突然、どうしたの?)」
ガラッ、と扉が開く音がした。入ってきたのは陽太だった。
咲「ひーくん!おはよ!」
私はひーくんのもとへ駆け寄った。
「おはよう、咲。」いつもそう返事をしてくれる。
・・・はずだったのに。
陽太は私を無視して自分の席に着いた。
咲「・・・ひーくん?」
皆、どうしたの?
呆然と立ち尽くしていると、予鈴が響き渡った。
結局、その日誰からも話しかけられることも、返事をされることもなかった。
帰り道、私はずっと考えていた。
咲「(私、何をしたんだろう?嫌なこと言ったり、何かしたのかな?)」
色々考えてみても、心当たりがない。
咲「(そうだ、メールを送ろう。)」
私は鞄を開けて携帯を探す。
咲「(あれ、携帯がない。・・・あ、朝慌ててたから、家に忘れてきたのかな?)」
じゃあ、家に帰ってからメールを送ろう。そう決めて、私は家路を急いだ。
咲「ただいまー。」
家に入ると、家は静まり返っていた。
咲「あれ、お母さん買い物に行ってるのかな?陸斗もまだ帰ってきてない。」
私は鞄を玄関に置いて、台所へ向かった。
咲「あれ、お母さん食器洗わずに出掛けたんだ。珍らしー。」
食器を洗い忘れていくほど急な用事だったのだろうか・・・。
咲「そういえば、今日町内会の集まりがあるって言ってたっけ?忘れてたのかな?・・・洗っとくか。」
私は袖を巻くって、蛇口を開けようとした。
と、ガチャガチャと鍵が開く音がした。
咲「ん?お母さん?」
玄関へ駆けていくと、お母さんとお父さん、陸斗がいた。
咲「お帰りー。珍しいね、みんなで帰ってくるなんて。どこ行ってたのー?」
そう聞くが、誰もなにも答えずに通りすぎていった。
咲「お母さん?お父さん、陸斗?」
呼び掛けても、返事をしない。私に教えたくないところに行ったのだろうか。いつもなら、そう思う。けど、今日の私は我慢できなかった。
咲「ねぇ!無視しないでよ!正直に言ってよ!!どこ行ってたの!?」
たぶん、人生で初めて怒鳴った。
咲「みんなおかしいよ!なんで無視するの!?私、何かした?!わかんないよ!教えて!そしたら私、謝るから!!」
それでも、みんな何も答えない。私は悲しくなって、涙が溢れてきた。
咲「もう、知らないっ!!」
バンッ、と扉を開けて家を飛び出した。
母「え・・・」
後ろから、やっと母の声を聞くことが出来た。けど、私は振り返らずにそのまま走り去った。
無我夢中で走っていて、気がついたら見知らぬ場所に来ていた。
咲「あれ・・・ここ、どこだろ?」
ふと左に目をやると、小さな公園があった。公園と言っても、ブランコとベンチがあるだけの小さな公園だった。私はブランコに腰かけて、こぎ始める。キー、キー、と古びた金属の音がする。
咲「私怒鳴っちゃって、お母さんビックリしたかな・・・。傷ついちゃったかな?いくら悲しかったとは言え、もう知らないなんて、捨て台詞吐いちゃった。それは悪かったな・・・。よし、ちゃんと謝ろう!」
そう決めて、私はブランコから飛び降り、公園を後にしようとした。そのとき、向かいに近所の人であろう主婦たちが固まって、私の方をチラチラとみながらヒソヒソと話している。
咲「(もう、みんな変なの。)」
公園を出て、まっすぐ歩く。角を右に曲がったとき・・・
咲「・・・・!!」
目の前に、トラックが迫っていた。私が急に出てきたので、スピードを落とさずにそのまま突っ込んでくる。
咲「(ダメ、轢かれる・・・!!)」
ギュッ、と強く目を閉じた。
5秒・・・10秒たっても衝撃は来なかった。そっ、と目を開けると、トラックはいなくて、後ろを向くとトラックが走り去っていくのが見えた。
咲「・・・え?今、なにが・・・」
突然、頭が痛くなった。あまりの痛さにその場にしゃがみこんでしまった。
咲「な・・・な、にこ・・・れ。」
同時になにか映像が流れてくる。これは・・・この記憶は・・・
咲「あ・・・。」
頭痛が止む。私は、ゆっくりと立ち上がった。
咲「そっか・・・だからか。」
今日、皆の様子がおかしかったのも。全部・・・。
