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12 濃すぎる面子に囲まれて
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「ふむ。いいですね、皆すぐに基礎は覚えましたね」
「はーい! 」
「では次は赤い薬草を探しましょう。初級ポーションを作るには赤い薬草が必要です」
医者であり薬師であり……ちょっと二重人格気味のアルフェムが子供や女性を伴って森へ出かけて行った。その一団にラセルも同行していて、私はお留守番になってしまった……。私もラセルと一緒が良いのに無理やり家に留め置かれたのだ。
「将軍」
「義父上」
「イアン様」
「ぎゅむ」
なんでむさいおっさんに囲まれねばならんのだ、こんな可愛い子狐を囲むなんて動物は大切にしろっ! 圧をかけるんじゃない、圧を!
「これは独り言なんですが、王都の大半の人間はイアン様は無実の罪で、王太子の策略だと気がついております」
「処刑場に首が晒されましたが、体はどこを探しても見つかりませんでした。誰かが隠し持っているらしいです」
「王太子の暴走らしいですが、王は容認しました。流石に汚いやり口を好む」
そんなこと私に教えてどうしようと言うんだ! 私は無力で可愛い子狐なんだぞ。そんな遠い王都であったことなんて知らないし、知った所でどうしようもないし、もう私には関係ないし。
「きゅ」
知らんし!
「う、恨んでいないのですか?! あんなに心血を賭して仕えてきたのに。こんな形で裏切られて」
「きゅぅ」
いや、必死にやってただけだし? と言うか別に心血を賭した訳じゃない。実際、王家にそんなに心酔してた訳じゃないし、給料が貰えるから働いていただけだし……。
「くっ……これだから慈悲将軍は……あなたは、あなたはどこまで優しいんだ……うう、うわぁあ……」
ヘイズが泣き出した。辺りの温度が体感五度は上がったな、暑苦しい。それになんだよ、慈悲将軍って意味が分からんよね。私はそんなに優しくなかったはずだけど。
「あんなに、あんな安い金でこき使われ、最後に名誉まで奪われて……それでもくっ!」
えっ! 私の給料安すぎ?! だったの?? 結構貰ってた気がしたのに。
「隣国の将軍職はあなたの給料の30倍貰ってしかも春夏冬にボーナス出てますよ! 」
「きゃんだってーー?!」
流石に叫んでしまった。黒い手で口を押えてみたけれどもう遅くて、囲んできた暑苦しい面々は目を丸くして片言で声を上げる。
「シャベッタ」
「キツネ、シャベッタ」
「噛んだ」
しまった!
「かーわーいーー!」
「ぎゅ」
野郎に抱きしめられたくない! ラセルなら嬉しいけれど、鼻息の荒いクレヤボンスとか最悪だぁーー!
「放せきゅん!」
「きゅんって鳴いたぁあー!」
「ぎゅお」
しまった、クレヤはおっさんの癖に可愛いもの好きだった。こいつの自室にはうさぎちゃんとか狐ちゃんのぬいぐるみが溢れてるんだ。
私がクレヤボンスと初めて会ったのは私に部下が何人かついて宿舎が手狭になり、書類に埋まりかけていた頃だった。宿舎の片付け係として雇った平民のはずなのに、端々に素早く抜け目のないところがあって、ヘイズやミニは最初から怪しんでいたっけ。
「あいつは間違いなく他国からの間者ですよ! 早く首を刎ねましょう」
「そうだぜ、イアン様。こっちの命を取られる前に潰すべきだ」
なんて言われてたっけ。まあ結局本当に南の帝国の諜報員だったんだけど、下っ端らしくて速攻切り捨てられたっけ。
「君さ、うちで働かない? 手際が良いし、折角仕事覚えただろ?」
そう足止め役で命を捨てろと置いて行かれたクレヤをスカウトしたんだよな。そしたらこいつなんて言ったと思う? 私は忘れない。
「給料としてあんたの手触りがいい髪の毛をくれ」
「は?」
「白金で手入れが杜撰なのに柔らかくて……俺はそれが欲しい」
「は?」
「お金は要らないし、普通に伸びて散髪した時で良い、くれ!」
ポカンとした私と、ヘイズ。ミニィは思いっきり顔を顰めて怒鳴りつけたっけ。
「義父上! こいつ変態だ、早く始末しよう!」
「いやしかし、ほぼタダで雇えるぞ?」
「いやだ! キモい!! 」
と、言った割にやっぱり給料タダの誘惑にミニィも勝てずに雇ったんだよね。それからクレヤボンスは張り切って働いてくれたので、物凄く助かっているんだけど。
「ワイアード将軍の髪の毛を使って作った熊ちゃんのちびぬいぐるみです」
「買った!」
よく分からないアイテムが流行ったけれど、まあそれくらい問題なかった。
「はあはあ……この手のひらにすっぽり隠れるほど小さなぬいぐるみが10万ゴールド……高い! でも義父上の……はあはあ」
「?」
ミニィまであの小さなぬいぐるみを持っていたからきっと和解したんだろう。それからクレヤボンスは私達の為によく働いてくれたし、「闇渡」なんてカッコいい二つ名までついちゃったんだよね。
「はあはあ、イアン様。ブラッシングは是非このクレヤボンスにやらせて下さい! 抜け毛で、最高な逸品を作らせて頂きますっ」
「え、ブラッシングはラセルにやってもらいたいんだけど」
「ノオーー! 負けたぁー!」
悪い奴では、ないんだよなぁ。ちょっと変なだけで。
「はーい! 」
「では次は赤い薬草を探しましょう。初級ポーションを作るには赤い薬草が必要です」
医者であり薬師であり……ちょっと二重人格気味のアルフェムが子供や女性を伴って森へ出かけて行った。その一団にラセルも同行していて、私はお留守番になってしまった……。私もラセルと一緒が良いのに無理やり家に留め置かれたのだ。
「将軍」
「義父上」
「イアン様」
「ぎゅむ」
なんでむさいおっさんに囲まれねばならんのだ、こんな可愛い子狐を囲むなんて動物は大切にしろっ! 圧をかけるんじゃない、圧を!
