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第4章 学園支配
第139話 優秀選手と貴族のケジメ
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翌日学園にいくと、修斗とポリンが生徒会室に呼ばれたため昼休憩時に訪れた。
修斗だけなら大男のローガスとの事かと思ったが、ポリンが呼ばれるという事は違うのだろうか。
「よく来てくれたわね。ここに集まった人たちに心当たりはあるかしら?」
生徒会長フランチェスカが椅子に座った7名に対し、質問をする。
生徒会室には修斗とポリン以外にも5人が呼ばれており、1年生2人、2年生1人、3年生4人だ。
呼ばれた者達は互いの顔を見るが、顔は知っていても理由など知るはずもない。
いや、3年生は気が付いているようだ。
「おめでとう。皆さんは競技会で優秀選手に選ばれました。私達生徒会の3人を含めた10人で、7学園対抗戦に出場します」
おおっ、と声が上がり、椅子に座ったいる者同士で健闘をたたえ合う。
それにしても修斗は良いとして、ポリンはなぜ選ばれたのだろうか。
「あ、あの生徒会長、私はそんなに活躍してないと思うんですけど……」
「ポリンさん、あなたは気付いていないみたいだけれど、団体戦の最終戦、あなたは1人で30人以上を倒したのよ? これは学園の最高記録を塗り替えた偉業なの」
「で、でもそれはシュウト君が囮になってくれたからで」
「過去にも囮を使った作戦はたくさんあるけれど、30人なんて数字は出なかったのよ」
そう、1人で1クラス分を倒した例など無いのだ。
しかも修斗の戦いを見て、自分が出来る最高の戦いを選択できたという事は、修斗との連携も問題ない証しにもなる。
そんな人材を放置するほど、学園側はマヌケではなかった。
大抜擢であることは間違いないが。
「今後私達は7抗戦へ向けて行動を開始します。それぞれの予定もあると思うけれど、優勝を目指して頑張っていきましょう!」
全員で拍手をする中、大男ローガスだけは浮かない顔をしていた。
教室に戻った2人は席に着くと、クラスメイトから呼び出された理由を聞かれる。
1年で2人も選ばれる事は滅多にないため、教室内はお祭り騒ぎになってしまった。
「うおぉ~い、うるさいとクレームが来たぞ~。もう少し静かにしろー」
担任が来たことで静かになるが、その興奮は収まらない。
「シュウトお兄ちゃんとポリンさん凄いのです! 7抗戦頑張って欲しいのです!」
「はは、ありがとなシャロン。お前は強いから来年はきっと選ばれるぞ」
10歳の天才幼女の頭を撫でると、目を細めて喜んでいる。
「あれ? そういえばシュウト君、喋り方かえた?」
男子生徒が聞いてきたが、そういえば男子生徒の前では地を出すのは今日が初めてだ。
「いや、元々はこうだったんだが、転校してきたばかりだからな、ネコをかぶっていた。生意気だろ?」
「ううん、その方が親近感がわくよ。前は少し気取ってるみたいだったし」
女子生徒は乱パをした時に地を出しているので問題はないようだ。
以前突っかかってきた不良生徒も、修斗の実力を目の当たりにし、しかも認められたものだから何も言えなくなってしまっていた。
さて、7抗戦へ向けての練習が始まったのだが、どうにも1人、練習に身の入っていない者が居る。
「ローガス、どうしたっていうの? 最近のアナタは練習に身が入っていないわ。しっかりしてちょうだい」
「す、すまないフランチェスカ」
ローガスが考えている事など気付く余地もなく、フランチェスカは叱咤する。
7抗戦は2ヶ月後。あまりノンビリしている余裕は無いのだ。
競技内容自体は競技会の4つの花形種目と団体戦のため、練習も連携をとる事に重点が置かれている。
身が入っていない者が居ると、連携がくるってしまう。
それは理解していても、気持ちが追いつかないのだろう。
修斗国王に乱暴し、無様に嘔吐してしまったのだから、負け犬も良い所だ。
だがそれは意外な形で決着がついた。
ローガスの家、ベイカー子爵家が総出でザナドゥ王国を訪れたのだ。
最初は取り合わずに城の前で放置していたのだが、数時間も謝罪の言葉を続け、9人の悪夢の騎士が折れた形だ。
大量の資金と家宝を持ち込み、夜になると修斗に謁見し全員で頭を下げて謝罪する。
もちろんローガスも居るのだが、思ったより素直に頭を下げていた。
事前に手紙が送られていたので茶番に近いが、ザナドゥ王国の国王は気にしていないが、気に病んだ相手がどうしても謝りたいからそれを受けた、という形だ。
夕食も修斗と9人の悪夢の騎士ら共に取り、あくまでも個人的な付き合いとしての立場を貫く。
しばらくはベイカー子爵家の家計は火の車だろうが、それも数年経てば落ち着く。
それで無かったことにできるのなら安いものだ。
