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33 秘密を分かってらっしゃる
しおりを挟むうちの家紋の入った馬車がブランシェ様のお家についた時、ざわりと会場が揺れたらしいのです。
「フェ、フェンルース家の……ご一家様、ご到着であります! 」
「フェンルース候、奥方様、エヴァン様、アリシア様です! 」
ルストバーン家の執事が声高に公爵様に伝えると、公爵様自ら私達の出迎えに来てくれたなんて……申し訳なさすぎます。
お父様とお母様が降り、私がお兄様の手を取って降り立つと、屋敷の方からルストバーン公が笑顔でやって来られるではないですか。一体どうしたのかしら?
「フェンルース候!お体は宜しいのですか」
「おお!長年不義理にしていて申し訳ない。胸のつかえが取れると何とも心地よい気分でしての。久しぶりに旧友を尋ねたくなりまして、こうしてお邪魔させていただいた次第です」
「ほう……胸のつかえですか。もしや来月の参内は……」
「さてはて、来月の事は分かりませんが、中頃でしたらちょうど風邪をひく予定ですなあ」
お父様がにやりと笑い、ルストバーン公爵も「なるほど」と笑っている。来月の中頃……あれですね、国王のお誕生日会があるからそれの事かしら?必ず毎年無理を押して出ていたけれど、出ないんですね、フェンルース家は。あー良かった、私も王城に行きたくないし確かに胸のつかえがとれました~~。
「奥方様もお久しゅう。家内が首を長くして待っておりますよ」
「まあ!ルージュに久しぶりに会えると私もとての楽しみにしておりましたのよ……、エヴァン、アリシアいらっしゃい。こちらがルストバーン公ですよ。エヴァンはもう知っているわね。公爵様、娘のアリシアですわ。ブランシェ様とは仲良くさせて頂いております」
「アリシアです、どうぞお見知りおきを」
下手くそながら、精一杯のカーテシー。ほんとに体幹が鍛えられてないからすぐにぐらつくのよ……情けない。
「はは!これはお可愛らしい!娘からは常々話はきいていますよ、今日はこじんまりとした催しです、肩の力を抜いて」
「ありがとうございます、公爵閣下」
「エヴァン君も久しぶりだね、息災か?」
「ええ、私はいつも元気ですよ」
「あらやだ、エヴァンったら!」
「はは、こやつも言うようになったなぁ」
大人達の会話を笑顔で聞いている。笑顔が一番、なんでも誤魔化せるわ。
「こんなところで立ち話もなんだ。中へ来て下され。息子のノワールも紹介したい」
「おお、嫡男殿か。我らも是非挨拶をしたいですよ」
「ははっ、まだまだですがな。ささ、どうぞ」
た、助かるわー……実は馬車の移動が辛くて早く休みたいのよ。実際お父様もお母様もふらふらなんだけど、流石にそんな素振りを見せずに歩いている。凄い!私はちょっと辛い……。
「アリー掴まって。もうちょっとで揺れない椅子だよ」
「助かります、お兄様」
お兄様にもたれるように歩いて行くと休憩用の個室まで完備されていた!流石ブランシェ様のご実家!分かってらっしゃるー。
「ふう……」
「ふう……」
「ふう……」
「ははっ」
笑う事はないわよっ。お兄様!
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