2 / 6
2 婚約も破棄され、家からも追い出され……
「え……? 何と仰られたのですか、デイビット様」
「聞こえなかったのか、レティシア。お前との婚約は破棄だ! そして私は新しい婚約者をロクサーヌにする!」
次の日に、重い気持ちで学園に向かった私が着くなりにデイビッド様はたくさんの生徒の前で宣言なさいました。
「何故、何故でございますか!」
「何故?! そんなものはお前が1番良く知っているであろう! お前がロクサーヌにして来た仕打ち、私が知らないとでも思っているのか!」
私がロクサーヌにした仕打ち? なんの事が分かりません。逆ならまだしも、私はロクサーヌに逆らったことすらないというのに、デイビット様は一体何を仰っているのか見当がつきません。
「何かのお間違いではございませんか?! 私はロクサーヌに何も……」
デイビッド様の後ろから少しだけ顔を覗かせるロクサーヌが見えました。
「怖いです……デイビッドさまぁ」
きゅっとデイビット様の制服にしがみつき、目を潤ませるロクサーヌ。ああ、また何か良からぬ嘘を言ったのね、あの子が。
ロクサーヌは息をするより滑らかに嘘を吐きます。お父様もお母様も最初はそんな事ないとロクサーヌをたしなめていましたが、いつの頃からかロクサーヌの言葉ばかり信じ、私を遠ざけるようになりました。
「おお、可哀想に、ロクサーヌ。私が居るからね。大丈夫だよ?」
「嬉しいですわ、デイビッドさまぁ」
そうして、デイビッド様から見えない場所で、私に向かって意地悪な笑みを投げつけるのです。
ああ、もう疲れましたわ。
学園の皆さんも遠巻きに見ているだけ。学園でもロクサーヌは上手に動いているようで、私に味方は誰1人としていません。
ヒソヒソという悪い噂話が私の背中に叩きつけられているようです。もう私にできることは一つもないようでした。
「婚約、破棄……承りました……失礼致します……」
何とかデイビット様に最後の挨拶をして、私は溢れそうになる涙を必死に堪え、家に戻ることにします……今日は授業を受けるのは流石に難しいです。
「お気をつけてぇ? お姉様ぁ」
勝ち誇ったロクサーヌの声が小さく聞こえましたがあまりにみじめで振り返ることはできませんでした。
「このっ役立たずが!」
そして、家につき、事の顛末を耳にしたお父様に私は叱り飛ばされました。
「折角のデイビッド殿下との婚約を破棄されただと! それでも公爵家の娘かっ! この役立たず!」
そこにお母様も現れます。
「良いではないですか、旦那様。代わりにロクサーヌが婚約者なのでしょう? 可愛いロクサーヌがデイビッド殿下と結婚するのです、きっと我が家を助けてくださいますわ」
扇で口元を隠しながらさも嬉しそうに言われます。
「む、それもそうか。そうだ、公爵家の跡取りもロクサーヌにすれば良いな! ははは、そうしよう! レティシア、お前は用済みだ。どこへなりとも消えてしまえ! おい、誰か。この使えない娘を隣国へでも捨ててこい!」
「お、お父様?! 何を! 何をおっしゃるのですか!」
私は抗議の声を上げます。どうして私が隣国へ捨てられなければならなのでしょうか。それでもお父様に忠実な執事のマシウスはやってきて私を冷たい目で見ました。私は執事のマシウスからも嫌われているのです。
「お呼びですか、旦那様」
「マシウス、レティシアを連れて行け! そしてこの国から追い出してしまえ!」
マシウスは分かりました、と頭を下げて、私の腕を掴みます。
「や、やめて! マシウス、私は!」
「お静かに。手荒な事はしたくありません」
私はマシウスに引きずられてお父様の部屋を、そのまま住み慣れた家を追い出されたのでした。
