お一人様冒険記(6人パーティー)~ゲームシステムに縛られてるけど嫁を見つけてハッピーになって見せる!~

内海

文字の大きさ
70 / 71
第2章

67.ほぼ壊滅。生存者4名

しおりを挟む
 ラフレシアは確か超臭い巨大な花だ。くみ取り便所の匂いがするとか。
 入ってなくて良かったと心から思う。

 ハエトリグサが襲い掛かってくる。一か所にまとまっていたのでは掴み放題になってしまうので散開し、じっくり1本ずつでも減らしていこう。

 前衛は茎や葉を斬りつけて、ゆっくりでも確実に減らそうとする。しかしそれをあざ笑うように茎や葉が再生してしまう。
 なんて再生力だ。トロールの比じゃない。10秒以内に切り取った葉が再生している。

 ならばと魔法使いがファイヤー・ボールで燃やすが、ウツボカヅラの壺に葉を入れて消火して、更に再生して出てくる。

「きりが無いな。ブラスティー、接近して本体を攻撃しよう。このままだと終わらない」

「いいだろう」

 左右に分かれてビジランティ本体に向かって走り出す。俺達にほとんどのハエトリグサが攻撃してきたが、俺とブラスティーならこんな攻撃は何でもない。

 問題は再生力だけだ。

 ビジランティ本体の根元にたどり着き、改めて大きさを確認したが大きすぎる。ほぼ天井まで伸びているから百メートル近くあるのか? この花は。
 以前天にそびえる大木を斬ったが、太さではコイツが上だ。天井が無ければさらに大きくなるのだろうか。

 接近してしまえばこっちの物。2人で全力で斬りまくり、体がみるみる細くなっていく。
 本体の近くにいるせいか、ハエトリグサも攻撃しづらそうだ。
 この調子でいけばあと少しで本体を刈り取れる、そう思った時にウツボカヅラが動いた。

 壺の底を俺達の真上に移動させて、底から液体を吹き出したのだ。
 流石に得体のしれない液体を浴びるのはご免なので離れると、地面から煙が上がっている。とんでもない劇薬のようだ。こんなものを浴びたら体が溶けてしまうな。

 ん? これだとビジランティにもダメージが入ると思うが、俺達を引き離す事を優先させたのか?
 いや、劇薬がかかった部分の再生力が上がっている。斬りまくった部分がみるみる再生されて元通りになった。そういえば燃えるハエトリグサを壺の中で治療したんだったな。

 ビジランティには薬で俺達には毒かよ。

 また壺から液体が吹き出しては危険なので少し距離を取った。
 完全に元の状態に戻っている。これだけの人数で攻撃したのに全て無駄になってしまった。

「時間を掛ければ倒せるけど、時間をかけすぎるとみんなの体力がもたないな」

 チラリと後ろを確認すると、アズベル達冒険者は疲れているがまだ動ける、騎士団は疲労困憊といった感じだ。得体のしれないモンスターとの戦いは冒険者が上だな。

 冒険者も半日くらいなら体力がもつだろうが、リアはまだ連続3時間程度の戦闘しか経験していないから無理だ。リアが倒れると戦力が大幅に下がってしまう。
 植物なら根を潰せば良いと考えもしたが、劇薬を地面に撒いても平気なので枯葉剤的なモノも通用しないだろう。地面を掘り起こすのは現実的ではないし。

「色々考えている様だが、結局のところ地面近くの部分をぶった切って燃やすのが一番早いのではないか?」

「そうだな、時間をかけても再生するし、一気にカタを付けるのがいいな」

 怪我人は出るだろうが、これ以上死者を出さなければ良いと考えよう。

「みんな! 俺とブラスティーで根元を切断する、魔法使いはウツボカヅラの壺に攻撃を集中、前衛は魔法使いの護衛だ!」

「わかった!」

「了解!」

「まかせろ!」

 それぞれが立ち位置を調整し、魔法が壺を燃やして地面に落ちた。

「よし、いくぞ!」

 ブラスティーと同時にダッシュして根元に斬りつける。壺が再生を始めたが魔法が絶え間なく飛んできて再生を許さない。劇薬が降ってこなければずっとくっついていられる!
 壺が再生できないのでハエトリグサが俺とブラスティーに集中攻撃を始めた。今度は自分の体を傷付けてでも引き離すつもりだろう。

とつ散型さんがた!」

 ブラスティーが防御無視攻撃を使った。俺に使った一点集中とは違い、広範囲に威力が拡散するモノのようだ。根元が大きく吹き飛んだ。

 くそう、攻撃スキルが羨ましい! 俺はひたすらアダマタイトの斧で斬りまくるしかない。
 ハエトリグサを斬り本体を斬る、俺にはこれしかできないから。

 むちのような無数の茎が暴れ、二枚貝に爪が付いたような葉が俺を捕まえようと迫る。
 少しハエトリグサに気を取られると本体が再生してしまうから気が抜けない。

 そろそろ本体の太さが半分になる。もう少しで重さに耐えきれず倒れるはずだ!
 あと一歩、というところでビジランティの動きが変わった。
 本体を覆っていた茎のすべてを使って攻撃してきたのだ。

「これっ!動くのかよ!」

「つべこべ言わずに斬るのだ! 数が多すぎる!」

 視界全てが荒れ狂う茎で覆われる。しかも地面すれすれを薙ぎ払うような動きもするため立っている事すらままならない。
 これはマズイ! リアやアズベル達は大丈夫なのか!?