「これは独り言なんですが、王都の大半の人間はイアン様は無実の罪で、王太子の策略だと気がついております」
「処刑場に首が晒されましたが、体はどこを探しても見つかりませんでした。誰かが隠し持っているらしいです」
「王太子の暴走らしいですが、王は容認しました。流石に汚いやり口を好む」
そんなこと私に教えてどうしようと言うんだ! 私は無力で可愛い子狐なんだぞ。そんな遠い王都であったことなんて知らないし、知った所でどうしようもないし、もう私には関係ないし。
「きゅ」
知らんし!
「う、恨んでいないのですか?! あんなに心血を賭して仕えてきたのに。こんな形で裏切られて」
「きゅぅ」
いや、必死にやってただけだし? と言うか別に心血を賭した訳じゃない。実際、王家にそんなに心酔してた訳じゃないし、給料が貰えるから働いていただけだし……。
「くっ……これだから慈悲将軍は……あなたは、あなたはどこまで優しいんだ……うう、うわぁあ……」
ヘイズが泣き出した。辺りの温度が体感五度は上がったな、暑苦しい。それになんだよ、慈悲将軍って意味が分からんよね。私はそんなに優しくなかったはずだけど。
「あんなに、あんな安い金でこき使われ、最後に名誉まで奪われて……それでもくっ!」
えっ! 私の給料安すぎ?! だったの?? 結構貰ってた気がしたのに。
「隣国の将軍職はあなたの給料の30倍貰ってしかも春夏冬にボーナス出てますよ! 」
「きゃんだってーー?!」
流石に叫んでしまった。黒い手で口を押えてみたけれどもう遅くて、囲んできた暑苦しい面々は目を丸くして片言で声を上げる。
「シャベッタ」
「キツネ、シャベッタ」
「噛んだ」
しまった!
「かーわーいーー!」
「ぎゅ」
野郎に抱きしめられたくない! ラセルなら嬉しいけれど、鼻息の荒いクレヤボンスとか最悪だぁーー!
「放せきゅん!」
「きゅんって鳴いたぁあー!」
「ぎゅお」
しまった、クレヤはおっさんの癖に可愛いもの好きだった。こいつの自室にはうさぎちゃんとか狐ちゃんのぬいぐるみが溢れてるんだ。
私がクレヤボンスと初めて会ったのは私に部下が何人かついて宿舎が手狭になり、書類に埋まりかけていた頃だった。宿舎の片付け係として雇った平民のはずなのに、端々に素早く抜け目のないところがあって、ヘイズやミニは最初から怪しんでいたっけ。
「あいつは間違いなく他国からの間者ですよ! 早く首を刎ねましょう」
「そうだぜ、イアン様。こっちの命を取られる前に潰すべきだ」
なんて言われてたっけ。まあ結局本当に南の帝国の諜報員だったんだけど、下っ端らしくて速攻切り捨てられたっけ。
「君さ、うちで働かない? 手際が良いし、折角仕事覚えただろ?」
そう足止め役で命を捨てろと置いて行かれたクレヤをスカウトしたんだよな。そしたらこいつなんて言ったと思う? 私は忘れない。
「給料としてあんたの手触りがいい髪の毛をくれ」
「は?」
「白金で手入れが杜撰なのに柔らかくて……俺はそれが欲しい」
「は?」
「お金は要らないし、普通に伸びて散髪した時で良い、くれ!」
ポカンとした私と、ヘイズ。ミニィは思いっきり顔を顰めて怒鳴りつけたっけ。
「義父上! こいつ変態だ、早く始末しよう!」
「いやしかし、ほぼタダで雇えるぞ?」
「いやだ! キモい!! 」
と、言った割にやっぱり給料タダの誘惑にミニィも勝てずに雇ったんだよね。それからクレヤボンスは張り切って働いてくれたので、物凄く助かっているんだけど。
「ワイアード将軍の髪の毛を使って作った熊ちゃんのちびぬいぐるみです」
「買った!」
よく分からないアイテムが流行ったけれど、まあそれくらい問題なかった。
「はあはあ……この手のひらにすっぽり隠れるほど小さなぬいぐるみが10万ゴールド……高い! でも義父上の……はあはあ」
「?」
ミニィまであの小さなぬいぐるみを持っていたからきっと和解したんだろう。それからクレヤボンスは私達の為によく働いてくれたし、「闇渡」なんてカッコいい二つ名までついちゃったんだよね。
「はあはあ、イアン様。ブラッシングは是非このクレヤボンスにやらせて下さい! 抜け毛で、最高な逸品を作らせて頂きますっ」
「え、ブラッシングはラセルにやってもらいたいんだけど」
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悪い奴では、ないんだよなぁ。ちょっと変なだけで。
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