「聞こえなかったのか、レティシア。お前との婚約は破棄だ! そして私は新しい婚約者をロクサーヌにする!」
次の日に、重い気持ちで学園に向かった私が着くなりにデイビッド様はたくさんの生徒の前で宣言なさいました。
「何故、何故でございますか!」
「何故?! そんなものはお前が1番良く知っているであろう! お前がロクサーヌにして来た仕打ち、私が知らないとでも思っているのか!」
私がロクサーヌにした仕打ち? なんの事が分かりません。逆ならまだしも、私はロクサーヌに逆らったことすらないというのに、デイビット様は一体何を仰っているのか見当がつきません。
「何かのお間違いではございませんか?! 私はロクサーヌに何も……」
デイビッド様の後ろから少しだけ顔を覗かせるロクサーヌが見えました。
「怖いです……デイビッドさまぁ」
きゅっとデイビット様の制服にしがみつき、目を潤ませるロクサーヌ。ああ、また何か良からぬ嘘を言ったのね、あの子が。
ロクサーヌは息をするより滑らかに嘘を吐きます。お父様もお母様も最初はそんな事ないとロクサーヌをたしなめていましたが、いつの頃からかロクサーヌの言葉ばかり信じ、私を遠ざけるようになりました。
「おお、可哀想に、ロクサーヌ。私が居るからね。大丈夫だよ?」
「嬉しいですわ、デイビッドさまぁ」
そうして、デイビッド様から見えない場所で、私に向かって意地悪な笑みを投げつけるのです。
ああ、もう疲れましたわ。
学園の皆さんも遠巻きに見ているだけ。学園でもロクサーヌは上手に動いているようで、私に味方は誰1人としていません。
ヒソヒソという悪い噂話が私の背中に叩きつけられているようです。もう私にできることは一つもないようでした。
「婚約、破棄……承りました……失礼致します……」
何とかデイビット様に最後の挨拶をして、私は溢れそうになる涙を必死に堪え、家に戻ることにします……今日は授業を受けるのは流石に難しいです。
「お気をつけてぇ? お姉様ぁ」
勝ち誇ったロクサーヌの声が小さく聞こえましたがあまりにみじめで振り返ることはできませんでした。
「このっ役立たずが!」
そして、家につき、事の顛末を耳にしたお父様に私は叱り飛ばされました。
「折角のデイビッド殿下との婚約を破棄されただと! それでも公爵家の娘かっ! この役立たず!」
そこにお母様も現れます。
「良いではないですか、旦那様。代わりにロクサーヌが婚約者なのでしょう? 可愛いロクサーヌがデイビッド殿下と結婚するのです、きっと我が家を助けてくださいますわ」
扇で口元を隠しながらさも嬉しそうに言われます。
「む、それもそうか。そうだ、公爵家の跡取りもロクサーヌにすれば良いな! ははは、そうしよう! レティシア、お前は用済みだ。どこへなりとも消えてしまえ! おい、誰か。この使えない娘を隣国へでも捨ててこい!」
「お、お父様?! 何を! 何をおっしゃるのですか!」
私は抗議の声を上げます。どうして私が隣国へ捨てられなければならなのでしょうか。それでもお父様に忠実な執事のマシウスはやってきて私を冷たい目で見ました。私は執事のマシウスからも嫌われているのです。
「お呼びですか、旦那様」
「マシウス、レティシアを連れて行け! そしてこの国から追い出してしまえ!」
マシウスは分かりました、と頭を下げて、私の腕を掴みます。
「や、やめて! マシウス、私は!」
「お静かに。手荒な事はしたくありません」
私はマシウスに引きずられてお父様の部屋を、そのまま住み慣れた家を追い出されたのでした。
あなたにおすすめの小説
【完結】「妹が欲しがるのだから与えるべきだ」と貴方は言うけれど……
小笠原 ゆか
恋愛
