お一人様冒険記(6人パーティー)~ゲームシステムに縛られてるけど嫁を見つけてハッピーになって見せる!~

内海

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24.本物ってなんだっけ?

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「内容は単純よ。噂の鍛冶職人、しずかの護衛をしてほしいの」

 ええぇぇぇぇぇ…………。

 これは困ったな。知りたいと思っていた情報が転がり込んできた。
 でも依頼を受けたくない気持ちも大きい。

「護衛、というと、街の外へでるんですか?」

「いいえ、オンディーナの中での護衛よ。どうやら命を狙われているらしいのよ」

「どうしてまた鍛冶職人が?」

「どうやら偽物のしずかに狙われているらしいの」

 いやいや、偽物が何言ってんだか。

「そもそも、どうして偽物が現れたんですか?」

「ここだけの話しだけどね……王宮がしずかを、お抱え鍛冶師にしようとしてるらしいのよ。だから自分がしずかだと言って、王宮のお抱えになりたいのよ」

「そんな事になっていたんですね」

 そうか、ほとんどの人はしずかの顔なんて分からないもんな。
 何回も会っているのは鍛冶屋の親方達と、よく来た冒険者ぐらいか?
 とはいえ本物が偽物を護衛するってなんだかな……逆に考えれば面白いか?

「分かりました、お受けします。ただ素材集めを先にやりたいので、その後でもいいですか?」

「ええ構わないわ」

「では明日は朝から素材集めに出ますので、明後日からでお願いします」

「先方にも伝えておくわね」




「ねえ、なんだか話し込んでたけど何かあったの?」

「リアのお陰で面白いことになってきたかな」

「私、、なにかした?」

「しずかの護衛の仕事を受けたんだ」

「え? 本物の?」

「ううん偽物」

「??」

「詳しい事は明日の素材集めの時に言うよ。今日は明日の準備をしよう」

「うん、わかった」

 街を回って必要なものを買い足した。そして……そしてお弁当の材料もだ!


― ― ― ― ― ―


 街を出発して素材の採取場所へ馬で向かう。行は二頭帰りは一頭、うむ計画通り。
 薬草が生えていると教えてもらった場所に来ると、沢山の薬草が生えていた。
 どうやら最近の傾向通りに、素材集めは危険な任務になってしまったようだ。

 とはいえ、リアを危険な目に合わせる訳にはいかないから、超警戒している。
 超ウルトラグレートスーパーノヴァ警戒でもいいくらいに。

「ユーさん、この岩の上に生えてる草とれる?」

 岩の上に生えている草を取ろうと背伸びしているが、全く届いていない。
 でも俺が手を伸ばしても届きそうもない高さだ。
 つまり……

「肩車するよ」

「え?」

 リアの前でしゃがんで待つ。
 少しして遠慮がちに「おじゃまします」と肩に足をかけてきた。ああっ太もも!
 採取の時は長ズボンだけど太ももっ!
 しっかり足をもって立ち上がる。

「おお、おおーーあはははは、たかーい!」

 なんだかテンションが上がっている。

「たかいたかーい。届きそう?」

「ん、ん~~もうちょっとなんだけど……」

 よ、よしぃ、さいしゅーしゅだんだ!

