【完結】愛する親友とゲーム転生をしたのに捨てられ賢者の俺は元魔王に愛されすぎてつらい

鏑木 うりこ

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ゲームの世界へ転生召喚?

12 ディアーナは逃げ出した!

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「はぁ……結界さえ出来上がっていればこんな魔物など入って来られないものを……」

 アリシアルタは悔しげに呟き、私の方をちらりと見て……ため息をついた。どうせ私がシュウを逃したのが悪いって言いたいんでしょう?
 でもみんな見ていたんだからね?シュウは無理やりキリオに連れて行かれたんだ。
 キリオが魔王みたいになっていなくなったのはアリシアルタ、あんたのせいだからね。

 全部あんたのせいだからね、みんな気付いてるんだからね?

「いなくなったシュウの事を嘆いても仕方がないですわね……幸い私たち2人は残っているのですから、2人で結界を完成させましょう?」

 アリシアルタはそう言うが、私の方こそため息しかでない。

「どうやって?」

「え?」 

「どうやって結界を作るのって聞いてんのよ!一回も会議にも顔を出さないし、構築も設計も……そういう面倒臭い事に一度も顔を出さなかったあんたが!」

「そ、それはディアーナさんが知っているでしょう?」

「知ってる訳ないじゃない!あんな難しい術式、私が理解できる訳ないわ!」

 悔しいけれど、シュウのやっていた事は全然分からない。ただシュウの手伝いで、指定された時、指定された場所に魔力を流しただけだ。

「と、当代最高の魔法使いなんですよね……ディアーナさんは……」

「そうよ!魔力保有量はね!それもシュウの三分の一だけどね!?」

 確かにシュウという賢者に出会う前は私も魔法使いとして色々調子に乗っていた所はある。しかしだ、パーティを組むようになって自分がいかに使えない人間か知る事になった。
 命中精度が壊滅的なのだ。1人で戦うならなんの問題もない。しかし、勇者パーティでとなると、必ず味方に当ててしまう。

「お願いだから何もしないで!戦闘中後ろから攻撃されるのを注意しながら戦えないから!」

 何度も何度もシュウに言われた。でも手を出してあの召喚された2人に怪我を負わせたことなど数え切れない。
 落ち込むがシュウはフォローもしてくれたし、狙う必要のない、大規模な殲滅は私にやらせてくれたりもした。
 2人は失敗する私を捨てようとはしなかった。それなのに、アリシアルタはキリオを捨てた。

「じゃあ……じゃあ!結界はどうすれば良いのですか!?」

「知らないわよ!自分で考えなさいよ!人のせいにばっかりして、私はもう知らない!さようなら!2度と会う事はないでしょう!」

 前時代的!みんなそう言ったが、キリオとシュウは大喜びしたホウキを取り出す。そして跨がると

「じゃあね!えぐれ胸のアリシアルタ!」

 大きな声で叫んで飛び上がった。もう逃げるのは今しかない!ただのいつものケンカだと思わせておく。

「魔力は貯めておくこと、いつも使う物はちゃんと1番良い物に変えておくこと」

 高速飛行型ほうきユニット。ゴォーっと音を立てて垂直にあがり、そのまま国外逃亡した。フルスロットルで魔力を回し、一気にこの国を飛び出す。荷物?お金??そんなものはまた稼げばいい、増やせばいい。

 こんな国に残ってともに沈没したくない。もし残っていたら、王の名の下に拘束され、色々面倒だっただろう。アリシアルタならやりかねない。

「遠くへ!遠くへ逃げなくちゃ!」

 魔法と、キリオとシュウについて回って得た知識があれば、そこそこの暮らしは出来るだろう。

「あの2人、仲直り出来れば良いな」

 ほうきは空を切り裂いて、わたしは脱出成功した。

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