【完結】転生したら悪役令嬢だった腐女子、推し課金金策してたら無双でざまぁで愛されキャラ？いえいえ私は見守りたいだけですわ

17 マリエルちゃぶ台返し！

　私の乏しい知識でも少しはお母様の妊娠生活の足しになったようで、お母様はめちゃくちゃ可愛い天使いえ、大天使アークエンジェルを健やかにこの世に送り出して下さいました。

「拝むしかない」
「マリー？　そんな所にいないであなたの弟を撫でてやってちょうだい？」

　赤様に向かって礼拝をしようとしていたら、お母様に呼ばれたわ。こんなふにゃふにゃで可愛い生き物のオーラを浴びたら、凡夫たる我が身は溶けて召されてしまうではありませんか、ありがたやありがたや……。
　もはや美少年の風格すら漂わせている美赤様に感涙しかありません。きっと素敵な「ジャック」になってくれるでしょう。推しを赤様の時から推せるだなんて神様も粋な計らいをしてくれちゃってもう、好き！

「この子は……この子の名前はレナード。レナード・クラブよ」
「レナード……」

　うん、やっぱりだわ。レナード・クラブは「トランプる！」のクラブ・ジャックね。違う所はお母様の実子であり、私の血のがっつり繋がった弟だと言うことね。
　ゲームでは、お母様の子供は流れてしまい、そのせいでお母様は二度と子供を望めない体になってしまう。そしてお母様の実家のハート家からやって来たのがレナードだったんだ。
　ゲームのレナードは所謂腹黒キャラで、体を壊したお母様が儚くなると同時に私とお兄様を蹴落として「クラブ・キング」に上り詰めようとする可愛い子なのよね！
　顔もちょっと意地悪顔なのが愛くるしいのだけれど。今回は弟だし、お母様はピンピンしてらっしゃるし。

「レナード、わ、私がお姉さまのマリエルよ？」

　おっかなびっくりレナードを抱きしめるお母様のそばに寄って行くと、レナードはきょとんとしてから私の指をしっかり掴んだの。まだ生まれてまもないから赤ちゃん特有のなんとか反応なのだろうけど、可愛すぎて私は硬直してしまったのだ。

「まあまあ！　マリエル様ったら」

　皆に笑われちゃったけれど、美赤様の扱いは自信がないわ！

「だ。だって赤ちゃんって小さくて、可愛くて……イイ匂いで……」　

　穢れなき尊さに満ち溢れた存在の側に私のような薄汚れたほぼ無課金野郎がいていいはずがない……つら。

「あらあら、マリー様も十分可愛いですわよ。さあそろそろレナード様にお食事を……」

　持って来た物を見て私はまた必殺技を使用するのだった。

「マリエルちゃぶ台返しぃーーー！」
「きゃーー！」
「誰じゃい！一歳未満の赤ちゃんに蜂蜜を与えようとする阿呆は！　死刑にするぞ！　ゴラァ！！」

　ボツリヌスは怖いんだ馬鹿やろー！！我が家の天使を害そうと言うデモンでサタンはどこのどいつじゃぁーーー！

「ひっ！　で、でも蜂蜜は健康や美容に良い高価な……」
「一歳を過ぎてからだぁーーー！」
「ひーーーー！」
「離乳食なんぞ早すぎるわ！！　おっぱい与えとけよ！！」

　侍女達からは怖がられたけど、推しの為ならやるわよ！私は！