咲「私・・・」
もう痛んではいないが、私は頭を右手で押さえたまま、笑った。
咲「私、死んじゃったんだ・・・」
朝、行ってきますと言って家を飛び出した。
見通しの悪い、信号の無い交差点。いつもなら、立ち止まって左右を確認するけど、今日は確認するどころか、立ち止まること無くそのまま飛び出してしまった。そしたら、右から車が・・・。
咲「あぁ・・・みんな、無視してたんじゃなくて、私のこと見えてなかったんだ。じゃああのキモいとか、怖いって・・・」
誰もいないのに、扉が勝手に開いた・・・と思ったからだったんだ。
咲「ふ・・・フフッ・・・。あははは!!」
私は、空を仰いだ。そしてひたすら笑い続けた。涙を流しながら。笑いが、涙が止まるまで、ずっと・・・・。
どのくらい時間がたっただろうか。私はその場に座り込んで、ボンヤリしていた。
???「こんばんは。」
上から声がして顔を上げると、頭から足元まで全身黒ずくめの人が目の前にたっていた。
咲「だれ・・・?」
???「ボクはネイザー。君を迎えに来たよ。」
咲「死神・・・?」
ネイザー「んー・・・まあ、似たようなものかな?」
咲「もう、行かなきゃダメ?」
ネイザー「どこか行きたいところがあるのですか?」
咲「んー・・・。あるけど、でもいいや。」
ネイザー「本当に?」
咲「うん。多分そこに行ったら、離れたくないと思うから。」
ネイザー「そうですか・・・。では、行きましょう。」
ネイザーは手を差し伸ばしてきた。私はその手をとる。パアッ、と辺りが光に包まれた。徐々に意識が薄れてゆく。
咲「バイバイ、皆。・・・ごめんね。」
そう呟いたあと、私の意識はそこで途絶えた。
咲が死んで1年たった。
俺はその事が信じられなくて、今日も咲が死んだ交差点に来ていた。
花束を供えて、手を合わせる。
陽太「咲・・・」
???「こんにちは」
突然後ろから話しかけられて振り返る。全身黒ずくめのヤツがいた。
陽太「・・・誰だ?」
ネイザー「ボクの名前はネイザーです。あなた・・・会いたい人がいるんですか?」
陽太「まあ、はい。・・・もう1年前に死んでしまいましたが。」
不審に思いながらも答えた。どうせ、叶うことの無い願いなのだから・・・。
ネイザー「そうですか・・・では、あなたはラッキーな人ですね。」
陽太「は?」
ネイザー「ボクは今日、あなたを迎えに来ましたから。もうすぐ、願いが叶いますよ。」
Fin
咲は教室の扉を開けると同時にそう言った。
梨加「おはよう、咲!」
真奈美「咲ー、今日の数学の課題やった?もう、全然わからなくて!ノート見せて!」
梨加「えー、真奈美ばかりずるいー!梨加にもみせてぇー!」
咲「もう、しょうがないなぁ。はいどうぞ。」
幸奈「咲ちゃーん。今月のプチ☆ニコみた?!モデルの杏ちゃん可愛いよー!」
咲「マジ!?ちょ、見せて!」
「おい、咲。」
突然後ろから腕を捕まれる。振り返ると、そこには、私の彼氏、ひーくんこと陽太(ひなた)がいた。
咲「あれ、ひーくん。どうしたの?」
陽太「おまえな、モデルの杏よりも俺に挨拶してくれよな。寂しいじゃねぇか。」
咲「あー、ごめんね!ひーくんおはよー。」
陽太「・・・はよ。」
梨加「2人ともラブラブだねぇ。羨ましい。」
真奈美「コラコラ梨加。2人の世界を邪魔しなーいの。」
咲「えー、そんなこと言わないでよぉー。」
あはは!と、みんなで声を出して笑った。
本当に、幸せ!毎日がとても楽しい!!
咲「ただいまー!」
母「お帰り、咲」
弟「ねーちゃーん。お菓子買ってきたけどいるかー?」
咲「食べるー!ちょ、手を洗ってくるから待ってて!」
手を洗った後、急いで自分の部屋に荷物を置いて、着替えてリビングへ降りる。弟は既にポテチを頬張っていた。
咲「えー、ちょっと陸斗ー。まっててよー。」
弟「ふぇーちゃんがおひょいのがわふい。」
咲「口に含んで喋らないの。」
ソファーに腰かけて、私もポテチをつまむ。
パリパリ・・・うん、やっぱりうす塩味が美味しいね!