私の婚約者、アシュフォード侯爵家のエヴァンジェリンは、後妻の産んだ義妹ダルシニアを虐げている――そんな噂があった。次期王子妃として、ひいては次期王妃となるに相応しい振る舞いをするよう毎日叱責するが、エヴァンジェリンは聞き入れない。最後の手段として『婚約解消』を仄めかしても動じることなく彼女は私の下を去っていった。
この作品は『小説家になろう』でも公開中です。
【短編】婚約破棄した元婚約者の恋人が招いていないのにダンスパーティーに来ました。
五月ふう
恋愛
王子レンはアイナの婚約者であった。しかし、レンはヒロインのナミと出会いアイナを冷遇するようになった。なんとかレンを自分に引き留めようと奮闘するも、うまく行かない。ついに婚約破棄となってしまう。
幼馴染が最優先な婚約者など、私の人生には不要です。
たると
恋愛
シュタイン伯爵家の長女エルゼは、公爵子息フィリップに恋をしていた。
彼の婚約者として選ばれた時は涙を流して喜んだが、その喜びもいまは遠い。
『君は一人でも大丈夫だろう。この埋め合わせは必ずする。愛している』
「……『愛している』、ですか」
いつも幼馴染を優先するアルベルトに、恋心はすっかり冷めてしまった。
虐げられていた姉はひと月後には幸せになります~全てを奪ってきた妹やそんな妹を溺愛する両親や元婚約者には負けませんが何か?~
***あかしえ
恋愛
「どうしてお姉様はそんなひどいことを仰るの?!」
妹ベディは今日も、大きなまるい瞳に涙をためて私に喧嘩を売ってきます。
「そうだぞ、リュドミラ!君は、なぜそんな冷たいことをこんなかわいいベディに言えるんだ!」
元婚約者や家族がそうやって妹を甘やかしてきたからです。
両親は反省してくれたようですが、妹の更生には至っていません!
あとひと月でこの地をはなれ結婚する私には時間がありません。
他人に迷惑をかける前に、この妹をなんとかしなくては!
「結婚!?どういうことだ!」って・・・元婚約者がうるさいのですがなにが「どういうこと」なのですか?
あなたにはもう関係のない話ですが?
妹は公爵令嬢の婚約者にまで手を出している様子!ああもうっ本当に面倒ばかり!!
ですが公爵令嬢様、あなたの所業もちょぉっと問題ありそうですね?
私、いろいろ調べさせていただいたんですよ?
あと、人の婚約者に色目を使うのやめてもらっていいですか?
・・・××しますよ?
その令嬢は、実家との縁を切ってもらいたい
キョウキョウ
恋愛
シャルダン公爵家の令嬢アメリは、学園の卒業記念パーティーの最中にバルトロメ王子から一方的に婚約破棄を宣告される。
妹のアーレラをイジメたと、覚えのない罪を着せられて。
そして、婚約破棄だけでなく公爵家からも追放されてしまう。
だけどそれは、彼女の求めた展開だった。
〖完結〗妹は私の物が大好きなようです。
藍川みいな
恋愛
カサブランカ侯爵家に双子として生まれた、姉のブレアと妹のマリベル。
妹は姉の物を全て欲しがり、全て譲ってきたブレア。
ある日、ダリアル公爵家長男のエルヴィンとの縁談が来た。
ダリアル公爵は姉のブレアを名指しし、ブレアとエルヴィンは婚約をした。
だが、マリベルはブレアの婚約者エルヴィンを欲しがり、ブレアを地下に閉じこめ、ブレアになりすまし結婚した...。
主人公ブレアがあまり出てきません。
本編6話+番外編1話で完結です。
毎日0時更新。
未来予知できる王太子妃は断罪返しを開始します
もるだ
恋愛
未来で起こる出来事が分かるクラーラは、王宮で開催されるパーティーの会場で大好きな婚約者──ルーカス王太子殿下から謀反を企てたと断罪される。王太子妃を狙うマリアに嵌められたと予知したクラーラは、断罪返しを開始する!