翌日からは、安心したのかローガスはほぼいつも通りになっていた。
完全には戻らないだろうが、今はこれで十分だろう。
修斗だけなら大男のローガスとの事かと思ったが、ポリンが呼ばれるという事は違うのだろうか。
「よく来てくれたわね。ここに集まった人たちに心当たりはあるかしら?」
生徒会長フランチェスカが椅子に座った7名に対し、質問をする。
生徒会室には修斗とポリン以外にも5人が呼ばれており、1年生2人、2年生1人、3年生4人だ。
呼ばれた者達は互いの顔を見るが、顔は知っていても理由など知るはずもない。
いや、3年生は気が付いているようだ。
「おめでとう。皆さんは競技会で優秀選手に選ばれました。私達生徒会の3人を含めた10人で、7学園対抗戦に出場します」
おおっ、と声が上がり、椅子に座ったいる者同士で健闘をたたえ合う。
それにしても修斗は良いとして、ポリンはなぜ選ばれたのだろうか。
「あ、あの生徒会長、私はそんなに活躍してないと思うんですけど……」
「ポリンさん、あなたは気付いていないみたいだけれど、団体戦の最終戦、あなたは1人で30人以上を倒したのよ? これは学園の最高記録を塗り替えた偉業なの」
「で、でもそれはシュウト君が囮になってくれたからで」
「過去にも囮を使った作戦はたくさんあるけれど、30人なんて数字は出なかったのよ」
そう、1人で1クラス分を倒した例など無いのだ。
しかも修斗の戦いを見て、自分が出来る最高の戦いを選択できたという事は、修斗との連携も問題ない証しにもなる。
そんな人材を放置するほど、学園側はマヌケではなかった。
大抜擢であることは間違いないが。
「今後私達は7抗戦へ向けて行動を開始します。それぞれの予定もあると思うけれど、優勝を目指して頑張っていきましょう!」
全員で拍手をする中、大男ローガスだけは浮かない顔をしていた。
教室に戻った2人は席に着くと、クラスメイトから呼び出された理由を聞かれる。
1年で2人も選ばれる事は滅多にないため、教室内はお祭り騒ぎになってしまった。
「うおぉ~い、うるさいとクレームが来たぞ~。もう少し静かにしろー」
担任が来たことで静かになるが、その興奮は収まらない。
「シュウトお兄ちゃんとポリンさん凄いのです! 7抗戦頑張って欲しいのです!」
「はは、ありがとなシャロン。お前は強いから来年はきっと選ばれるぞ」
10歳の天才幼女の頭を撫でると、目を細めて喜んでいる。
「あれ? そういえばシュウト君、喋り方かえた?」
男子生徒が聞いてきたが、そういえば男子生徒の前では地を出すのは今日が初めてだ。
「いや、元々はこうだったんだが、転校してきたばかりだからな、ネコをかぶっていた。生意気だろ?」
「ううん、その方が親近感がわくよ。前は少し気取ってるみたいだったし」
女子生徒は乱パをした時に地を出しているので問題はないようだ。
以前突っかかってきた不良生徒も、修斗の実力を目の当たりにし、しかも認められたものだから何も言えなくなってしまっていた。
さて、7抗戦へ向けての練習が始まったのだが、どうにも1人、練習に身の入っていない者が居る。
「ローガス、どうしたっていうの? 最近のアナタは練習に身が入っていないわ。しっかりしてちょうだい」
「す、すまないフランチェスカ」
ローガスが考えている事など気付く余地もなく、フランチェスカは叱咤する。
7抗戦は2ヶ月後。あまりノンビリしている余裕は無いのだ。
競技内容自体は競技会の4つの花形種目と団体戦のため、練習も連携をとる事に重点が置かれている。
身が入っていない者が居ると、連携がくるってしまう。
それは理解していても、気持ちが追いつかないのだろう。
修斗国王に乱暴し、無様に嘔吐してしまったのだから、負け犬も良い所だ。
だがそれは意外な形で決着がついた。
ローガスの家、ベイカー子爵家が総出でザナドゥ王国を訪れたのだ。
最初は取り合わずに城の前で放置していたのだが、数時間も謝罪の言葉を続け、9人の悪夢の騎士が折れた形だ。
大量の資金と家宝を持ち込み、夜になると修斗に謁見し全員で頭を下げて謝罪する。
もちろんローガスも居るのだが、思ったより素直に頭を下げていた。
事前に手紙が送られていたので茶番に近いが、ザナドゥ王国の国王は気にしていないが、気に病んだ相手がどうしても謝りたいからそれを受けた、という形だ。
夕食も修斗と9人の悪夢の騎士ら共に取り、あくまでも個人的な付き合いとしての立場を貫く。
しばらくはベイカー子爵家の家計は火の車だろうが、それも数年経てば落ち着く。
それで無かったことにできるのなら安いものだ。
翌日からは、安心したのかローガスはほぼいつも通りになっていた。
完全には戻らないだろうが、今はこれで十分だろう。
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