ステータスを好きにイジって遊んでたら、嫁たちが国造りを始めました

内海

文字の大きさ
238 / 373
第6章 ダンジョンから始まる世界交流

第237話 女3人、ぶらり塔攻略

しおりを挟む
「塔の攻略、ですか?」

「そうだ。お前達3人で100階まで行ってこい」

 修斗の執務室に呼ばれたシャンディラは元同じ組織だったにもかかわらず、ヤクシ・ガッコウとはザナドゥ王国で初めて顔を合わせた仲だ。
 
「あ、あの、王子様、ワタシは戦いには向かないと、お、思うのですが」

 まだ幼さが残る少女シャンディラ。
 濃い紫色で長髪のツインテール。少し垂れ目で気の弱そうな顔、ピンクでフリフリの魔法少女にも見える衣装を着ているシャンディラは、塔の攻略に不安がある様だ。
 それもそのはず、シャンディラは身体能力は低く、そのスキルだけで12神将に採用されたのだ。

「お前は他に比べて体が弱いからか?」

「う、うん。だってワタシは力も速さもないし。つ、付いて行けないと思います」

「だがお前には素晴らしい能力があるじゃないか」

「で、でも……」

「お前のあの力は必ず必要になる。自信を持て、俺は能力のない者を側には置かない」

「でもシュウト陛下、こいつは体力も無いんだぜ? ワタシ等に付いて来れるのか?」

 シャンディラと同じくらいの歳の少女ガッコウ。
 丈の短い紺色で厚手のワンピース、同じく紺色のカウボーイの様なつばの広い帽子をかぶっており、薄い茶色の地面に届きそうなほど長い髪は、先端を金属の輪で纏めてある。

「大丈夫だ。特に今回の探索ではガッコウ、お前がキーになるからな。キバレ」

「わ、ワタシが! へ、へっへ~んそうだろうそうだろう、ワタシに任しときな!」

「それではシュウト陛下、前衛は私、中・後衛はガッコウとシャンディラでよろしいですか?」

「そうだヤクシ。お前の圧倒的な前衛力で2人を護ってやれ」

「は。陛下のお言葉とあらば、この身に変えましても守ってご覧に入れましょう」

 盲目の女性ヤクシ。
 両目が潰されており、腰まである長い銀髪で、耳元の髪を後ろで纏めている。
 スタイルは良く手足もスラリと長い。
 金属の具足と籠手を装備し、手にした斧は柄が長く刃は丸く巨大だ。

「必要と思う物があれば持って行け。準備ができ次第出発しろ」

 3人は足を揃えて敬礼をし、ヤクシ・ガッコウ・シャンディラの順に部屋を出て行く。
 執務室にいたキャロラインは複雑な顔でそれを見送る。

「シュウトさん、シャンディラにはまだ難しくありませんか?」

「あいつはスキル以外ではウチの中では最弱だ。メイドの方が強いだろうな」

「ならどうして」

「あいつの『視線をたどって殺す』スキル、あのスキルはもう少し先があるような気がするんだ」

「先? もっと強くなるんですか?」

「わからん。ただの勘だ」




 準備を整えて、早速出発する3人。
 移動は馬を3頭用意して休まずに進むつもりのようだ。
 なにせ塔の場所はザナドゥ王国から随分と離れており、休まずに行っても10日はかかる距離だ。

「シャンディラ、休憩は多めに取りますが、疲れたら言って下さい」

「は、はいヤクシ様」

「ふふふ。もう漆賢人しちけんじんとは関係が無いのですから、様は必要ありませんよ」

「で、ですが……」

「だー! いいっつってんだろう! ワタシの事もガッコウでいいかんな!」

「は、はいガッコウ!」

 優しそうなヤクシに対しても控えめなのに、口の悪いガッコウに大声で怒鳴られさらに委縮してしまった。
 まだ冒険が始まってもいないのに、これでは先が思いやられる。

 いくつかの町を経由して、ついでに薬草を集めて冒険者ギルドに納品したため、初心者(?)の3人はDランクになった。
 攻略するだけなら冒険者の必要は無いが、ギルドの恩恵や情報を提供するには冒険者の方が都合がいいのだろう。

 予定より少し遅れて12日目に塔へ到着した。

「ん~~……っはぁ。流石に疲れたぜ」

「大丈夫シャンディラ、降りられますか?」

「ひゃ、ひゃい、だいじょぶれふ」

 塔の周辺にある小さな町に到着したが、どうやらシャンディラは疲れ果てているようで、馬に抱き付くように倒れている。
 流石のガッコウもこれはアカンと思ったのか、その日は宿屋に放り込み、情報収集を開始する。

「あ~ん? まだ61階までの情報しかないのかよ。やっくに立たねぇなぁおい」

 冒険者ギルドの出張所に入り塔の情報を確認するのだが、どうやら全く探索は進んでいない様だ。
 魔物情報や罠情報も見るが、ここ最近で新しい情報は少ない。
 3人に与えられた任務は100階までの探索であり、それには地図・罠・魔物情報も含まれているだろう。
 もちろんそれ以外にも情報があれば出さなくてはいけない。

「ガッコウ、何か情報はありましたか?」

「なんにもねーや。あいつは大丈夫そうか?」

「ええ、今は薬を飲んで休んでいますから、明日には元気になるでしょう」

 掲示されている情報に新しいものはないが、一応受付に行って話を聞くようだ。
 しかし受付でもこれといった情報は無く、精々が新しく来た冒険者に塔攻略の心得を説く程度だった。

「ま、準備はできてっからな、明日のために休んどっか」

「ええ、明日からはずっと塔ですから、英気を養いましょう」

 ギルドを出て宿に行こうとした2人の前に、屈強な男たちが立ちはだかる。

「いようお嬢さんがた、塔に行くんだって? 俺達が色々と教えてやるよ」
しおりを挟む
感想 17

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

自習室の机の下で。

カゲ
恋愛
とある自習室の机の下での話。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

服を脱いで妹に食べられにいく兄

スローン
恋愛
貞操観念ってのが逆転してる世界らしいです。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

処理中です...