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一話

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「これで準備は終わりですわね」

私の名前は、プリースト伯爵家の一人娘エミリア・プリーストです。

私には前世の記憶がありますわ。日本のオタクな高校生でしたの。
お母さまは、私が前世を思い出すといけないと思い気を使って下さったんですけれど……どうしても思い出したくなかったようですわね。そんな素振りは全く見せませんが、「エミリア、今の生活は楽しい?」とお母さまは、私に問いかけるのです。

だから私も、「ええ!お母さま」と返すと、お母さまも嬉しそうにしてくれるのですわ。

そして私は、この世界が『聖女は、婚約破棄された悪役令嬢に成り代わり復讐を誓う』という物語の世界だと知っていますわ。

だから私................悪役令嬢のフローラ・スカーレットは復讐をすることに決めたんですの。

まぁ前世を思い出してしまった時点で手遅れな気がするんですけど....................そこは見逃して下さいませね? でも.................、

「悪役令嬢って、誰に婚約破棄をされるんですの?そして誰なんですの?私、ちょっと分からないですわぁ」

私が知る限り『聖女は、婚約破棄された悪役令嬢に成り代わり復讐を誓う』の物語の中でヒロインの名前は一度も出てきませんし……まぁ……モブだから仕方ないかしら……。モブの名前なんて覚える必要御座いませんわよね♪ フローラ・スカーレット。赤髪紅眼。我儘で自己中な性格な少女なのですけれど……ちょっと面倒ですわね。でも、私のような悪役令嬢になりたいのでしたら……このぐらい性格悪い方が丁度いいのかしら?

「私は……あんな性格にはなりたくありませんわ」

そして迎えたパーティー当日。

私が聖女として壇上に上がると、スカーレット公爵が声を上げたのです。

「我が娘であるフローラ・スカーレットを聖女の座から引きずり下ろす!そして娘の婚約相手であり、未来の王妃候補だったセイン王子との婚約も破棄させて頂く!」

そう高らかに宣言したスカーレット公爵でしたが……セイン王子は、スカーレット公爵の言葉を聞き流していましたわ。

セイン王子は私の元婚約者なのですけれど……そもそも婚約破棄を言い出したのはセイン王子でしたのよね。

「お父様!聞いて下さい!私はフローラ・スカーレットにいじめられたんです!」と叫び、更に「婚約破棄だ!」と叫んだのです。

そしてセイン王子は、私を指さしてこう仰ったのです。

「貴方のような人と結婚などしたくない」と……。

「だから、スカーレット公爵!私は、フローラ・スカーレットとの婚約を破棄する!そして娘であるエミリア・プリーストとの婚約をここに宣言する!」

そう宣言したセイン王子の横で嬉しそうにしているフローラの姿がありました。

私は聖女として壇上に上がったはずだったのですけれど……いつの間にか悪役令嬢に格下げされて居たようですわ……。はぁ……面倒ですわね……。

「セイン王子様、やっと出会えましたわね!本当に探しましたのよ?」

「フローラ嬢……探したってどう言うことなんだ?そもそもなぜここに居る?お前は、僕の婚約破棄で王家の籍から外されただろう?」

「セイン王子様が私に仰ったんですわよね?私以外の人とは結婚したくないと」

「確かに言ったけど……それがどう言うことなんだい?」

「私、ずっとセイン王子様のことお慕いしておりましたわ。でもお父様が許してくれませんでしたのよ。だから私はお父様に内緒で『聖女』に成り代わったんですの。そしてセイン王子様を私のものにする為に……」

「私をものにするって……。フローラ嬢、君は狂っているのか?」

「狂っている?そうかも知れませんわ。でもセイン王子様は、私が好きですよね?」

「いや……それは……」

「好きなんですよね!」

「嫌いでは……ないです」

セイン王子も案外ちょろいですわね、ふふっ
良いことを思いつきましたわ、これでセイン王子は私の物ですわ!

「セイン王子、私と結婚してくださらないかしら?」

「フローラ嬢、私にはエミリアという婚約者が居るんだ。君と結婚なんて出来るわけが無いだろう?」

「それは可笑しいですわね。お父様にお願いすれば婚約破棄して下さると思いますわ」

そして私は、お父様にセイン王子との婚約を願い出ましたの。するとお父様は……

「分かった。王太子殿がフローラを好きでは無いのなら婚約は解消しよう」と仰いましたわ。

そして私は無事、セイン王子と婚約することになりましたのよ

「フローラ嬢。君は一体何を考えているんだい?君の父上から婚約破棄をされた僕が、今度は君から婚約破棄をするというのは可笑しいだろう?それに僕は君との婚約なんて望んでいないぞ?」

「あらセイン王子、私はセイン王子と結婚がしたいですわ」

「いや……だから……」

「大丈夫ですわ。私と結婚してくだされば、たくさん甘やかして差し上げますから」

こうして私は、王太子妃になりましたの
セイン王子は、私の為に毎日愛を囁いて下さるようになりました。
..............私、幸せですわ
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