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第01章 転生してみた
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私が異世界に転生してから三日がたった。
私は石造りの階段を下りて地下にある氷室に入った。
ひんやりとした冷気に包まれた暗い部屋には、色んな野菜や肉が保存されている。
この氷室は魔法の力で一年中冷えているのだ。
私は卵と肉と野菜、そして酒瓶を取り出すと一階に戻り、台所に運んで自分の朝食の用意した。
大きな中華鍋の中に卵と肉と野菜を入れると、私は心の中で「調理の魔法」と呪文を唱えた。
すると中華鍋が熱を持ち、何度か鍋を振るうと美味しそうな肉と玉子の煎り付けが出来ていた。
この世界ではMPさえあれば、決まった呪文を唱えたら誰でも魔法が使えるのだ。
この日常生活のための生活魔法を使えば蛇口から水もお湯も出てくるし、夜でも照明がつくし、トイレは何と水洗式だった。
こんな便利な魔法があるからこの世界は科学文明が中世のレベルで停滞しているようだ。
まあ魔法だろうと科学だろうと生活が快適ならばなんでもいい。
「最初は魔法を使うのも楽しかったんだけどねぇ…」
中華鍋の料理を皿に移しながら私は溜息をついた。
「もっと楽しい世界に転生したかったわ」
私はたった三日で暇を持て余し退屈で死にそうだった。
「もう大体必要な生活魔法は覚えたし、毎日自分の食事の用意をしたらあとは屋敷で魔導書読みながらゴロゴロ寝ているだけ。はっきり言ってヒマだわ………」
イルマ様が長年かけて私を転生させたのも納得だ。
暇で他にすることがなかったからだろう。
しかし、自分がただの暇つぶしで転生させられたと知り、私のモチベーションはダダ下がりだった。
私は食堂の長テーブルに料理を置くと、酒瓶を開けて黄金色のエールをガラスジョッキに注いだ。
「朝からエール!最高だわ!転生ガチャに外れたんだからこれぐらいのご褒美がないとね」
と、その時、どこからともなくイルマ様の声が響いてきた。
『転生ガチャとはどういう意味だい?』
「イ、イルマ様!?」
『意味はわからんが、どうやら儂に文句があるようだね』
「そ、そんなことありませんよお!」
私は揉み手をすりながら作り笑顔を浮かべた。
イルマ様の機嫌を損ねたら私みたいなホムンクルスはたちまち塵芥に戻されてしまう。
「どこからイルマ様の声が聞こえるのかしら!?声はすれども姿は見えず……?」
『お前さんの額に取り付けた青碧石が通信機になっているのじゃ。お前さんに渡した魔導書に説明が書いてあるじゃろうが!』
「すみません!まだ、そこまで読んでいませんでした」
『まあよい!とっとと食事を済ませて居間においで』
「はーい!直ちに参ります!」
そう言いながら、せっかくなので私はガラスジョッキに入ったエールをゴクゴクと飲んだ。
『朝っぱらからエール飲んでるんじゃないよ!』
私はあわててキョロキョロを食堂を見まわした。
『ずるーい!イルマ様、やっぱりどこからか覗いているんでしょ』
「いいから早く来い!」
私が居間に飛んでゆくと、イルマ様は大きなソファーに寝ころびながらワインを飲んでいた。
(何だ!自分だって朝っぱらからワインを飲んでいるじゃない!)
「あれをご覧!」
イルマ様が壁を指さした。
居間の壁には大きな額縁が飾られていた。
確か以前に見た時は、額縁にはイルマ様の肖像画が飾られていた。
しかし、今は額縁の中にはイルマ様の脇に立つ私の姿が映し出されていた。
「あれ!?私の姿が映っているわ!!」
私が驚いてそう叫んだ時、額縁の中の私の映像も「あれ!?私の姿が映っているわ!!」と叫んだ。
「へぇー!あれ、モニターですか?リアルタイムに私の姿が映っているのですね!」
「それだけではないぞ。過去の記録も再生できるのじゃ」
イルマ様が指をパチンと鳴らした。
「はーい!直ちに参ります!」
そう言いながら、台所でガラスジョッキに入ったエールをゴクゴクと飲んでいる私の姿が映し出された。
「ホエーッ!!録画機能もあるんですか!優れものですね」
「お前さんの額の青碧石は現在位置を知らせてくれて、周囲の風景を記録できるんじゃ。百年前に儂が作った魔法道具じゃ」
「GPSと監視カメラの機能もあるんだ。凄いですね!どういう仕組みなんですか?」
「魔導書に書いとるから自分で調べろ!」
イルマ様は冷たく言い放った。
「そんなことよりも、お前さんがこの世界に転生してもう三日じゃ!なのに毎日食っては寝てるだけの毎日ではないか!儂が何のためにお前さんを産み出したと思っとるのじゃ」
