【完結】愛する親友とゲーム転生をしたのに捨てられ賢者の俺は元魔王に愛されすぎてつらい

鏑木 うりこ

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ゲームの世界へ転生召喚?

9 え? ん?

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「魔領では許された人間しかズボンは履けぬのだ……履くと…」

「いや!流石にそれは嘘だ!!!」

「チッ」

 舌打ちしやがった!この元魔王!

「……もしかして、ぱんつの話も嘘か……?」

「そんなことないぞ?シュウよ」

 目が泳いでる。嘘だな?!

「こんなぱんつ脱いでやる!」

「その脱ぎ立てぱんつは俺がいただこう」

「え?」

「ん?」

 桐生、頼む!この元魔王をもう一度畳んでくれないかな?!?!



「どちらにしろ、シュウは私の所有物になったのだから色々諦めて貰うしかない」

「桐生が俺をあんたに売ったのか……」

「ああ、ここでの生活全ての世話を我が家でみてやる代わりにな。魔王になってもそれだけでどうにかなる物でもない。魔領にも派閥もあれば、対立もある。まあ桐生はお前のせいで魔王になった。お前は桐生のせいで私のものになった。等価交換ではないか?」

「……等価交換かな……?」

 俺は桐生の人生を狂わせた……あれ?俺の人生も狂ったな?
 桐生は俺のせいで愛した女性に……あれ?俺も愛した桐生と離れ離れに。

「あれ?釣り合い取れた?」

「そう言う事だ」

「え?うん、アリガト……?」 


「所でこのパッツンパッツンでカタチが外からみても丸わかり!な上に際どいスリットが入ってベルトがいっぱいついてる性的なズボンと、ギリギリまでみじかくて尻やら、アレやらがチラ見えする短いズボンどっちが良いか?」

「致命的だな?!」

「じゃあズボン無しで生きてくれ。お前を性的な目で見る奴がいたらとりあえず殺しておくから安心すると良い」

「流石元魔王だな?!」

 仕方がないので布団をかぶって桐生の夢でも見ながら幸せに寝るわ!と言ったら泣きながら

「ズボンはあげますから、一緒にお出かけして下さい」

 と言われたので渋々了解した。

 魔領で一般的な馬、スケルトンホースに引かれた馬車に乗り込み、俺はガタゴトと魔王城から出発した。天気の良いお出かけ日和だった。

「お前、元魔王なのに魔王城に住んでるの?」

「新しい魔王が来たら引っ越そうと思っていたんだ。業務の引き継ぎとかあるだろう?ホウレンソウだ、ほーれんそー」

 まさかこの世界で報告・連絡・相談のホウレンソウを聞くとは社畜の苦味がせり上がって来そうだが、この頭の中身が残念そうな元魔王から知能を感じる言葉が出たのに驚いた。

「キュリオが来てくれて良かったよ。面倒な魔王業も辞められるし、シュウは手に入るし。なんて俺得」
 
 駄目だコイツ。しかし、カッツコッツと整備された道を走る馬の蹄の音と、適度な揺れがどんどん俺の目蓋を誘惑するのだ。
 ああ、向こうの世界で桐生が笑いながら手を振っている……。桐生~待ってくれ~俺も行くぅ~~スヤァ。 

「シュウ?寝たのか?」

 優しく囁く、俺好みじゃない声が聞こえた気がしたが、俺は夢の中の桐生の腕に飛び込んでいたのだった。

「にやにやして、どんな夢を見ているのか……キュリオの夢だろうな」

 フィオールは深くため息をついた。

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