お一人様冒険記(6人パーティー)~ゲームシステムに縛られてるけど嫁を見つけてハッピーになって見せる!~

内海

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7.次の街に行くぞ!む、馬車が襲われてる!

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 肩を引っ張られ倒れそうになりましたがなんとかこらえ、肩から手を振りほどきます。

「いきなり何をされるんですか?私は皆さんの装備を修理をしないといけません。用事なら順番に並んでください」

「いいから来いと言っているんだ!」

 無理やり腕を掴まれましたが、今度は逆に私が腕をつかみ返して引っ張りました。大きな鎧を着ている人はバランスが悪くなるので簡単に転んでしまいました。

「貴様なにをするか!」

 他の騎士さんが私に襲い掛かりますが、流石に埒が明かないので大剣を抜きました。自分でもいい出来だと思うお気に入りの一品です。

「なにをするか、は私のセリフです。用事があるのなら並んでください。緊急の用だとしても話しかたというモノがあるでしょう?」

 剣を構えはしましたが私は剣を扱えません。ただ見た目にも大きな剣を片手で持っているので、相手を威圧することができます。

 戦士並みのSTR100は伊達ではありません。

 ここにきてようやく冒険者さんから私に賛同する声があがります。

 そして騎士さん達を非難する声も。

 徐々に帰れコールが沸き起こり、騎士さん達はどこかへ行ってしまいました。

「すまねぇなお嬢ちゃん。あいつら王国の騎士でな、強く言えなかったんだ」

 親方さんが気になる事を言いました。王国の騎士?王国はこの街から馬車で10日以上の距離だと聞いています。私の噂が届くには早すぎます。

「とはいっても、あいつらは中規模の街に駐屯している出張騎士だから、大した力もないんだけどな」

 なるほど納得しました。

 どうやらこの街の近くにある中規模の街には私の噂が届く程度には有名になっていた、という事でしょうか。

 このキャラで有名になる気はありませんので、そろそろ潮時かもしれません。

「それではこのまま私が街に居ると、皆さんにご迷惑をおかけしてしまうのですね……残念ですが私は街をさり」

「大丈夫だしずかさん!俺達が守って見せる!」

「そうだ!あんな田舎騎士に負けるわけがねぇ!」

「しずかちゃんの身は俺達が守って見せるよ!」

 街を去りま……す?あれ?実はそろそろ次の段階に移りたかったのですが……困りましたね。

 とはいえ今並んでいる冒険者さんの分は修理したいので、もうしばらくは滞在する事にしました。

 こうなったらしずかのまま情報を集めて、ルリ子に対する王国の反応を待ちます。

 この街から王都までは馬車で片道十日程、ルリ子で騒動を起こしたのが九日前ですが、流石に早馬を使えばとっくに王都に情報が行っているはずです。

 王都から調査団が来るのは早くても後数日は掛かるでしょうから、どういった対応をするのか見たい所です。

 幸いゴーレムから情報が来るので見逃しも無いはずですから。

□ □ □ □

 そんな計画をしてから五日が経ちました。

 流石に何もないのが逆に不安になってきます。

 実はグレートドラゴンなんて大したモンスターではなく、王都では当たり前に見かける、とかなら是非王都へ行ってみたいですが、もしかしたら王都の政治体制が腐敗してる可能性や、とんでもなく平和ボケしている可能性もあります。