「ただの暇つぶしのために私を造ったのでしょ」
私は不貞腐れて唇を突き出した。
私は石造りの階段を下りて地下にある氷室に入った。
ひんやりとした冷気に包まれた暗い部屋には、色んな野菜や肉が保存されている。
この氷室は魔法の力で一年中冷えているのだ。
私は卵と肉と野菜、そして酒瓶を取り出すと一階に戻り、台所に運んで自分の朝食の用意した。
大きな中華鍋の中に卵と肉と野菜を入れると、私は心の中で「調理の魔法」と呪文を唱えた。
すると中華鍋が熱を持ち、何度か鍋を振るうと美味しそうな肉と玉子の煎り付けが出来ていた。
この世界ではMPさえあれば、決まった呪文を唱えたら誰でも魔法が使えるのだ。
この日常生活のための生活魔法を使えば蛇口から水もお湯も出てくるし、夜でも照明がつくし、トイレは何と水洗式だった。
こんな便利な魔法があるからこの世界は科学文明が中世のレベルで停滞しているようだ。
まあ魔法だろうと科学だろうと生活が快適ならばなんでもいい。
「最初は魔法を使うのも楽しかったんだけどねぇ…」
中華鍋の料理を皿に移しながら私は溜息をついた。
「もっと楽しい世界に転生したかったわ」
私はたった三日で暇を持て余し退屈で死にそうだった。
「もう大体必要な生活魔法は覚えたし、毎日自分の食事の用意をしたらあとは屋敷で魔導書読みながらゴロゴロ寝ているだけ。はっきり言ってヒマだわ………」
イルマ様が長年かけて私を転生させたのも納得だ。
暇で他にすることがなかったからだろう。
しかし、自分がただの暇つぶしで転生させられたと知り、私のモチベーションはダダ下がりだった。
私は食堂の長テーブルに料理を置くと、酒瓶を開けて黄金色のエールをガラスジョッキに注いだ。
「朝からエール!最高だわ!転生ガチャに外れたんだからこれぐらいのご褒美がないとね」
と、その時、どこからともなくイルマ様の声が響いてきた。
『転生ガチャとはどういう意味だい?』
「イ、イルマ様!?」
『意味はわからんが、どうやら儂に文句があるようだね』
「そ、そんなことありませんよお!」
私は揉み手をすりながら作り笑顔を浮かべた。
イルマ様の機嫌を損ねたら私みたいなホムンクルスはたちまち塵芥に戻されてしまう。
「どこからイルマ様の声が聞こえるのかしら!?声はすれども姿は見えず……?」
『お前さんの額に取り付けた青碧石が通信機になっているのじゃ。お前さんに渡した魔導書に説明が書いてあるじゃろうが!』
「すみません!まだ、そこまで読んでいませんでした」
『まあよい!とっとと食事を済ませて居間においで』
「はーい!直ちに参ります!」
そう言いながら、せっかくなので私はガラスジョッキに入ったエールをゴクゴクと飲んだ。
『朝っぱらからエール飲んでるんじゃないよ!』
私はあわててキョロキョロを食堂を見まわした。
『ずるーい!イルマ様、やっぱりどこからか覗いているんでしょ』
「いいから早く来い!」
私が居間に飛んでゆくと、イルマ様は大きなソファーに寝ころびながらワインを飲んでいた。
(何だ!自分だって朝っぱらからワインを飲んでいるじゃない!)
「あれをご覧!」
イルマ様が壁を指さした。
居間の壁には大きな額縁が飾られていた。
確か以前に見た時は、額縁にはイルマ様の肖像画が飾られていた。
しかし、今は額縁の中にはイルマ様の脇に立つ私の姿が映し出されていた。
「あれ!?私の姿が映っているわ!!」
私が驚いてそう叫んだ時、額縁の中の私の映像も「あれ!?私の姿が映っているわ!!」と叫んだ。
「へぇー!あれ、モニターですか?リアルタイムに私の姿が映っているのですね!」
「それだけではないぞ。過去の記録も再生できるのじゃ」
イルマ様が指をパチンと鳴らした。
「はーい!直ちに参ります!」
そう言いながら、台所でガラスジョッキに入ったエールをゴクゴクと飲んでいる私の姿が映し出された。
「ホエーッ!!録画機能もあるんですか!優れものですね」
「お前さんの額の青碧石は現在位置を知らせてくれて、周囲の風景を記録できるんじゃ。百年前に儂が作った魔法道具じゃ」
「GPSと監視カメラの機能もあるんだ。凄いですね!どういう仕組みなんですか?」
「魔導書に書いとるから自分で調べろ!」
イルマ様は冷たく言い放った。
「そんなことよりも、お前さんがこの世界に転生してもう三日じゃ!なのに毎日食っては寝てるだけの毎日ではないか!儂が何のためにお前さんを産み出したと思っとるのじゃ」
「ただの暇つぶしのために私を造ったのでしょ」
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