【完結】悪役令嬢はご病弱!溺愛されても断罪後は引き篭もりますわよ?

鏑木 うりこ

文字の大きさ
69 / 78

69 祝福の秘密の正体は

しおりを挟む
「それにしても許せない。相手が国王だから我々では強く断罪もできないが、ヴィクターはそれなりの咎を受けさせたい」

 ファルク様がいつもの柔和な笑顔が裸足で逃げ出した怒りの表情を見せている。本気で怒ったファルク様は初めて見たけれど、これは怖い……!

「ちょっと色々再起不能になってもらうしかないかしらね」

 ブランシェ様も真顔で空恐ろしいことを呟いているし、ミオさんは何か分厚い本を捲りながら呟いている。

「確かこの神殿に伝わる禁書の中に神の怒りにより滅ぼす破滅系魔法があったはずで……」

 やめてください、ミオさん。それは国家都市を滅亡させる系ではないでしょうか?

「お、闇討ち?俺、最近黒いマスクを新調したんだ!やるやる~!」

 クレス様は何故か真っ黒なマスクを持って嬉しそうで、本当に困るけれど、心遣いがとても嬉しい。

「多分大丈夫ですよ。あの三人はこれから生きて行くのも苦しくなりますから」
「エ、エヴァンお兄様?それはどういうことですか」

 生きるのが苦しいなんて……随分酷い話なのですけれど。そしてお兄様はあの時の妖精の祝福について皆に教えてくれた。

「妖精は今は見えたり感知できる人間が減っていて、寂しいんだ。だから少しでも見えたり聞こえたりできるフェンルースに良く遊びに来ている。今もたくさんいて、色々ないたずらをしている。アリーも知っているよね?歌を歌うと悪口が聞こえるって言ってたもの」
「ええ……小さな頃はとても嫌で怖くて……歌うのをやめていましたが、あれが妖精の声だったなんて」
「アリーは歌によって力が増幅されるタイプだったらしい。歌う事で妖精の声が聞こえ……聞こえると知った妖精達はアリーに飛びついた。暇だったんだよ、妖精も。そして悪口を」
ですか」
「妖精の本分はある意味悪戯だからね……」

 ちょっとこの辺りは許せないけれど、今回たくさん助けてもらったしもう酷いことは言わないと約束したので水に流してあげよう……。

「で、どうしてその祝福を受けると生きるのが苦しくなるんだい?」

 ファルク様の質問にお兄様が頷いて続きを教えてくれた。

「祝福にはいろいろな種類があります。その中でも彼等には「年輪の祝福」が送られました。見たでしょう、額にある木の年輪のような丸い輪がいくつも重なったものを」
「わたくしは見ましたけれど、年輪というより矢を射る時の的のようでした」
「まさにその通りなのです。ブランシェ様」

 お兄様はそこで一度話を切り、にこりと笑った。

「通常の人達が目に見えているのは額の一つだけなのですが、あの方たちは全身にあの年輪……いえ、的がある状態なのです。そしてあの的の目印がある人間は……妖精がいくら悪戯してもいい人間と認識された印なんです」
「ど、どういうことなんだ?エヴァン」
「ですから、全身の的に向かって妖精はいろいろな攻撃を仕掛けるでしょう。見えない石を投げるかもしれません、妖精の矢を射るかもしれません。魔法の的にするかもしれませんね。そしてどれも一撃で死に至らしめるほど強い攻撃はしないでしょう……妖精達も長く遊びたいですから」
「す、するとあの三人は常時妖精から攻撃を受け続けるのか?」
「ええ、見えない彼等にはなぜ痛むのか、なぜ不調になるのか……常時耳元で何かを囁かれる。人間の医者も妖精を見ることができれば分かるかもしれませんが……原因は見つけられないでしょうね」

