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10 私達のための料理
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うう、本当に微妙に様子を探られている……。邪魔する気はないよ、自由にしてて?と気を遣われているのが分かるくらい凄く微妙に、でも獣の感覚で、耳から生えた毛がサワサワするくらいの薄ーい微妙な視線と三軒向こうの家から漂って来るスープの匂いのような微妙な魔力の匂いがする。
ここまで気を遣われた探り方をされると逆に聞きたいことがあるなら、はっきり聞いてくれ!って言いたくなってしまう。
でもそれは避けたい、そんな事をすればラセルに気付かれてしまう。ラセルの大切な家族だった本物の子狐は死んでしまって代わりにくたびれたおじさんがはいってしまったなんて。
狐の体に残っていた感覚も一体化して来て、生まれた時ら自分は狐だったと勘違いしてしまいそうだ。ううっ私はおじさんだと言うのに、可愛い声できゅんきゅん鳴いて……駄目だ、冷静になると恥ずかしいっ。
「んん……イアン」
「きゅぅ~ん」
寝ぼけたラセルが手探りで子狐を探している。おっといけない、私は私最大の任務ラセルの抱き枕を遂行中だったんだ。そっとラセルの腕の中に体を潜り込ませれば満足度したように、寝顔が笑みの形になる。
ああ、あったかいなぁ、また眠ってしまいそうだ。ここで寝たら今日のご飯を探しに行けなくなっちゃう。出来れば一食でも抜かせたくないんだけれど、無理矢理起こすのも嫌だなぁ。子供の成長にはどっちが良いんだろう?さっぱり分からない。
と、思っていると私まで寝てしまったようだ。なんて事!
「……お腹空いたね、イアン」
「きゅうん……やっちゃった」
何か日持ちのするものを用意しておきたいなぁ。二人で腹の虫が盛大に鳴き出した時、建て付けの悪いラセルの家のドアがノックされた。
「ラセル!良い匂い!」
「僕も分かる!」
ぴょんと二人でベッドから飛び降りてドアに向かう。薄い戸板の向こうには隠していない人間の気配がするけれど、殺気はない。だからこれは正当なお客さんだ。
「おーい、坊主。起きてるかー?」
「いるよ!おじさんっ」
「うおっ!」
顔見知った誰かだ。名前より気配より何より!手に持った大きな鍋が!これ、肉だ、中にトマトで煮込んだ肉が入ってるやつ!私の大好物!
「よだれをふけ、坊主も狐も。お前らにお裾分けに来たんだからな」
「うわーーい!」
「きゅーーーーん!」
文字通りかぶりついて食べた。凄く美味しい!
「えーとな、作りすぎた、ってことだったよな?うん、だから分けに来たんだけど、聞いてねぇな」
注意深く、いや普通に聞いていればそれは嘘できっとラセルと私に食べさせるためにわざわざ作って持って来てくれたものだと気がついたのだろうけれど、私はその時お腹が空いていたのだ。
狐でも火傷しないくらいに絶妙に冷まされた煮込み肉をはぐはぐと頬張るのに忙しすぎたのだ。
美味しい!ちょっと力を入れれば骨からほろりとお肉が離れる。しかも食べやすいように関節部分は外れてあるし、香辛料もマイルドで子供と子狐の味覚に合う!おじさんの時に食べていたのはもっとピリッとしてたし、玉ねぎもニンニクもいっぱい入ってた気がするけど、これには入ってない。代わりにお芋とにんじんがゴロゴロ入ってて、どれもトマトが染みてて美味しいー!しかもキノコもいっぱいで歯ざわりも最高!
