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72 俺は大丈夫/リンカは何でもできるわけじゃないの
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「アリアン」
俺の名前を呼ぶ声がする。この声に呼ばれたら、俺は嬉しくてあったかくて……いや、どちらかというと熱くなってちょっとどうしていいか分からなくなったりして……ドキドキして、くっ付いていたくなる。
「あ……」
「大丈夫か? アリアン」
俺、トンでたみたい。なんか頭がぼーっとするし……全身怠い。でも俺を心配してくれた声は俺の大好きな人の声だ、大丈夫っていいたい、心配かけさせたくない。
「だぃ……じょ、……ぁれ……」
声がかすれて上手く喋れない。なんでだっけ?
「アリアン、手を私の首の後ろに。掴まって」
「んん……?」
言われた通り腕を伸ばして掴まろうとしたけど、力が入らないぞ、おかしいな。それでも俺の大好きなルシは俺の体をぎゅっと掴んで……上半身をベッドから起き上がらせた。
「ル、ルシ……ひゃ、きゃうんっ!」
「アリアン、全部入った」
「あひゃ……あ、あうう……ひ」
ベッドから起き上がったのは上半身だけで、尻はルシの腰の上……っていうか入りっぱなしだったから、俺の自重で根元までずっぽり入っちゃった……。
「は、入る……物なんだなぁ……」
腹のどこまできてるんだ、これ……考えたらなんかおっかないから考えないことにする……。
「痛むか? アリアン」
俺は緩く首を横に振る。
「痛くはないけど、変な感じ……こんなの初めて」
「そうか……ならば、ずっと私を忘れないでいてくれるか?」
「うん、俺忘れないよ、絶対。ずーっとルシのこと」
「ありがとう、アリアン」
俺、こいつのこと凄い好きだな……最初、頭に来る偉そうな奴だと思ってたし、結構嫌いだったけど、嘘つかねぇんだよな。リンカとおんなじくらい信じられる。長いこと生きて来たけど、人間でこんなに信じられる奴はいなかった。いや、もしかしたらいたかもしんねぇけど、俺は面倒くさがって人間と触れ合うことはしなかったから。
だって竜は竜だし、人間は人間だろうって思ってた。
「えへへ……ルシ、ぎゅーってして」
「ああ、勿論」
でもこうやってぎゅーってしてれば人間だって竜だってあったかくて気持ち良いんだ。例え、これが一瞬の温もりでも。俺は大丈夫、きっと。
◇◇ ◇◇ ◇◇ ◇◇
「すると我が国は末々まで安泰ですか?!」
私は卵ちゃんを撫でながら首を横に振るしかない。
「ううん、多分あと50年……100年行くかな……? 寿命を縮めるすべての要因を全力で払うつもりだけどさ。どうしてもどうにもこのリンカにもどうしようもないことがあるんだよ」
「そ、それは……一体なんですか?」
宰相様はリンカが何でもできるとおもってるかなぁ? そんなことないよ、リンカは神様じゃぁないもん。
「寿命だよ、神様が与えた寿命だけはリンカもアリアンも伸ばすことができないの。ルシ様は人間よ、どう頑張っても100歳前後までの寿命しか与えられてない。それが切れたら死んじゃうわ」
「そ、それは……」
「執着するつがいを失ったらアリアンはずっと住んでた黒竜の山に戻ると思う。だって地上は思い出がいっぱいで辛すぎるもん……でも子供達がいればたまにくるかもしれないし、それなりに気にかけて守護してくれるよ」
リンカも卵ちゃんに会いに来るしね。だからデフィタ家の為にも子供達は必要なの。
「そのことは皆、知っておるのですか……?」
「うん。みんな知ってるよ……だから、アリアンのこと、いっぱい甘やかしてあげてるんだ。絶対に残されるのはアリアンだからね」
リンカもアリアンを慰めてあげられると思うけど……実際、リンカという存在は不安定でいつ消えるか分からない。せめてアリアンが前を向けるまでそばにいてやりたいって願ってる。
「アリアン殿は、このことをご存知なのですか……」
「知ってるよ、勿論。知ってるからこそ、これまで無意識に短命な人間と触れ合わないようにして来たのかもしれないね」
「そう、なのですね……はは、これからはデフィタ公爵にあまり仕事は振らないようにしなくてはなりませんな」
「うん、そうしてあげて。リンカが宰相様のお仕事手伝ってあげるから」
「おお、これは心強いです。しかしまあ見事に子供になられて……」
「可愛いでしょっ!」
「はは、確かに」
宰相様は本当に話の分かる人で良かった。アリアンとルシ様はいっぱい思い出を作らなくちゃいけない、一秒だって無駄にしちゃいけない二人なんだよ。
俺の名前を呼ぶ声がする。この声に呼ばれたら、俺は嬉しくてあったかくて……いや、どちらかというと熱くなってちょっとどうしていいか分からなくなったりして……ドキドキして、くっ付いていたくなる。
「あ……」
「大丈夫か? アリアン」
俺、トンでたみたい。なんか頭がぼーっとするし……全身怠い。でも俺を心配してくれた声は俺の大好きな人の声だ、大丈夫っていいたい、心配かけさせたくない。
「だぃ……じょ、……ぁれ……」
声がかすれて上手く喋れない。なんでだっけ?
