元王太子からは逃げられない!前世からの婚約者らしいですが幸せにはなれるらしい

鏑木 うりこ

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14 スパダリの片鱗をまざまざと

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「まあ、早々に色々見限った私はシャノンさんと結婚する為にたくさん努力をしました。サリエン領への公的支援もことあるごとに増やしまして、当初の十倍はありますよ」
「そ、それは本当に助かったけれど」

 それでも賄い切れないほど、サリエンは荒れている。

「最初が少なすぎたんです。今でも足りないでしょう? でも一気に増やすと派閥に見つかってしまうので限界でした」
「そうだったのか……」
「ですから、サリエンの隣のフィールダール領を手に入れまして」
「は?」
「そこからサリエンに支援物資を送ることにしました」
「そ、そういえば他の領に支援を求めても断られることが多かったけれど、フィールダールはいつも快く応じてくれた……」
「はい、フィールダール領主は私ですから。フィールダールからの借金は帳消しでいいですよ。これからお財布は同一ですからね」
「ほ、本当に!? 助かります、レイジェス殿下っ!」
「呼び捨てにして下さい。シャノンさん」
「レイジェス……さんっ」
「はいっ! さあ、私の胸に飛び込んできて下さいっ」
「それはさておき」
「あーん!」

 その後もレイジェス殿下……レイジェスのとんでもない告白は続いて頭が痛いんだかありがたいんだかよく分からない時間が続く。

「総評すると、レイジェスはサリエンに来たくて来る、ということで間違いない? しかも私と結婚したのも実質自分の意思ってこと?」
「その通りです! シャノン」
「なるほど……では私は元といえど王太子殿下をサリエンという辺境へお連れするのに何の罪悪感も持たなくていいということだね?」
「むしろ騙してごめんね? でもその代わりいっぱい役に立つし、損はさせないから。私を伴侶にして良かったって言わせてみせるから」
「分かった、では……末永くよろしくお願いします」
「こちらこそ、よろしくお願いします!」

 こうして私は元王太子のレイジェスと手を取り合って北へ北へと帰っていくこととなってしまったのである。

「……もう結婚して良かったってって思ってますよ」
「じゃあ……今晩もっ?!」
「それはそれ」
「えーっ!!」

 何せ抱えていた借金がほぼすべてなくなったんだ! 凄いなぁ、王太子殿下の手腕は!

「んもうっ今度は痛くしませんから」
「そういえばそれもどうなってるの!?」

 そうだった! この世界、回復魔法は物凄く貴重なんだ! それなのにレイジェスはさっき使ってたよね?! 私の尻のために。一体どういうことなの!

「ああ、それは私が聖女なんですよ、シャノン」
「意味が分からないよ」
「説明しますね!」

 良かった、説明はしてくれるらしい、助かる。
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