ステータスを好きにイジって遊んでたら、嫁たちが国造りを始めました

内海

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第6章 ダンジョンから始まる世界交流

第235話  とある冒険者の話4

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 51階の探索を開始してしばらく、巨人のフィルボルグは出て来てないが、大型のモンスターは数回遭遇した。
 トロール、オーガなどだが、それでも複数体出てきたら危険なため無理は出来ない。

「ねぇジョニー、大型が増えてきたけど、この調子だとあまり先には進めないわよ?」

 長く黒いスカートと青いタンクトップ、黒髪ロングストレートのメアリーは探索具合が心配なようだ。
 それも無理もなく、51階の探索を始めてすでに半日以上が過ぎているが、すでに判明している場所しか進んでいない。

「フィルボルグに遭遇する前に、せめて分かっている範囲を確認したかったんだ。逃走ルートの確保って奴かな」

 金属製の胸部鎧と籠手・具足をつけ、大きな剣を背中いかついだジョニーは地図を見ながら答える。
 どうやら随分と慎重に見えるが、フィルボルグとはそれほど強いのだろうか。

「無理はしない、それが生き残るコツだ……だわ」

 紫の髪が逆立ち、左目に眼帯を付けた全身鎧、剣を2本携えた女性、ケイトは理解しているようだ。
 メンバーが増えれば意見も色々と出てくるだろう。

「それにしても慎重すぎるねぇん。ワナは無いようだし、もう少し進んでもいいんじゃないかねぇん」

 右目が髪で隠れ、黒い革ジャンを着ている軽そうな男、ロビンも少々不満顔だ。
 と言ってもおチャラけているが。

「フィルボルグはシャレにならんからのぅ。少しでも気配を感じたら注意じゃ」

 白髪のオールバック、背は低いがガッチリとした男、ドミニクは慎重さに納得している。
 事前にある程度慎重に進むと話してはいたが、その進行速度に認識の違いがある様だ。

 一見言い争いをしているようにも見えるが、実は結構ある事であり、今回もいつもの事として終わるハズ……だった。
 今回違ったのは全く新しい探索地だった事と、未知の魔物がいる事だった。
 声は人間なら最小限聞こえる程度の大きさだったが、魔物にとっては十分に聞こえる声量だった。

 声がする方向へ向かい、高い天井の曲がり角から顔を半分だけ出して人間を確認する。
 人間は5人。
 よく来る人数と大きな差はなく、見た目からも人間の標準的な大きさの中に納まっている。

 しかもよく聞こえるおとを出しているから、目をつむっていても問題ない。
 よく見ると、天井の反対側にも仲間がいる。
 いや他にも数匹、人間からは見えない姿で、しかも隠れながら観察をしていた。
 人間は歩みを止めず角に差し掛かり、進行方向を確認しているので、その隙に遠くにいた同類が天井を歩いて寄ってくる。

 人間は角を曲がり、自分達に気づくことなく進んでいき、その背中をさらけ出していた。
 音もなく天井を歩き、人間の背中を目がけて飛び降りて行く。

「来たねぇん! 後ろの上だよぉん!」

 冒険者達は一斉に散らばり、武器を構えて振り返る。
 そこには壁と全く同じ色をした大きなヤモリが4匹おり、大きな口と舌を動かしていた。

 テラスティモリといって、カメレオンのように体の色が変わるヤモリだ。
 口に入る物を丸呑みにする魔物で、体長はシッポを入れれば5メートルはある。

「ふん、まんまと声に寄ってきおって、気付いていないと思っておったのかのぅ」

「トカゲに何を言っても意味はないさ。一気にかたを付けるぞ!」

 地面は壁と色が違うため、テラスティモリの居場所が良く見える。
 しかし急がないと地面の色と同化してしまう。

 だが……テラスティモリは攻撃力自体はあまりなく、奇襲にさえ気を付ければ大丈夫なようだ。
 逃げ足こそは速そうだが、魔法や飛び道具を使えば逃がす事は無い。
 勝負はあっという間についた。

「コイツらって売れるのか? ……だわ」

「肉は食べれない事は無いけど、無理に食べる必要はないわね」

「死んだテラスティモリの皮は色が変わらないからねぇん、ただの皮だよぉん」

「つまり要らんのじゃな」

 死体を放置して、先を進む一行。

「それにしても事前情報様様だな。知らなかったら危なかった」

「僕がいる限り、奇襲は成功させないからねぇん。安心して僕に抱かれるといいねぇん!」

「「お断り」……だわ」

 ヘンなポーズで女性2人に手を差し伸べるロビンだが、見向きもされず断られた。
 置いて行かれて慌てて後を追いかける。

 だがロビン目がけて何かが飛んで行く。
 遠く、遠くからソレは飛んできて、微かな風切り音に気が付いて振り向くも時すでに遅し、大きな矢が胸に突き刺さったのだ。
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