 あの泣き出したい耳を塞ぎたくなるような悪口を常時言われ続ける?考えただけで寒気がするような話だった。実際にファルク様とブランシェ様は顔を青くしてしまった。

「へん、いい気味よ」
「だな!」

 全面合意してくれたのはミオさんとクレス様だけだったわ……。


しおりを挟む
感想 74

あなたにおすすめの小説

溺愛最強 ~気づいたらゲームの世界に生息していましたが、悪役令嬢でもなければ断罪もされないので、とにかく楽しむことにしました~

夏笆(なつは)
恋愛
「おねえしゃま。こえ、すっごくおいしいでし!」  弟のその言葉は、晴天の霹靂。  アギルレ公爵家の長女であるレオカディアは、その瞬間、今自分が生きる世界が前世で楽しんだゲーム「エトワールの称号」であることを知った。  しかし、自分は王子エルミニオの婚約者ではあるものの、このゲームには悪役令嬢という役柄は存在せず、断罪も無いので、攻略対象とはなるべく接触せず、穏便に生きて行けば大丈夫と、生きることを楽しむことに決める。  醤油が欲しい、うにが食べたい。  レオカディアが何か「おねだり」するたびに、アギルレ領は、周りの領をも巻き込んで豊かになっていく。  既にゲームとは違う展開になっている人間関係、その学院で、ゲームのヒロインは前世の記憶通りに攻略を開始するのだが・・・・・? 小説家になろうにも掲載しています。

【完結】悪役令嬢は3歳?〜断罪されていたのは、幼女でした〜

白崎りか
恋愛
魔法学園の卒業式に招かれた保護者達は、突然、王太子の始めた蛮行に驚愕した。 舞台上で、大柄な男子生徒が幼い子供を押さえつけているのだ。 王太子は、それを見下ろし、子供に向って婚約破棄を告げた。 「ヒナコのノートを汚したな!」 「ちがうもん。ミア、お絵かきしてただけだもん!」 小説家になろう様でも投稿しています。

〖完結〗死にかけて前世の記憶が戻りました。側妃? 贅沢出来るなんて最高! と思っていたら、陛下が甘やかしてくるのですが?

藍川みいな
恋愛
私は死んだはずだった。 目を覚ましたら、そこは見知らぬ世界。しかも、国王陛下の側妃になっていた。 前世の記憶が戻る前は、冷遇されていたらしい。そして池に身を投げた。死にかけたことで、私は前世の記憶を思い出した。 前世では借金取りに捕まり、お金を返す為にキャバ嬢をしていた。給料は全部持っていかれ、食べ物にも困り、ガリガリに痩せ細った私は路地裏に捨てられて死んだ。そんな私が、側妃? 冷遇なんて構わない! こんな贅沢が出来るなんて幸せ過ぎるじゃない! そう思っていたのに、いつの間にか陛下が甘やかして来るのですが? 設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。

【完結】赤ちゃんが生まれたら殺されるようです

白崎りか
恋愛
もうすぐ赤ちゃんが生まれる。 ドレスの上から、ふくらんだお腹をなでる。 「はやく出ておいで。私の赤ちゃん」 ある日、アリシアは見てしまう。 夫が、ベッドの上で、メイドと口づけをしているのを! 「どうして、メイドのお腹にも、赤ちゃんがいるの?!」 「赤ちゃんが生まれたら、私は殺されるの?」 夫とメイドは、アリシアの殺害を計画していた。 自分たちの子供を跡継ぎにして、辺境伯家を乗っ取ろうとしているのだ。 ドラゴンの力で、前世の記憶を取り戻したアリシアは、自由を手に入れるために裁判で戦う。 ※1話と2話は短編版と内容は同じですが、設定を少し変えています。

夫に顧みられない王妃は、人間をやめることにしました~もふもふ自由なセカンドライフを謳歌するつもりだったのに、何故かペットにされています!~

狭山ひびき
恋愛
もう耐えられない! 隣国から嫁いで五年。一度も国王である夫から関心を示されず白い結婚を続けていた王妃フィリエルはついに決断した。 わたし、もう王妃やめる! 政略結婚だから、ある程度の覚悟はしていた。けれども幼い日に淡い恋心を抱いて以来、ずっと片思いをしていた相手から冷たくされる日々に、フィリエルの心はもう限界に達していた。政略結婚である以上、王妃の意思で離婚はできない。しかしもうこれ以上、好きな人に無視される日々は送りたくないのだ。 離婚できないなら人間をやめるわ! 王妃で、そして隣国の王女であるフィリエルは、この先生きていてもきっと幸せにはなれないだろう。生まれた時から政治の駒。それがフィリエルの人生だ。ならばそんな「人生」を捨てて、人間以外として生きたほうがましだと、フィリエルは思った。 これからは自由気ままな「猫生」を送るのよ! フィリエルは少し前に知り合いになった、「廃墟の塔の魔女」に頼み込み、猫の姿に変えてもらう。 よし!楽しいセカンドラウフのはじまりよ!――のはずが、何故か夫(国王)に拾われ、ペットにされてしまって……。 「ふふ、君はふわふわで可愛いなぁ」 やめてえ!そんなところ撫でないで~! 夫(人間)妻(猫)の奇妙な共同生活がはじまる――