「リア、暴れないでね」

「え?ひゃぁあ!」

 リアのお尻を両手で掴んで持ち上げた。

「も、もぅ! ユーさんのエッチ!」

「エッチですとも! ああ、柔らかくてずっと触っていたい」

「だ、ダメ! そういうのは夜だけ!」

「ちぇ~」

「ほ、ほら、もう取ったから降ろして下さい」

「はーい」

 その後も順調にいちゃつき……素材を集め、日が高くなったのでお弁当の時間となりました。
 弁当を食べながら、偽物しずかの護衛の話をする。

「しずかの護衛の話だけどね、建前上は自分は本物で、偽物に命を狙われているって事みたい」

「そうなんだ、じゃあ私は一緒にいない方がいいのかな」

「それは大丈夫だと思うよ。まず狙われていないと思うから」

「じゃあなんで冒険者ギルドに護衛を依頼したの?」

「自分は本物で、偽物に狙われているって実績をギルドで作って、本物っぽさを増するため、かな」

「護衛の依頼って安いの?」

「安いね。一日一ゴールド五シルバーだから」

「一G五S!? 命がけの仕事なのに!?」

 大体一万五千円だな、冒険者の命の値段は。

「冒険者の命なんてそんなもんだよ。死にたくなければ強くなるしかない」

「ユーさん、私達で素材集め専用の冒険者にならない?」

「今は素材集めってかなり危険な依頼だよ?」

「……え?」

「モンスターが姿を現した瞬間に倒してるだけで」

 丁度大型のイノシシが姿を現したから、ヒモの付いた投げ斧を投げて顔面に命中させた。
 ヒモを引っ張り回収完了。

「それは……その……お疲れ様です!」

「それが俺の役目ですから」

 とりあえずリアには偽物しずかと仲良くなってもらい、しずかの情報を色々と聞いてもらおう。
 どんな風に伝わってるんだろう。




「ただいま戻りました。はい一式採ってきました」

 満載のバッグを二つギルドに運び込み、もう二つ馬に積んであるからそれを運んで……。

「リアは運ばなくていいからね?」

 相変わらず運ぼうとして動けなくなっていた。
 動けないリアが可愛かったから、バッグと一緒にリアも運んだ。

「これで全部です」

「じゃあ査定するから待っててちょうだい」

 待合所でのんびりお茶を飲んでいたら、査定が終わったらしくオネエが近づいてきた。

「全部規定以上の物だったわね。満額プラス追加報酬がでるわ」

「ありがとうございます」

「でも,イチャついてムカついたから0よ」

 またお茶を吹き出した。

「な、なんで!?」

「は~、本当に噂通りよねえあなた達。はい、これ報酬よ」

 革袋一杯の報酬を受け取った。でも噂ってどんな噂なんだろう。


― ― ― ― ― ―

 次の日、しずかの護衛をするべくギルドへと向かう。

「おはようございます。しずかさんはどちらでしょうか?」

 ギルドの受付に挨拶をして、護衛対象を紹介してもらう。

「あらおはよう。しずかさんは二階でお待ちよ」

 二階の部屋に案内されてしずかを紹介される。

「しずかさん、こちらはユグドラとアセリア。ご希望通り冒険者ギルドで一番の腕利きよ」

「初めましてしずかさん、しばらくの間ですがよろしくお願いします」

「よ、よろしくお願いします!」

 リアも挨拶をした。
 リアはギルドに登録していないが、素材集めで成果を出しているので協力者という扱いらしい。

「数日間ですがよろしくお願いします」

 この人が本物を自称する偽物しずかか。見た感じは悪い人には見えないんだが……。

 ギルドを出て少し離れた所の鍛冶屋に入った。
 どうやらここで鍛冶仕事をしているらしい。

「親方さん、今日もよろしくお願いします。こちらは私の護衛をして下さる,ユグドラさんとアセリアさんです」

「よろしくお願いします」

「お、おねがいします!」

 どうやら護衛と言ってもあちこち歩き回るわけではなく、店にいる時の護衛がメインの様だ。
 偽物の仕事っぷりを見ているが、腕が悪いわけではない。どちらかというと良い方だと思う。

 地道に練習をしたら程々有名になるんじゃないかと思うけど……近道をしたいのか?でも知っている人が見たら仕上がりの違いは分かるし、直ぐにバレると思うんだけど。

「これって何をやってるんですか?」

「金属に穴をあけて、可動部分を作っているんです」

「凄いですね~。やっぱり長年の経験が必要なんですか?」

「ええ、師匠のもとで厳しい修行の末に出来るようになりました」

 すごいぞリア! 次々と情報が出てくる!
 鍛冶の知識は分からないけど、衣装と性別以外は全てデタラメだった。
 実質十日前後しか活動してないはずだから、詳しいはずも無いか。

 しかし一番の違いは鍛造たんぞう品(熱した金属を叩いて形を整える)ではなく、鋳造ちゅぞう品(型に溶かした金属を流し込む)が多い事だ。

 しずかで鋳造なんてやった事ないぞ。

 その後も買い物や食事など、起きてから寝るまで護衛をしたのだが、気になる事が一つある。

 このしずかは自分を本物だと思っている事だ。

 これはリアも同じ意見で、自分を偽物だとは思っていない様なのだ。正直これには戸惑った。
 思い込みによる記憶の書き換えでもあったのだろうか。
 だがそれを確かめる術は無く、護衛最終日を迎えた。

「短い間でしたがありがとうございました。お陰様で安心して過ごせました」

「いえ、こちらこそ楽しく仕事が出来ました」

 予想通り襲われることも無く、無事に任務を完遂できた。

「それでは行きます。機会があればまた」

「その時はお願いします」

 城に入っていく偽物を見届け、ギルドへ報告に向かう。
 しずかが噂になっているのに、ルリ子が噂になっていないのはなぜだ?
 王都に来て数日が経つが、ルリ子はもちろんドラゴンの話しも全く聞かない。
 時間が経ちすぎたのか? いや、それならしずかも大差ないはずだ。

 何かがおかしい。
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