「アリアン、手を私の首の後ろに。掴まって」
「んん……?」
言われた通り腕を伸ばして掴まろうとしたけど、力が入らないぞ、おかしいな。それでも俺の大好きなルシは俺の体をぎゅっと掴んで……上半身をベッドから起き上がらせた。
「ル、ルシ……ひゃ、きゃうんっ!」
「アリアン、全部入った」
「あひゃ……あ、あうう……ひ」
ベッドから起き上がったのは上半身だけで、尻はルシの腰の上……っていうか入りっぱなしだったから、俺の自重で根元までずっぽり入っちゃった……。
「は、入る……物なんだなぁ……」
腹のどこまできてるんだ、これ……考えたらなんかおっかないから考えないことにする……。
「痛むか? アリアン」
俺は緩く首を横に振る。
「痛くはないけど、変な感じ……こんなの初めて」
「そうか……ならば、ずっと私を忘れないでいてくれるか?」
「うん、俺忘れないよ、絶対。ずーっとルシのこと」
「ありがとう、アリアン」
俺、こいつのこと凄い好きだな……最初、頭に来る偉そうな奴だと思ってたし、結構嫌いだったけど、嘘つかねぇんだよな。リンカとおんなじくらい信じられる。長いこと生きて来たけど、人間でこんなに信じられる奴はいなかった。いや、もしかしたらいたかもしんねぇけど、俺は面倒くさがって人間と触れ合うことはしなかったから。
だって竜は竜だし、人間は人間だろうって思ってた。
「えへへ……ルシ、ぎゅーってして」
「ああ、勿論」
でもこうやってぎゅーってしてれば人間だって竜だってあったかくて気持ち良いんだ。例え、これが一瞬の温もりでも。俺は大丈夫、きっと。
◇◇ ◇◇ ◇◇ ◇◇
「すると我が国は末々まで安泰ですか?!」
私は卵ちゃんを撫でながら首を横に振るしかない。
「ううん、多分あと50年……100年行くかな……? 寿命を縮めるすべての要因を全力で払うつもりだけどさ。どうしてもどうにもこのリンカにもどうしようもないことがあるんだよ」
「そ、それは……一体なんですか?」
宰相様はリンカが何でもできるとおもってるかなぁ? そんなことないよ、リンカは神様じゃぁないもん。
「寿命だよ、神様が与えた寿命だけはリンカもアリアンも伸ばすことができないの。ルシ様は人間よ、どう頑張っても100歳前後までの寿命しか与えられてない。それが切れたら死んじゃうわ」
「そ、それは……」
「執着するつがいを失ったらアリアンはずっと住んでた黒竜の山に戻ると思う。だって地上は思い出がいっぱいで辛すぎるもん……でも子供達がいればたまにくるかもしれないし、それなりに気にかけて守護してくれるよ」
リンカも卵ちゃんに会いに来るしね。だからデフィタ家の為にも子供達は必要なの。
「そのことは皆、知っておるのですか……?」
「うん。みんな知ってるよ……だから、アリアンのこと、いっぱい甘やかしてあげてるんだ。絶対に残されるのはアリアンだからね」
リンカもアリアンを慰めてあげられると思うけど……実際、リンカという存在は不安定でいつ消えるか分からない。せめてアリアンが前を向けるまでそばにいてやりたいって願ってる。
「アリアン殿は、このことをご存知なのですか……」
「知ってるよ、勿論。知ってるからこそ、これまで無意識に短命な人間と触れ合わないようにして来たのかもしれないね」
「そう、なのですね……はは、これからはデフィタ公爵にあまり仕事は振らないようにしなくてはなりませんな」
「うん、そうしてあげて。リンカが宰相様のお仕事手伝ってあげるから」
「おお、これは心強いです。しかしまあ見事に子供になられて……」
「可愛いでしょっ!」
「はは、確かに」
宰相様は本当に話の分かる人で良かった。アリアンとルシ様はいっぱい思い出を作らなくちゃいけない、一秒だって無駄にしちゃいけない二人なんだよ。
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