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好きと共に
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僕「ほんと、この街は綺麗だなぁ」
夜の22時頃、僕はビルの屋上に立って、明るい街を見下ろしていた。
子供の頃は、この時間になると家から出たらいけないような、1日が終わるような時間だったが、街は明るい光が蔓延っていた。
耳をすませば、かすかに聞こえる大人たちの笑い声、きっと酔っ払いだろう、居酒屋や夜の店、そして残業中であろうビルの中でぽつぽつと光る窓、それら全て含めた、この街の夜景だ。
僕はこの街が好きだ、店も設備も充実していて、いつの時間も孤独を感じない。
僕「あと…5分か」
手元のスマホを見る、22時55分を示す。
僕は今日、この街と共に別れを告げる、この世界に。
この街は、明るい。
光が強すぎるのだ、街の中を歩けば、最初は目が痛くなるほどの煌びやかな看板たち、そして至る所から聞こえる耳が痛いほどの大人たちの声、こんなに明るい場所だからこそ、光が強いからこそ、影が濃くなり、生きる気力を削いでいく。
みんな、心に影を宿す。
その影は人が生きていく上で邪魔となり、不快なものだ、誰しも持っていたくないだろう。
そして、会社などで人の上に立つ人ほど、その影を下の人間に叩きつける、その不快なものを自分から取り払おうとしているかのように。
影は消えない、その影で誰かを叩いた時、一時的に麻痺することはあっても、消えることは無いのだ。
でも、増えることはある、叩かれた影は、その力を増し、やがて憎悪となる、そして、最終的には無となる。
僕ももう、限界だった、上司の不快を、取り払えるはずの無い不快を、僕たち部下は叩きつけられる。
生きる気力を、削がれていく。
でも、今となっては、どうでもいいことで、そして、今日のために色々準備をしてきた、時間がかかったせいか、ここまで嫌になった理由を忘れてしまった。
いや、忘れたかったのかもしれない。
23時を告げるアラームが鳴る。
一瞬、時が止まったような静寂、聴覚が麻痺したように音が消え、視覚のみに委ねられる。
その、瞬間だった。
瞬きした次に映った街は、先程までの夜景が嘘のように火の海となっていた。
視界が真っ赤に染まったと思ったら、次は熱風が僕を包み込む。
街中に仕掛けていた爆弾が、一斉に起爆したのだ。
轟音が響き、電気の明かりは消え、炎の明かりが支配する。
僕「綺麗だなぁ、僕も…一緒に…」
そう言って火の海と化した街に僕は、身を任せる。
炎へ迫る、でも、不思議と熱さは感じない、むしろ暖かい。
僕はこの街が好きだ、店も設備も充実していて、いつの時間も孤独を感じない。
でも、影が強すぎた、本来人が抑えるはずの影に、この街の人達は支配された。
自分の影を制御できない馬鹿ばかり。
空気を押しのける、風が耳に当たって、音を遮断する、そんな感覚に浸っていた時、ふと目に入ったビルの中の景色、そこには、轟音が響き火の海が広がっているのにも関わらず残業をしている人がいた。
パッと見ただけで分かるほどの書類の山…外の音や景色など、見る余裕も無かったのだろう。
僕「ほんと…この街は…」
そんな言葉を吐いた後、街と共に、僕はこの世界へ別れを告げた。
その炎は、人の心の影のように、どこまでも広がっていた。
夜の22時頃、僕はビルの屋上に立って、明るい街を見下ろしていた。
子供の頃は、この時間になると家から出たらいけないような、1日が終わるような時間だったが、街は明るい光が蔓延っていた。
耳をすませば、かすかに聞こえる大人たちの笑い声、きっと酔っ払いだろう、居酒屋や夜の店、そして残業中であろうビルの中でぽつぽつと光る窓、それら全て含めた、この街の夜景だ。
僕はこの街が好きだ、店も設備も充実していて、いつの時間も孤独を感じない。
僕「あと…5分か」
手元のスマホを見る、22時55分を示す。
僕は今日、この街と共に別れを告げる、この世界に。
この街は、明るい。
光が強すぎるのだ、街の中を歩けば、最初は目が痛くなるほどの煌びやかな看板たち、そして至る所から聞こえる耳が痛いほどの大人たちの声、こんなに明るい場所だからこそ、光が強いからこそ、影が濃くなり、生きる気力を削いでいく。
みんな、心に影を宿す。
その影は人が生きていく上で邪魔となり、不快なものだ、誰しも持っていたくないだろう。
そして、会社などで人の上に立つ人ほど、その影を下の人間に叩きつける、その不快なものを自分から取り払おうとしているかのように。
影は消えない、その影で誰かを叩いた時、一時的に麻痺することはあっても、消えることは無いのだ。
でも、増えることはある、叩かれた影は、その力を増し、やがて憎悪となる、そして、最終的には無となる。
僕ももう、限界だった、上司の不快を、取り払えるはずの無い不快を、僕たち部下は叩きつけられる。
生きる気力を、削がれていく。
でも、今となっては、どうでもいいことで、そして、今日のために色々準備をしてきた、時間がかかったせいか、ここまで嫌になった理由を忘れてしまった。
いや、忘れたかったのかもしれない。
23時を告げるアラームが鳴る。
一瞬、時が止まったような静寂、聴覚が麻痺したように音が消え、視覚のみに委ねられる。
その、瞬間だった。
瞬きした次に映った街は、先程までの夜景が嘘のように火の海となっていた。
視界が真っ赤に染まったと思ったら、次は熱風が僕を包み込む。
街中に仕掛けていた爆弾が、一斉に起爆したのだ。
轟音が響き、電気の明かりは消え、炎の明かりが支配する。
僕「綺麗だなぁ、僕も…一緒に…」
そう言って火の海と化した街に僕は、身を任せる。
炎へ迫る、でも、不思議と熱さは感じない、むしろ暖かい。
僕はこの街が好きだ、店も設備も充実していて、いつの時間も孤独を感じない。
でも、影が強すぎた、本来人が抑えるはずの影に、この街の人達は支配された。
自分の影を制御できない馬鹿ばかり。
空気を押しのける、風が耳に当たって、音を遮断する、そんな感覚に浸っていた時、ふと目に入ったビルの中の景色、そこには、轟音が響き火の海が広がっているのにも関わらず残業をしている人がいた。
パッと見ただけで分かるほどの書類の山…外の音や景色など、見る余裕も無かったのだろう。
僕「ほんと…この街は…」
そんな言葉を吐いた後、街と共に、僕はこの世界へ別れを告げた。
その炎は、人の心の影のように、どこまでも広がっていた。
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