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23 聖女特典、その一~
「まあ、でもこれからサリエンは栄えるよ。なんせ聖女である私がここを自分のいるべき場所って定めたからね!」
「ど、どういう事?」
父上と兄上の墓標の地からゆっくり馬で戻りながら道すがら話をする。
「聖女特典その一~。聖女には土地を豊かにし、守護する力もありまーす」
「そ、そうなの?」
「傷を癒したりする能力は勿論だけどね。今まで私は王都にいたから、王都近隣の畑は肥え、害獣も少なくなってた。でも今日からサリエンがそうなるよ。フィールダールも益々豊かになると思う!」
「凄いけど……え? じゃあ王都はどうなるの?」
レイジェスはそっぽを向いて口笛を吹いた。
「しーらなーい。でも聖女様が出てけっていったしー?」
「出てけって……え、もしかしてレイジェスが王都を離れたら王都が貧しくなる事を知らないのか?」
「知らないだろうね。自分が聖女だって信じてるみたいだし」
じゃあ、王都はどうなるんだ……?
「その事実を知ってる人って誰がいるの?」
「両親……国王夫妻はしってるよ、あの場にいなかったけれど。あと神殿の偉い人だねぇ」
「神殿の人に止められなかったのか?!」
「そっちは根回し済みだからねー。サリエンにでかい神殿を建てるって張り切ってたでしょ。たくさんお金をもらうと良いよー」
「えっと……も、もしかしてその事がたくさんの人に知られてたら止められるからこんなに急いでサリエンにきたのか?!」
「まあ、そうだねぇ」
「あわわ……そんなことしていいのか……?」
「良いんじゃない? もう王太子でもないし、シャノンと結婚したし」
「わ……わぁ……」
本当に良いんだろうか? 駄目な気がするんだけど、だからといってどうしていいか私には見当がつかない。
「しばらくは大丈夫でしょ、多分。あっちには貴族もいっぱいいるし、誰かが何とかするよ。それより人手も何もかも足りないサリエンの方が大事でしょ」
「それもそうか……!」
「そうそう!」
そうだよな、サリエンより人口が多い王都ならなんとかなるよな! それより常に火の車のサリエンを立て直した方がいいよな、うん!
「戻ったら私が先にサリエンに送り込んだ者達を配置しましょう。みんなその分野においては手練れ揃いですよ、頼りになる奴らです」
「おお、それは頼もしい」
どうやら、借金を肩代わりしたり、病気や怪我を治してやったりした人達らしい。皆、レイジェス個人に忠誠を誓っていて、将来的にサリエンに移住し、着いてきてくれる事を条件に雇ったんだそうだ。
「王都で十分に経験も積んでもらいましたからどこに出しても恥ずかしくない者達ばかりです」
「助かる~!」
聞けばもう簡単な魔獣退治や、街の清掃、鍛冶屋の手伝い、パン屋の見習いなどサリエンに溶け込み始めている。
「メイドや執事見習いもいます。その辺はシャノンがついてからサリエン家に入れる予定でした。戻ったら紹介しますよ」
「た、た、たすかる~!」
「でしょう! あなたの夫は優秀なんです」
「……あ、はい」
「冷たーい!」
「ど、どういう事?」
父上と兄上の墓標の地からゆっくり馬で戻りながら道すがら話をする。
「聖女特典その一~。聖女には土地を豊かにし、守護する力もありまーす」
「そ、そうなの?」
「傷を癒したりする能力は勿論だけどね。今まで私は王都にいたから、王都近隣の畑は肥え、害獣も少なくなってた。でも今日からサリエンがそうなるよ。フィールダールも益々豊かになると思う!」
「凄いけど……え? じゃあ王都はどうなるの?」
レイジェスはそっぽを向いて口笛を吹いた。
「しーらなーい。でも聖女様が出てけっていったしー?」
「出てけって……え、もしかしてレイジェスが王都を離れたら王都が貧しくなる事を知らないのか?」
「知らないだろうね。自分が聖女だって信じてるみたいだし」
じゃあ、王都はどうなるんだ……?
「その事実を知ってる人って誰がいるの?」
「両親……国王夫妻はしってるよ、あの場にいなかったけれど。あと神殿の偉い人だねぇ」
「神殿の人に止められなかったのか?!」
「そっちは根回し済みだからねー。サリエンにでかい神殿を建てるって張り切ってたでしょ。たくさんお金をもらうと良いよー」
「えっと……も、もしかしてその事がたくさんの人に知られてたら止められるからこんなに急いでサリエンにきたのか?!」
「まあ、そうだねぇ」
「あわわ……そんなことしていいのか……?」
「良いんじゃない? もう王太子でもないし、シャノンと結婚したし」
「わ……わぁ……」
本当に良いんだろうか? 駄目な気がするんだけど、だからといってどうしていいか私には見当がつかない。
「しばらくは大丈夫でしょ、多分。あっちには貴族もいっぱいいるし、誰かが何とかするよ。それより人手も何もかも足りないサリエンの方が大事でしょ」
「それもそうか……!」
「そうそう!」
そうだよな、サリエンより人口が多い王都ならなんとかなるよな! それより常に火の車のサリエンを立て直した方がいいよな、うん!
「戻ったら私が先にサリエンに送り込んだ者達を配置しましょう。みんなその分野においては手練れ揃いですよ、頼りになる奴らです」
「おお、それは頼もしい」
どうやら、借金を肩代わりしたり、病気や怪我を治してやったりした人達らしい。皆、レイジェス個人に忠誠を誓っていて、将来的にサリエンに移住し、着いてきてくれる事を条件に雇ったんだそうだ。
「王都で十分に経験も積んでもらいましたからどこに出しても恥ずかしくない者達ばかりです」
「助かる~!」
聞けばもう簡単な魔獣退治や、街の清掃、鍛冶屋の手伝い、パン屋の見習いなどサリエンに溶け込み始めている。
「メイドや執事見習いもいます。その辺はシャノンがついてからサリエン家に入れる予定でした。戻ったら紹介しますよ」
「た、た、たすかる~!」
「でしょう! あなたの夫は優秀なんです」
「……あ、はい」
「冷たーい!」
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