母「咲ー、陸斗ー。夕飯もあるんだから、あまり食べすぎないでよー?」
咲「大丈夫!育ち盛りだから!」
陸斗「俺もー!」
母「全く・・・」
父「ただいまー。」
咲「あ、お父さんお帰り!」
陸斗「パパお帰りー。」
父「ただいま、咲、陸斗。あ、そうだ。これ2人にお土産。」
陸斗「わぁ!仮面レイダーの図鑑だ!ありがとう!」
咲「え!この本、私が欲しかったやつだ!ありがとう!」
父「大切にするんだぞ。」
咲&陸斗「「はぁーーい!」」
母「咲、夕飯作るの手伝ってくれる?陸斗は、テーブルの上片付けて、お箸並べてくれる?」
咲&陸斗「「はーい!」」
咲「今日カレー?」
母「正解。よくわかったわねー。」
陸斗「ねえパパ!今日小学校の体育でね、跳び箱四段飛べるようになったんだよ!」
父「おっ!すごいなぁ。陸斗!」
いつもと同じ、変わらない、楽しい日常。それが嬉しくて、私は、鼻歌を歌いながら、人参を切り始めた。
夕飯を食べ終わり、後片付けをして私は自分の部屋へ向かった。学校の課題、明日の授業の予習を済ませて、お風呂に入って歯を磨いた。うがいをした後、鏡をみて、ニコッ、と微笑む。「笑う門には福来る」初めて覚えたことわざ。私はそれを信じて守り続けている。笑顔でいれば、幸せは来る。私はもう一度微笑んだ後、自分の部屋へ向かって、ベッドに横になる。目覚ましをセットして電気を消す。
「(明日もいい日になりますように!)」
そう願って、私は眠りについた。
母「咲ー!起きなさい!遅刻するわよ!」
咲「んー・・・?ゲッ!8時!?ヤバイ、寝坊した!」
私は飛び起きて顔を洗い、急いで朝御飯を食べて制服に着替える。
咲「行ってきまーす!!」
私は全力ダッシュで学校へ向かった。
予鈴がなる5分前に教室についた。
「あっぶなー。遅刻するところだったー。ギリギリセーフ。」
そう呟きながら、教室の扉を開けた。
咲「おはよーー!」
予鈴が鳴る5分前にも関わらず、クラスはざわついていた。が、私が入った瞬間、シーン・・・と静まり返ってしまった。
咲「・・・?おはよー。」
もう一度言ってみるが、返ってこない。いつも挨拶してくれた、真奈美や梨加、幸奈も私を無視している。
咲「真奈美、梨加、幸奈おはよー。どうしたの?」
近づいて話しかけても、目も合わせてくれない。一体どうしてしまったのだろう?
「ねえ、キモくない?」
その声を、私は聞き逃さなかった。声のした方を振り返る。
「なんなの、マジで。怖いわー。」
また別の方から声がした。ヒソヒソ声がクラス中に響き渡る。
咲「(なに・・・?突然、どうしたの?)」
ガラッ、と扉が開く音がした。入ってきたのは陽太だった。
咲「ひーくん!おはよ!」
私はひーくんのもとへ駆け寄った。
「おはよう、咲。」いつもそう返事をしてくれる。
・・・はずだったのに。
陽太は私を無視して自分の席に着いた。
咲「・・・ひーくん?」
皆、どうしたの?
呆然と立ち尽くしていると、予鈴が響き渡った。
結局、その日誰からも話しかけられることも、返事をされることもなかった。
帰り道、私はずっと考えていた。
咲「(私、何をしたんだろう?嫌なこと言ったり、何かしたのかな?)」
色々考えてみても、心当たりがない。
咲「(そうだ、メールを送ろう。)」
私は鞄を開けて携帯を探す。
咲「(あれ、携帯がない。・・・あ、朝慌ててたから、家に忘れてきたのかな?)」
じゃあ、家に帰ってからメールを送ろう。そう決めて、私は家路を急いだ。
咲「ただいまー。」
家に入ると、家は静まり返っていた。
咲「あれ、お母さん買い物に行ってるのかな?陸斗もまだ帰ってきてない。」
私は鞄を玄関に置いて、台所へ向かった。
咲「あれ、お母さん食器洗わずに出掛けたんだ。珍らしー。」
食器を洗い忘れていくほど急な用事だったのだろうか・・・。
咲「そういえば、今日町内会の集まりがあるって言ってたっけ?忘れてたのかな?・・・洗っとくか。」
私は袖を巻くって、蛇口を開けようとした。
と、ガチャガチャと鍵が開く音がした。
咲「ん?お母さん?」
玄関へ駆けていくと、お母さんとお父さん、陸斗がいた。
咲「お帰りー。珍しいね、みんなで帰ってくるなんて。どこ行ってたのー?」
そう聞くが、誰もなにも答えずに通りすぎていった。
咲「お母さん?お父さん、陸斗?」
呼び掛けても、返事をしない。私に教えたくないところに行ったのだろうか。いつもなら、そう思う。けど、今日の私は我慢できなかった。
咲「ねぇ!無視しないでよ!正直に言ってよ!!どこ行ってたの!?」
たぶん、人生で初めて怒鳴った。