 この街でこれ以上情報を得るのは難しそうなので、明後日には街を出ましょう。

 王都方向の隣町は馬車で三日らしいので、一人で馬に乗って行けばもっと早くつくでしょう。

 結局王都から調査団が来る事なく街を出る日を迎えました。

 鍛冶屋の親方さんや冒険者さんには出立日を伝えてあったのですが、当日になって私の護衛をしたい!と沢山申し出を受けました。

 道中も色々やりたい事があるので丁寧にお断りしましたが、場合によっては「オレも隣町に行くだけだから」と言って付いてくるかもしれません。

 なので色々買い物をする振りをして、街中を歩き回り皆さんを巻いてきました。

 門番をしていたゴーレムを回収し、急いで王都へと向かいましょう。



 ラマを走らせて一時間以上が経ったでしょうか。

 ここまで私を追う人影は見ませんでしたから、恐らく誰も付いて来ていません。

 一応念のために森の中に入ってユグドラにキャラ変更をしましょう。

 鍛冶キャラで盗賊やモンスターに襲われたら何もできませんから。

― ― ―

 森から出る時は入った時と場所をずらして出てきた。

 念には念を入れておこう。

 さて三日間で次の街に着くらしいけど、途中で商人に会う事があるだろうから話しを聞きながら向かうとしよう。

 ……三日間って馬車に乗ってだよな?そういえば俺は馬持ってないぞ?徒歩だ徒歩。

「忘れてたー!歩きだと何日掛かるんだ!?」

 ルリ子もしずかも乗り物は標準装備だったけど、ユグドラは街を歩くときはわざわざ馬から降りて厩舎に預けてたんだった。

 流石にバッグに馬が入ってたりなんて……しないねうん。

「ま、いっか。急ぐ事も無いだろう」

 俺はのんびり歩きながら街を目指す事にした。



 とりあえず気が付いた事としては、小型ながらもモンスターが多い。

 戦闘キャラに変更しておいてよかったと思う。

 そしてこの世界に来てからずっと天気がいい。

 とても気持ちいいものだ。

 一日目から商人と何回かすれ違った。

 とはいっても向きが逆だったから挨拶だけで終わってしまった。

 なによりも驚いたのは、この体は疲れを知らない。

 試しに三十分ほど全速力で走ったが全く平気で、スタミナという概念が無いのかと疑ってしまった。

 調子に乗って走っていたら転んだ。痛かった。

「武器がある限り永遠に戦えるのか。便利なようでブラック企業体質だな」

 一人でぶらつく分には便利なのでヨシとしよう。

 夜になり、道の脇でキャンプを始めた。

 夜は夜でモンスターが多い様だから警戒をしておこう。

 そういえば夜の戦闘はしたことが無い。

 夜はどんなモンスターが出るのだろう。

 たき火を絶やさないように注意しつつ、テントを張って仮眠をとる。

 仮眠のつもりが普通に寝てしまったが、遠くで悲鳴が聞こえて目が覚めた。

 少し離れた場所でキャンプでもしているのだろうか。

 とはいえこんな時間に悲鳴が上がるなんてただ事じゃない。

 火を消して向かう事にしよう。



 走っていると道が明るくなってきた。

 たき火にしては明る過ぎるな、その予想は的中し、馬車が一台燃え上がっていた。

 何人もの人が怯えてしゃがみ込み、何人かが戦っている。相手はなんだろう。

 犬?狼の群れか?それにしては大きい。

 馬ほどではないけどそれに近い大きさをしている。

 襲われているのを放っておくわけにもいかない。

 助太刀に入ろう。

 離れていた時は気が付かなかったが、荷馬車は二十台以上ある大所帯で護衛の冒険者も五十人近くいる。

 それだけ冒険者が居たら、大きいとはいえ犬や狼程度何とかならないのか?と思ったら巨大な人影がいくつも見えてきた。

 オーガだ。

 オーガは全長4メートル以上ある巨体で、巨大な棍棒を力任せに振り回しているので近づけず後退するしかない。

 そこに狼が襲ってくるものだからたまったモノではない。

 意外な連携の取れ具合だ。



「助太刀するぜ!」

 やっと言えた!異世界に来たら状況によって言うセリフを考えてあったけど、初めて言えたよ!

 と喜ぶのは後にして、冒険者達を背後から襲おうとしている狼を数匹切り倒して、オーガの前まで走り抜けた。
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