転生したら悪役令嬢だった婚約者様の溺愛に気づいたようですが、実は私も無関心でした

ハリネズミの肉球
恋愛
気づけば私は、“悪役令嬢”として断罪寸前――しかも、乙女ゲームのクライマックス目前!? 容赦ないヒロインと取り巻きたちに追いつめられ、開き直った私はこう言い放った。 「……まぁ、別に婚約者様にも未練ないし?」 ところが。 ずっと私に冷たかった“婚約者様”こと第一王子アレクシスが、まさかの豹変。 無関心だったはずの彼が、なぜか私にだけやたらと優しい。甘い。距離が近い……って、え、なにこれ、溺愛モード突入!?今さらどういうつもり!? でも、よく考えたら―― 私だって最初からアレクシスに興味なんてなかったんですけど?(ほんとに) お互いに「どうでもいい」と思っていたはずの関係が、“転生”という非常識な出来事をきっかけに、静かに、でも確実に動き始める。 これは、すれ違いと誤解の果てに生まれる、ちょっとズレたふたりの再恋(?)物語。 じれじれで不器用な“無自覚すれ違いラブ”、ここに開幕――! 本作は、アルファポリス様、小説家になろう様、カクヨム様にて掲載させていただいております。 アイデア提供者:ゆう(YuFidi) URL:https://note.com/yufidi88/n/n8caa44812464

前世の記憶が蘇ったので、身を引いてのんびり過ごすことにします

柚木ゆず
恋愛
 ※明日(3月6日)より、もうひとつのエピローグと番外編の投稿を始めさせていただきます。  我が儘で強引で性格が非常に悪い、筆頭侯爵家の嫡男アルノー。そんな彼を伯爵令嬢エレーヌは『ブレずに力強く引っ張ってくださる自信に満ちた方』と狂信的に愛し、アルノーが自ら選んだ5人の婚約者候補の1人として、アルノーに選んでもらえるよう3年間必死に自分を磨き続けていました。  けれどある日無理がたたり、倒れて後頭部を打ったことで前世の記憶が覚醒。それによって冷静に物事を見られるようになり、ようやくアルノーは滅茶苦茶な人間だと気付いたのでした。 「オレの婚約者候補になれと言ってきて、それを光栄に思えだとか……。倒れたのに心配をしてくださらないどころか、異常が残っていたら候補者から脱落させると言い出すとか……。そんな方に夢中になっていただなんて、私はなんて愚かなのかしら」  そのためエレーヌは即座に、候補者を辞退。その出来事が切っ掛けとなって、エレーヌの人生は明るいものへと変化してゆくことになるのでした。

大好きだった旦那様に離縁され家を追い出されましたが、騎士団長様に拾われ溺愛されました

Karamimi
恋愛
2年前に両親を亡くしたスカーレットは、1年前幼馴染で3つ年上のデビッドと結婚した。両親が亡くなった時もずっと寄り添ってくれていたデビッドの為に、毎日家事や仕事をこなすスカーレット。 そんな中迎えた結婚1年記念の日。この日はデビッドの為に、沢山のご馳走を作って待っていた。そしていつもの様に帰ってくるデビッド。でもデビッドの隣には、美しい女性の姿が。 「俺は彼女の事を心から愛している。悪いがスカーレット、どうか俺と離縁して欲しい。そして今すぐ、この家から出て行ってくれるか?」 そうスカーレットに言い放ったのだ。何とか考え直して欲しいと訴えたが、全く聞く耳を持たないデビッド。それどころか、スカーレットに数々の暴言を吐き、ついにはスカーレットの荷物と共に、彼女を追い出してしまった。 荷物を持ち、泣きながら街を歩くスカーレットに声をかけて来たのは、この街の騎士団長だ。一旦騎士団長の家に保護してもらったスカーレットは、さっき起こった出来事を騎士団長に話した。 「なんてひどい男だ!とにかく落ち着くまで、ここにいるといい」 行く当てもないスカーレットは結局騎士団長の家にお世話になる事に ※他サイトにも投稿しています よろしくお願いします

処理中です...