 茎の鞭攻撃が10分以上は続いただろうか。やっと収まり周囲を確認すると、立っているのは俺とブラスティー、リアとアズベルの4人だけだった。
 後は冒険者も騎士団も、あちこちに吹き飛ばされている。

「チッ、役立たず共が」

「お前、あんな攻撃に耐えろって方が無理だろう」

「だが俺達は立っている」

「そりゃそうさ、この4人はこの世界のトップクラスだ」

 茎が本体に集まり何かを形作っている。あれは花か? 地面に巨大な花が咲き、その上に人が立っている。あれは……あれはほこらの石像と同じ形じゃないか!

 先程より大きさは随分と小さくなっているが、それでも50メートルはあるだろうか。
 人型の植物、いやよく見るとすべてが茎で出来ている。手も足も胴体も顔も、全て茎で構成されている。地面から咲いている巨大な花と、両手両肩の花だけは本物のようだ。

 状況が変わりすぎなので、リアとアズベルと合流した。

「おいおい、ありゃ一体何なんだ?」

「茎でできた顔が気持ち悪いよ……」

「第二形態に変わったって所かな」

「ゲームのボスキャラかコイツは」

「お前もボスキャラだったんだから第二形態になればよかったのに」

「なれるか!バカモノ!」
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる

三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。 こんなはずじゃなかった! 異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。 珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に! やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活! 右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり! アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。

大根令嬢の雑学無双、王弟殿下を添えて。~ 前世を思い出したので、許婚をほったらかして人助けしまくります!!

古森真朝
恋愛
気弱な伯爵令嬢のカレンは、自分勝手な婚約者レナートに振り回されていた。耐え続けていたある日、舞踏会で何者かに突き飛ばされ、階段から落ちてしまう。 その傷が元で儚く……なるかと思いきや。衝撃で前世を思い出したカレンは一転、かの『ド根性大根』みたいな超・ポジティブ人間になっていた。 『モラハラ婚約者の思惑なんぞ知るか!! 今度こそ好きなことやって、目いっぱい幸せに長生きするんだから!!!』 昔ひたすら読書に耽って身に着けた『雑学』を武器に、うっかり採れ過ぎた作物や、開墾しようとすると不幸に見舞われる土地、不治の病にかかった王族、等々の問題をどんどん解決。 領地の内外で心強い友人が出来たり、いつの間にかものすごく有名になっていたり、何かと協力してくれる王弟ヴィクトルから好意を寄せられたり(注:気付いてない)する中、温かい家族と共に仕事に励んでいく。 一方、前世から因縁のある人々もまた、こちらに転生していて――

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

転生したら脳筋魔法使い男爵の子供だった。見渡す限り荒野の領地でスローライフを目指します。

克全
ファンタジー
「第3回次世代ファンタジーカップ」参加作。面白いと感じましたらお気に入り登録と感想をくださると作者の励みになります! 辺境も辺境、水一滴手に入れるのも大変なマクネイア男爵家生まれた待望の男子には、誰にも言えない秘密があった。それは前世の記憶がある事だった。姉四人に続いてようやく生まれた嫡男フェルディナンドは、この世界の常識だった『魔法の才能は遺伝しない』を覆す存在だった。だが、五〇年戦争で大活躍したマクネイア男爵インマヌエルは、敵対していた旧教徒から怨敵扱いされ、味方だった新教徒達からも畏れられ、炎竜が砂漠にしてしまったと言う伝説がある地に押し込められたいた。そんな父親達を救うべく、前世の知識と魔法を駆使するのだった。

社畜サラリーマン、異世界でパンと魔法の経営革命

遊鷹太
ファンタジー
過労死寸前の30代サラリーマン・佐藤健は、気づけば中世ヨーロッパ風の異世界に転生していた。与えられたのは「発酵魔法」という謎のスキルと、前世の経営知識。転生先は辺境の寒村ベルガルド――飢えと貧困にあえぐ、希望のない場所。「この世界にパンがない…だと?」健は決意する。美味しいパンで、人々を笑顔にしよう。ブラック企業で培った根性と、発酵魔法の可能性。そして何より、人を幸せにしたいという純粋な想い。小さなパン屋から始まった"食の革命"は、やがて王国を、大陸を、世界を変えていく――。笑いあり、涙あり、そして温かい人間ドラマ。仲間たちとの絆、恋の芽生え、強大な敵との戦い。パン一つで世界を救う、心温まる異世界経営ファンタジー。

【完結】憧れのスローライフを異世界で?

さくらもち
ファンタジー
アラフォー独身女子 雪菜は最近ではネット小説しか楽しみが無い寂しく会社と自宅を往復するだけの生活をしていたが、仕事中に突然目眩がして気がつくと転生したようで幼女だった。 日々成長しつつネット小説テンプレキターと転生先でのんびりスローライフをするための地盤堅めに邁進する。

第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。

黒ハット
ファンタジー
 前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。  

異世界転生ファミリー

くろねこ教授
ファンタジー
辺境のとある家族。その一家には秘密があった?! 辺境の村に住む何の変哲もないマーティン一家。 アリス・マーティンは美人で料理が旨い主婦。 アーサーは元腕利きの冒険者、村の自警団のリーダー格で頼れる男。 長男のナイトはクールで賢い美少年。 ソフィアは産まれて一年の赤ん坊。 何の不思議もない家族と思われたが…… 彼等には実は他人に知られる訳にはいかない秘密があったのだ。

処理中です...