「美味い!僕、こんなに美味い料理食べたの久しぶりだよー」
「……そうか」
流石に少し食べる事以外に余裕ができた私と、鍋を持って来てくれた男……ヘイズは眉毛を寄せた。両親が亡くなってからラセルはまともな料理を食べてないんだろう。
村人は分けてくれても温かみや量なんかは違うんだろう。ラセルのために作られた料理は久しぶりだと言う……。
「う、ぐすっ……」
ヘイズは六剣を携えた腕利の剣士で近隣では負け無しの心強い味方だったのだが、いかんせん涙脆い。涙ぐむヘイズを見てむしろラセルが引いている。
「お、おじさんどうしたの??ご、ごめん、おじさんの分も食べちゃった?! 」
「違うんだぁ~おじさんはもう、もう腹一杯で何にも食えねぇよ、ちくしょー! 」
「あ、う、うん……」
いい奴なんだけどなぁ~ちょっとあのガタイに涙は似合わないんだよなぁ~。
ここまで気を遣われた探り方をされると逆に聞きたいことがあるなら、はっきり聞いてくれ!って言いたくなってしまう。
でもそれは避けたい、そんな事をすればラセルに気付かれてしまう。ラセルの大切な家族だった本物の子狐は死んでしまって代わりにくたびれたおじさんがはいってしまったなんて。
狐の体に残っていた感覚も一体化して来て、生まれた時ら自分は狐だったと勘違いしてしまいそうだ。ううっ私はおじさんだと言うのに、可愛い声できゅんきゅん鳴いて……駄目だ、冷静になると恥ずかしいっ。
「んん……イアン」
「きゅぅ~ん」
寝ぼけたラセルが手探りで子狐を探している。おっといけない、私は私最大の任務ラセルの抱き枕を遂行中だったんだ。そっとラセルの腕の中に体を潜り込ませれば満足度したように、寝顔が笑みの形になる。
ああ、あったかいなぁ、また眠ってしまいそうだ。ここで寝たら今日のご飯を探しに行けなくなっちゃう。出来れば一食でも抜かせたくないんだけれど、無理矢理起こすのも嫌だなぁ。子供の成長にはどっちが良いんだろう?さっぱり分からない。
と、思っていると私まで寝てしまったようだ。なんて事!
「……お腹空いたね、イアン」
「きゅうん……やっちゃった」
何か日持ちのするものを用意しておきたいなぁ。二人で腹の虫が盛大に鳴き出した時、建て付けの悪いラセルの家のドアがノックされた。
「ラセル!良い匂い!」
「僕も分かる!」
ぴょんと二人でベッドから飛び降りてドアに向かう。薄い戸板の向こうには隠していない人間の気配がするけれど、殺気はない。だからこれは正当なお客さんだ。
「おーい、坊主。起きてるかー?」
「いるよ!おじさんっ」
「うおっ!」
顔見知った誰かだ。名前より気配より何より!手に持った大きな鍋が!これ、肉だ、中にトマトで煮込んだ肉が入ってるやつ!私の大好物!
「よだれをふけ、坊主も狐も。お前らにお裾分けに来たんだからな」
「うわーーい!」
「きゅーーーーん!」
文字通りかぶりついて食べた。凄く美味しい!
「えーとな、作りすぎた、ってことだったよな?うん、だから分けに来たんだけど、聞いてねぇな」
注意深く、いや普通に聞いていればそれは嘘できっとラセルと私に食べさせるためにわざわざ作って持って来てくれたものだと気がついたのだろうけれど、私はその時お腹が空いていたのだ。
狐でも火傷しないくらいに絶妙に冷まされた煮込み肉をはぐはぐと頬張るのに忙しすぎたのだ。
美味しい!ちょっと力を入れれば骨からほろりとお肉が離れる。しかも食べやすいように関節部分は外れてあるし、香辛料もマイルドで子供と子狐の味覚に合う!おじさんの時に食べていたのはもっとピリッとしてたし、玉ねぎもニンニクもいっぱい入ってた気がするけど、これには入ってない。代わりにお芋とにんじんがゴロゴロ入ってて、どれもトマトが染みてて美味しいー!しかもキノコもいっぱいで歯ざわりも最高!
「美味い!僕、こんなに美味い料理食べたの久しぶりだよー」
「……そうか」
流石に少し食べる事以外に余裕ができた私と、鍋を持って来てくれた男……ヘイズは眉毛を寄せた。両親が亡くなってからラセルはまともな料理を食べてないんだろう。
村人は分けてくれても温かみや量なんかは違うんだろう。ラセルのために作られた料理は久しぶりだと言う……。
「う、ぐすっ……」
ヘイズは六剣を携えた腕利の剣士で近隣では負け無しの心強い味方だったのだが、いかんせん涙脆い。涙ぐむヘイズを見てむしろラセルが引いている。
「お、おじさんどうしたの??ご、ごめん、おじさんの分も食べちゃった?! 」
「違うんだぁ~おじさんはもう、もう腹一杯で何にも食えねぇよ、ちくしょー! 」
「あ、う、うん……」
いい奴なんだけどなぁ~ちょっとあのガタイに涙は似合わないんだよなぁ~。
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