避暑と期待は偶然と君

うたん

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避暑と期待は偶然と君

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僕は図書室が好きだ、静かだし冷房も効いてるし、そしてなにより…

少女「…」

今、ゆっくりとした靴音と共に図書室に入ってきた彼女、桃葉のことが好きなのだ。
彼女との出会いはほんの数日前、僕が、外が暑くなってきて、涼むために図書室へ通うようになってからだ。
放課後、僕はすぐに図書室へ行く、そしてその数分後、16時頃になると彼女はやってくる、艶やかな髪、優しい瞳、そして

桃葉「今日も涼んでるの?」

その、細い金属のような可愛らしくも芯のある声、そんな彼女に惚れたのだ。

僕「うん、今日も暑いから…」
桃葉「どんどん暑くなるもんね」

この数日で、桃葉とはすっかり仲良くなった、きっかけは彼女が読んでいた本、それは本を読まない僕がたまたま前に読んだことのある本で、おもわず話しかけてしまった時である。

桃葉「ねぇ、あの本、続編が出たんだって、一緒に読む?」

そう言って一冊の本を見せてくる

僕「うん、読む」
桃葉「…!わかった!」

そう言うと、桃葉は僕の隣へ座り、机に本を広げる。
涼しい図書室でふたり、一冊の本を読んでいる、少しのエアコンの音とページをめくる音、そしてふたりの息遣い。
数分後、少し姿勢を変えようと顔を上げた、その時、桃葉と目が合った。
僕が顔を上げ、視線を向けた瞬間に目が合った、でも、目が合ったけど、すぐ逸らされた、何も言葉を交わすことなく。
偶然目が合っただけ、言葉を交わす必要などないから、何も言わなかった、ただそれだけのこと。
でも、僕は気づいてしまった、僕が顔を上げる前、本へ視線が向いている時の視野の端に映っていた桃葉は、もう既に僕の方を向いていた。
それすら、ほんの偶然かもしれない、でも、少しだけこんな期待を抱いてしまうのだ。


もしかしたら、彼女は─────
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