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25 レイジェスの実力
サリエンにしては豪華な食事も終わり、レイジェスを伴って執務室へ向かう。
「だってー! 私達新婚なのに部屋が別だなんて!」
「事前に準備なんてしてないんだから当たり前でしょう!」
私は自室のベッドで寝たし、レイジェスは客間で寝たのだ、当たり前だ!
「だから、二人で広々寝られるベッドを手配しましたから!」
「一人で寝たら?」
「嫌ですぅー!」
そんなやり取りをしながら紙で埋もれかけた執務室へ辿り着いてしまった。あー……気が重い、動悸がするぅ~。
「さて、やりますか」
「はい」
おや? 書類の山を見ただけでレイジェスの様子が変わった。これはスイッチが入ったというやつだろう。そういえば若社長も仕事はすごく出来る人だった……私に対する圧は強かったけれど。
「王都、フィールダールへの亭主書類は全部そのまま私に下さい。他領も大抵なんとかします」
「助かります」
手当たり次第に紙を掴み、精査していく。
「これはダメです、シャノン。この商人は王都から指名手配が出ている」
「警備部へ……あー全員怪我で動けないんだ」
「何名か粋のいいのを連れて来てますから大丈夫です。明日にでも怪我を見舞いに行きましょう、任せて」
「……もしかして回復魔法を使ってくれる、とか?」
「当たり前でしょう。わたしにとっても可愛い部下ですよ、粗末になんてしません」
「レイジェス……ありがとう」
「お礼は夜にお願いします!」
「それは遠慮します」
「ひーん」
こんなやり取りをしながらも私達のペンの速度は変わらない。
「やっぱり仕事が早いですね、シャノンは」
「普通じゃないかな?」
「いえ、早いです。書類書きだけなら、私より早い……王城でも私より早い人なんていませんでしたよ。しかも字も見やすい」
「色々な人の目に触れる書類を見辛く書いてもしょうがないでしょう?」
「それはそうなんですが、そう思って実行できる人は少ないんですよ」
「はあ?」
当然のことを褒められてもなぁ……。それでも二人がかりで進めていくとどんどん仕事は減っていく。
「ああ~農業用の備品が足りない!」
「農具? フィールダールから持ってきます。支払い? 大丈夫です、そのまま持って来て下さい」
これだ、コレが一番書類が片付く理由だ。これだけ書類が溜まるのは、さぼっていたからじゃないんだ。どうやって金策するかで頭を悩ませ、金がなくて保留にしている物が多すぎるからなんだ。
「魔王を倒した時、財宝庫がありましてね。実は国に納めたのはほんの一部なんですよ。大半は実働部隊で分けました。何せ口しか動かさない奴らに渡す金はありません、命や財産を張った人達で分けるのが当然ですから。なので一番先頭にたった私はかなりいただきました。そしてそれを眠らせずに投資しまして……ふふふ、お金はいくらあってもいいですね」
「わ……わぁ……」
正直、かなり引いたがレイジェスの資産はひっくり返るほどあるらしい。
「国家転覆を2.30回やってもまだ余力がありますよ。ふふふ」
「わ、わぁ……」
敵には回さないことにしようと思う。
「だってー! 私達新婚なのに部屋が別だなんて!」
「事前に準備なんてしてないんだから当たり前でしょう!」
私は自室のベッドで寝たし、レイジェスは客間で寝たのだ、当たり前だ!
「だから、二人で広々寝られるベッドを手配しましたから!」
「一人で寝たら?」
「嫌ですぅー!」
そんなやり取りをしながら紙で埋もれかけた執務室へ辿り着いてしまった。あー……気が重い、動悸がするぅ~。
「さて、やりますか」
「はい」
おや? 書類の山を見ただけでレイジェスの様子が変わった。これはスイッチが入ったというやつだろう。そういえば若社長も仕事はすごく出来る人だった……私に対する圧は強かったけれど。
「王都、フィールダールへの亭主書類は全部そのまま私に下さい。他領も大抵なんとかします」
「助かります」
手当たり次第に紙を掴み、精査していく。
「これはダメです、シャノン。この商人は王都から指名手配が出ている」
「警備部へ……あー全員怪我で動けないんだ」
「何名か粋のいいのを連れて来てますから大丈夫です。明日にでも怪我を見舞いに行きましょう、任せて」
「……もしかして回復魔法を使ってくれる、とか?」
「当たり前でしょう。わたしにとっても可愛い部下ですよ、粗末になんてしません」
「レイジェス……ありがとう」
「お礼は夜にお願いします!」
「それは遠慮します」
「ひーん」
こんなやり取りをしながらも私達のペンの速度は変わらない。
「やっぱり仕事が早いですね、シャノンは」
「普通じゃないかな?」
「いえ、早いです。書類書きだけなら、私より早い……王城でも私より早い人なんていませんでしたよ。しかも字も見やすい」
「色々な人の目に触れる書類を見辛く書いてもしょうがないでしょう?」
「それはそうなんですが、そう思って実行できる人は少ないんですよ」
「はあ?」
当然のことを褒められてもなぁ……。それでも二人がかりで進めていくとどんどん仕事は減っていく。
「ああ~農業用の備品が足りない!」
「農具? フィールダールから持ってきます。支払い? 大丈夫です、そのまま持って来て下さい」
これだ、コレが一番書類が片付く理由だ。これだけ書類が溜まるのは、さぼっていたからじゃないんだ。どうやって金策するかで頭を悩ませ、金がなくて保留にしている物が多すぎるからなんだ。
「魔王を倒した時、財宝庫がありましてね。実は国に納めたのはほんの一部なんですよ。大半は実働部隊で分けました。何せ口しか動かさない奴らに渡す金はありません、命や財産を張った人達で分けるのが当然ですから。なので一番先頭にたった私はかなりいただきました。そしてそれを眠らせずに投資しまして……ふふふ、お金はいくらあってもいいですね」
「わ……わぁ……」
正直、かなり引いたがレイジェスの資産はひっくり返るほどあるらしい。
「国家転覆を2.30回やってもまだ余力がありますよ。ふふふ」
「わ、わぁ……」
敵には回さないことにしようと思う。
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