咲「みんなおかしいよ!なんで無視するの!?私、何かした?!わかんないよ!教えて!そしたら私、謝るから!!」
それでも、みんな何も答えない。私は悲しくなって、涙が溢れてきた。
咲「もう、知らないっ!!」
バンッ、と扉を開けて家を飛び出した。
母「え・・・」
後ろから、やっと母の声を聞くことが出来た。けど、私は振り返らずにそのまま走り去った。
無我夢中で走っていて、気がついたら見知らぬ場所に来ていた。
咲「あれ・・・ここ、どこだろ?」
ふと左に目をやると、小さな公園があった。公園と言っても、ブランコとベンチがあるだけの小さな公園だった。私はブランコに腰かけて、こぎ始める。キー、キー、と古びた金属の音がする。
咲「私怒鳴っちゃって、お母さんビックリしたかな・・・。傷ついちゃったかな?いくら悲しかったとは言え、もう知らないなんて、捨て台詞吐いちゃった。それは悪かったな・・・。よし、ちゃんと謝ろう!」
そう決めて、私はブランコから飛び降り、公園を後にしようとした。そのとき、向かいに近所の人であろう主婦たちが固まって、私の方をチラチラとみながらヒソヒソと話している。
咲「(もう、みんな変なの。)」
公園を出て、まっすぐ歩く。角を右に曲がったとき・・・
咲「・・・・!!」
目の前に、トラックが迫っていた。私が急に出てきたので、スピードを落とさずにそのまま突っ込んでくる。
咲「(ダメ、轢かれる・・・!!)」
ギュッ、と強く目を閉じた。
5秒・・・10秒たっても衝撃は来なかった。そっ、と目を開けると、トラックはいなくて、後ろを向くとトラックが走り去っていくのが見えた。
咲「・・・え?今、なにが・・・」
突然、頭が痛くなった。あまりの痛さにその場にしゃがみこんでしまった。
咲「な・・・な、にこ・・・れ。」
同時になにか映像が流れてくる。これは・・・この記憶は・・・
咲「あ・・・。」
頭痛が止む。私は、ゆっくりと立ち上がった。
咲「そっか・・・だからか。」
今日、皆の様子がおかしかったのも。全部・・・。
咲「私・・・」
もう痛んではいないが、私は頭を右手で押さえたまま、笑った。
咲「私、死んじゃったんだ・・・」
朝、行ってきますと言って家を飛び出した。
見通しの悪い、信号の無い交差点。いつもなら、立ち止まって左右を確認するけど、今日は確認するどころか、立ち止まること無くそのまま飛び出してしまった。そしたら、右から車が・・・。
咲「あぁ・・・みんな、無視してたんじゃなくて、私のこと見えてなかったんだ。じゃああのキモいとか、怖いって・・・」
誰もいないのに、扉が勝手に開いた・・・と思ったからだったんだ。
咲「ふ・・・フフッ・・・。あははは!!」
私は、空を仰いだ。そしてひたすら笑い続けた。涙を流しながら。笑いが、涙が止まるまで、ずっと・・・・。
どのくらい時間がたっただろうか。私はその場に座り込んで、ボンヤリしていた。
???「こんばんは。」
上から声がして顔を上げると、頭から足元まで全身黒ずくめの人が目の前にたっていた。
咲「だれ・・・?」
???「ボクはネイザー。君を迎えに来たよ。」
咲「死神・・・?」
ネイザー「んー・・・まあ、似たようなものかな?」
咲「もう、行かなきゃダメ?」
ネイザー「どこか行きたいところがあるのですか?」
咲「んー・・・。あるけど、でもいいや。」
ネイザー「本当に?」
咲「うん。多分そこに行ったら、離れたくないと思うから。」
ネイザー「そうですか・・・。では、行きましょう。」
ネイザーは手を差し伸ばしてきた。私はその手をとる。パアッ、と辺りが光に包まれた。徐々に意識が薄れてゆく。
咲「バイバイ、皆。・・・ごめんね。」
そう呟いたあと、私の意識はそこで途絶えた。
咲が死んで1年たった。
俺はその事が信じられなくて、今日も咲が死んだ交差点に来ていた。
花束を供えて、手を合わせる。
陽太「咲・・・」
???「こんにちは」
突然後ろから話しかけられて振り返る。全身黒ずくめのヤツがいた。
陽太「・・・誰だ?」
ネイザー「ボクの名前はネイザーです。あなた・・・会いたい人がいるんですか?」
陽太「まあ、はい。・・・もう1年前に死んでしまいましたが。」
不審に思いながらも答えた。どうせ、叶うことの無い願いなのだから・・・。
ネイザー「そうですか・・・では、あなたはラッキーな人ですね。」
陽太「は?」
ネイザー「ボクは今日、あなたを迎えに来ましたから。もうすぐ、願いが叶いますよ。」
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